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お姫様、王子様が結婚相手や愛する相手をみつけるために課題を出したり出されたりのクラシカルなおとぎ話が7篇。
『王の友人』という話は唯一、友情もの。誰も信じない王がとあることがキッカケで友として信用する話で印象的だった。
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眠る前に、親が自分の子どもたちを主人公にして物語を作って聞かせてくれている、みたいな優しさに包まれたおとぎ話だった。
3姉妹がいたら上2人は意地悪でみえっぱり、末娘だけがいい子で幸せになれる、みたいなおとぎ話の定型に囚われていなくて、というか多分あえてそこを意識して変えていて、誰かだけが幸せになるのではない展開が心地よく、安心して読めるお話が多かった。
どのお話が一番好きか、読み終わったあとに話をしあいたくなる本でした。
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装丁からそそられたのですが、ジャケ買い(借り)ってやっぱり90%くらいの確立で好みですよね、音楽も本も。
フェアリーテイルの形をしながらも独特の切り口というのでしょうか、ファージョンみたいな創作短編ですが、もう少しキリッとした雰囲気をたたえています。
どれも好きだけど、まずは最初のお話
『魔術師の庭』
主人公が老庭師というところがいい。魔術師にさらわれた王女を救い、求婚しようと5人の王子(3人でなく!)が魔術師の館へいくのだけど、みなうさぎや犬の動物にされてしまう。しかし、老庭師の知恵で魔法がとけると…王子は6人!さてだれが王女の愛を得るのでしょう!
庭師の植物を育てる腕前も素敵。
2つめのお話
『炎のかなたの国』
これも独特。
炎の国の美しい王子が暖炉を通って商人の3人娘の家にやってくる。
そして娘たちは素敵な王子にすっかり魅了され炎の国へとついて行くのだけど、暖炉から入る時に あちちっ てなるのが笑えるんです。その先は、ご想像どおり。
『メリセント姫』
ケチな公爵のせいで、籠の中の鳥のように育てられたメリセント姫は、百年後の世にさらわれる。そこではだれも姫のことを知らず、頭がおかしい娘だと散々な目にあうけれど、最後には姫の密かな願いが叶うという、ちょっと狂気じみたところが魅力。
『王の友人』
こちらも好きなお話。
王が余命わずかとなり、遠い親戚から16歳の孫息子に王位を継ぐ。
いよいよ最後という時に王は孫息子に遺言する。
「だれの助言も、その者がすぐれた人物だとはっきりわかるまでは、受け入れてはならぬ。ふさわしいと確信するまでだれも友と呼んではならぬ。」
孤独な王子が真の友を見つけるまでがとてもおもしろく描かれます。
『婚礼衣装』
これはファージョンっぽい。
メリンダ王女は、美しく世界中から求婚者がやってくる。しかし王女が望む婚礼衣装が、整うまでは結婚できないという。若い王子がこの美しい王女に結婚を申し込もうと臨む。旅の途中、盗賊から助けた身寄りのない娘を小間使いにと旅の友に連れていく。そして彼女の力を借りて、王女の望む贈り物を全て揃えるのだが…
娘が自分の金髪を切って、金の布を紡ぐところが悲しくて素敵。
最後のお話し
『首飾り』
ブランチュリー王女もまた美しいと世界中から求婚者がやってくるが、誰とも結婚する気はなく、父のため、求婚者には無理難題な要求をして断ろうとする。
そこへ快活なな王子がこの王女へ求婚を試み、結婚の贈り物に石像が流す涙、空から落ちた星、魔女の猫の緑色の目の片方、世界の果ての木に住むハトの卵を金のくさりにつけた首飾りを要求します。忍耐強い王子はこれらを1年かけて探しだすが…
これもなんとも言えない終わり方。
まったくどれも面白く読めるお話ばかり。『珠玉の短編集』だとあとがきにありますが、そのとおりだと思いました。
ピカード、1949年から1960年代までは作品を発表したようですが、その後は活動せず、亡くなってしまったとのこと。ときを経てまたこうして日の目を浴び、くすぶっていた本がまた新たに出版されることを願って止みません。
いやー、おもしろかった。
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1950年前後に書かれたバーバラ・レオニ・ピカードの短編集から選ばれた7つのフェアリーテイル。おとぎ話から得られる滋養にまんまと満たされ癒やされた。何よりどのお話も読み終えた後の気持ちが晴れやかになる読後感の良さがある。先んじて出版された『人魚のおくりもの』も読んてみたい。
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「おとぎばなし」と思って、表紙に惹かれて読み始めた。王子様、お姫様出てくるし、不思議なことあるし、でも、妙に納得させられて、引き込まれた。寝る前に一話ずつ読みたい感じの本でした。
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バーバラ・レオニ・ピカードによる7編の創作おとぎ話。どこかで聞いたことがあるようで、けれど聞いたことのない新しいお話が並ぶ。「王の友人」「魔術師の庭」などの、古典的な物語に現代的な視点が仄かに加わっている作風が面白い。