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企業の要求にすぐに応えられるかどうか(オンコール)が男女の賃金格差の鍵。
子育て世代の大卒カップルでは、女性が雇用主や顧客の要求にすぐに応えることを諦めるため賃金が低くなり、男性がオンコールでそうするので高賃金に。女性・妻が家庭におけるケアを担い、家事育児に柔軟に対応できるように高賃金の仕事へのキャリアをあきらめ、男性・夫がそのキャリアを追求する。このカップル間の不公平が労働市場での男女の所得格差につながる。その点が印象的。また、コロナ禍における在宅勤務がジェンダー規範を変化させたかどうかは明らかにされていないとのことだったが、気になるところ。
アメリカにおける女性の働き方の変化を100年の期間に渡って追い、近年では男女の賃金格差が女性差別よりも時間の選択で説明できることを述べている。
日本のメンバーシップ雇用と性別役割分業の議論にも当てはまる話だと思う。日本も長期的に変化していると思うが、本書と同じような手法で誰か分析してほしい。
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すごい分析なんだろうなぁと思いながら難しくてちょっとずつしか読み進められなかったんだけど,弁護士の具体例が出てきたあたりから俄然おもしろくなった。そこで差が出てしまうのは仕方ないんじゃないかと私は思ってしまうけど,そうではない,という時代が来るんだろうか。報酬ではなく詰める実績の差として考えると,仕方なくはないか,とも思う。
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雇われて働くものの賃金の差。
賃金は、役職位により変わると解せば、役職位の差が性別により存在するということ。
ジェンダー論が煩く叫ばれているが、この本は冷静な分析がなされているやに聞き、読んでみようと思った。
企業に雇われて働き、そこで評価される・多くの賃金を貰う、ことに対する欲望を、男女問わず、皆持つもの、そこに高い優先順位を感じるものという前提で、話はやはり進む。
多分、その価値観に囚われ続ける限り、この手のジェンダー論は終わらないんだろう。
複数対複数で、ピッタリ一緒になるなんて、多分ありえない。平均を見るの?集団内の偏りはどう評価するの?ホントにその属性が差の要因なの?(この本では実はそこにも踏み込んでいて、そこは大いに評価できる)
男は妊娠も出産もできない。
(単純に優劣があるわけではないというのは勿論の前提だが)頭脳も含めた身体の機能は、男性女性で大きく異なる。ある一つの尺度で見るとき、そこに差があるのはごく自然だと私は思う。
スポーツに男女別の枠があることが自然なのは、なにもその世界だけ特別だからではないと考える。
問題意識が、「男女同じ結果ではないのは何らかの異常・問題がその背景にある」というものであり、それはやはり異様なもののように感じたので、しっかり読み込む気になれなかった。
雇われて働く苦しさを感じてもなお、そこに留まり続けてしまうこと、人生全体と働くということをどう上手く折り合いをつけるかということ、などが今の私の興味の対象であるので、ノーベル賞さんに言うことではないが、なんだか浅薄だな、とまで感じてしまった。
残念。
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女性の方が賃金が低くなる問題について、過去100年間を5つの世代に分け、世代ごとの流れから解説を試みようとしている
現代では仕事により多くの時間を使える人が評価され、高給を得る職業が人気となっている((弁護士、会計士など)
しかし子供がいる場合、24時間対応が必要な仕事を望む女性は少なく、代わりに男性が仕事に多くの時間を使うため、結果として賃金格差が生まれている
女性への嫌がらせで賃金を下げるようなことは少なくなっているが、高給を得るためには長時間労働が必要→子供がいると長時間働けない→賃金が増えないのループで格差が発生しているのは、理解できる話だった
経済本のため前半3分の2くらいが各世代の女性のデータの解説で、しかもアメリカ女性のデータなので知らない人や内容が多く読むのがしんどかったけど、最後の格差発生の解説パートは興味深かった
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なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学。クラウディア・ゴールディン先生の著書。男女の賃金に格差があるとしたらそれはジェンダー不平等。ジェンダー不平等をなくすためには男女の賃金の格差をなくさないと。男女の賃金の格差をなくすことを法律で定めるくらいしないと日本はいつまでたってもジェンダー平等後進国になってしまうのかな。