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朝顔の種が奇跡の幻想的体験を呼ぶ著者デビュー作をぜひあなたも読んで堪能して下さい。
各お話の人物はそれぞれの悩みを抱えているけれど、凪のおかげで立ち直って行くところが感動的です。いまだかつてない新鮮なお話を読んで味わってください。
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タイトルの「うるうの朝顔」ってどういう意味なのか?と読み始めたけど、うるう=時間のズレを朝顔の花が調整してくれることからのネーミングだった。
そのズレはたったの1秒なんだけど、それだけで物の見え方が変わってくる。
それぞれの登場人物の心情変化がうまく描かれていて、引きこまれた。
設定が今まで読んだことのないもので、新鮮な気分で読めた。装丁も内容にマッチしていて好き。
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第4章は主人公の女の子の気持ちを具体的に書かないことがより一層寂しさを感じさせる文章でした。
そうだ、全部書かなくても伝えることはできるんだって気づけた小説でした。
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過去のその人と死者にとっての『ズレ』を修正することができる不思議な朝顔の種がある。それを使用した人達のお話し。
二度と会えないはずの大事な人との誤解を解くことができたり前向きな気持ちになって一歩を踏み出したり…。
不思議な不思議なお話しでした。
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「チョコレートの種」
「ルビーの種」
「汐の種」
「いろみずの種」
「雨粒の種」
5話収録の連作短編集で、第17回小説現代長編新人賞受賞作品。
デビュー作とは思えないクオリティでとても良かった。
『うるうの朝顔』の種を蒔くと、現実とは1秒だけ違う過去を再体験し、心の不調和が直るという不思議な物語。
設定はファンタジーだが、描かれているのは現実の世界で思い悩む人々。
人の心に潜む悪意や、常識から逸脱した行動に目を背けたくなる場面もあるが、誰しもが陥りかねないズレの存在に気付かせてもくれる。
瑞々しい筆致で紡がれた再生の物語。
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うるうの朝顔でズレを正した結果、後悔の念がより強まった気がした。悔やむことのない人生を生きられたら幸せだけれど、むずかしい。
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連作短編集。
うるう→大きなズレを正すために作られた余り物。
ズレを正す。
それは、モヤっとした時に誰もが必要とすることだと思う。
うるうの朝顔は、南米で突然変異で生まれた不思議な種。
人のズレをカチッと正してくれる。
まるで魔法の種。
私もうるうの種、欲しいと思った。
急に、朝顔の種を土に埋めて育てたいと思い
朝顔の種って、いつ蒔けばよいのか調べたら、もう遅かった。
モヤっとすることを「ボタンを掛け違える」と表現することがあるけれど、ズレてるからだよね。
ズレを正すことは、勇気を出して一歩を踏み出すことだと思った。
うるうの種を土に蒔いて、1秒の夢?画像?ヒントをもらい、一歩を踏み出す。
ズレを正すのは、結局は自分自身だと思う。
面倒くさいことかもしれないけど、そのズレに向き合って、考えて、ズレたらすぐに治したい。
それができる人間になりたい。
この本を読んでそう思った。
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不思議な話なはずなのに、なぜか自然に感じられた。
人間皆、大なり小なり何かしら抱えて生きている。
たった1秒のズレ。
過去の1秒を調整できるとすれば、自分はどの出来事、タイミングを候補に上げるだろうかと考えてみた。
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人生に後悔・悩みを持つ人たち。彼らの想いが、「うるうの朝顔」によって解決されていく。うるうの朝顔には、“ずれ”を正す力がある。彼らの後悔や悩みはそのずれが正されることによって、ひとつ解決に近づくのである。彼らに朝顔の種を渡す青年もまた、悩みを抱えるうちの独りであり、彼の悩みは解決するのか。人間小説。。
“人生のずれ”
私の好きな、小説現代長編新人賞受賞作。
「晴れ、時々くらげを呼ぶ」「檸檬先生」に続いての選書。
作品間のつながりはとても好きなもので、
一方、全体としてのボリュームに物足りなさを感じた。
凪のストーリに厚みがあると満足感高めだったのかもしれない。
うわ、短編集か?と思った時は気持ちが沈んだが、
作品間のつながりを見つけた時は、ニヤけてしまった。
挿入・消去される1秒が、その場では全く意味不明なものなのにきちんと彼らのためになっている面白さ。
どう考えても仲良し4人組・幼馴染の存在は羨ましくて、
自分にはいない。
本を読んでいる時だけは、難解で煩雑で悩ましい現実世界を忘れられる。
考えちゃうと集中できない。
通勤時間に読むのは、いったんやめようか。。
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突然だが、あなたは「朝顔」を育てたことはあるだろうか。私は確か小学生の時、真っ青な鉢の栽培キッドを使って各自一つずつ育てていたような。夏休みに入って毎日の観察 を遂行していた人はどれだけいただろうか。
本書に、「朝顔の蔓は全て左巻きに伸びるらしい。…一方、つぼみは全て右巻き…朝顔 は、常に矛盾を内包している花なのだ。」という一文がある。果たして、この矛盾に気づ けた小学生は何人いたのだろうか。つぼみの巻き方、蔓はどのようになっているのか。それらに気づく為には毎日の細かな観察が必要になるのだが。
人々の中には多かれ少なかれ「後悔」という感情を持つ人が存在しているだろう。あの 時こうしていればよかったんじゃないか。あの時何をしなければ…。過去というものは不変の事実だ。どうあがいたって、一度固まってしまった過去を溶かし、修正することはできない。「うるうの朝顔」とは、過去から今を生きる人へのメッセージである。夢の中で過去が映し出され、その中で「うるう(ズレの修正)」が加わる。それを見ることによって今を生きる人々の未来を動かす原動力となっていく。
私の庭には、あの夏休みに育てていたはずの朝顔が植わっていた真っ青な鉢が転がっている。当時の私にはまだ早かったのだろうか。一つの物を観察し続けるということは簡単に思えて実は難しい。観察するということは「知る」ということだからだ。誰だって知りたくないものはあるし、それと向き合うことは辛いことである。
あの真っ青な鉢の中から青い蝶が飛び出してくる。 そういえばあの鉢の中では、よく蝶が翅を休めていた。
あの青い蝶は今どこを飛んでいるのだろうか。
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6月末の日経新聞書評で見かけた一冊。
登場人物のそれぞれが悩みを抱えていて、その後悔の原因が、どうやら過去にある。
タイトルにある「うるうの朝顔」、その種は、過去を追体験させてくれて、しかも、実際の過去とは1秒だけ違った過去を見せてくれる。わずか1秒、されど1秒。
1秒でもズレた時計は、二度と本来の時間を指し示さない。なので、そのズレた1秒が重要で、過去を追体験することで、そのズレた1秒を追加、あるいは削除することで、これまでの人生で引きずってきた違和感の原因に気づかせてくれる、という仕掛けだ。
この仕掛け、うるうの朝顔の「種」を、主人公の墓守の日置凪が出会った人に手渡していく。
離婚し息子と暮らすシングル―マザー、既婚者の先輩に恋心を抱く若手社員、幼馴染の訃報に接した定年を迎えたオヤジ、担任教師の霊が見える小学生。 日置凪との出会いは共通しているが、それぞれは独立したお話。
オムニバス的に、いくつでも話が作れるドラマか漫画の原作のような、お手軽、お気軽なファンジーかと思いきや(いや、もちろん映像化もあり得るとは思うが)、その「うるうの朝顔」の種を持つ日置凪にも、過去に大きな喪失の物語があり、1~4章の他人の実例を経た上で、凪自身が、うるうの朝顔の存在、過去との向き合い方を学ぶ最終章となっているところが、お見事だった。
ちゃんと種を使い切って、ベタにダラダラと物語は続かないのがいいね、と思ったら・・・。あらら、使い切ったら、種はまた増えるんだ(苦笑)。
その設定は、要らなかったかなあ。まぁ、作り手としては、そうしておいたほうが、続編の可能性が残って良いのだろう。
人は、なかなか過去と手を切るのは難しいのだ。
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ちょっと前に、子供の眼科受診の付き添いをして待合室で観たテレビで紹介されていたこの作品…。第17回小説現代長編新人賞受賞作で、水庭れんさんは出版社に勤務されているそうです。このキレイな表紙に惹かれていつか読みたいと思っていた作品です。
チョコレートの種、ルビーの種、汐の種、いろみずの種、雨粒の種の5章からなる連作短編集。日置凪は、かわたれ霊園に勤務する青年…様々な思いを抱えてこの場を訪れる人々にそっと寄り添いつつ、「うるうの朝顔」の種を提供する…「うるうの朝顔」はその花を咲かせるとき1秒のズレを修正することができるのだと話す。シングルマザーの千晶、年上の女性に好意を寄せる頼、友人のマサの遺骨を引き取った三多介、亡き教師の霊が見えるというひまり…そして、日置凪…。
とっても優しい、きれいな読後を得られる作品です。1秒は短いけれど、されど1秒でその後の人生が変わることもある…。それぞれの登場人物が、この「うるうの朝顔」の存在を契機に止まっていた自分の時計を自身の意志で進めることができたのかなって感じました。
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Amazonの紹介より
綿来千晶は、息子に手を上げた夫と離婚したばかりで鬱々とした日々を過ごしていた。彼女は、偶然入った霊園事務所で日置凪という青年に出会う。親しみやすく価値観の合う凪に、ぽつぽつと悩みを打ち明ける千晶。すると彼は「ひとつだけ、おとぎ話をさせてください。」と「うるうの朝顔」という不思議な朝顔の種を取り出した。
なんでもその花を咲かせると、現実とはほんの少しだけ変わった過去をもう一度体験でき、その瞬間から始まっていた心の「ズレ」が直るという。その夜、千晶には、姉が父に殴られた日の記憶がよみがえり……。
第17回小説現代長編新人賞受賞作
不思議な世界観で、ふわっとした感覚でしたが、短い「ズレ」によって、大きく解釈が変わるとは。今までにない読書体験だったので、新鮮な体験でした。
1秒というと、一瞬という認識であり、そんなに変わる!?と思っていたのですが、一瞬の出来事を皮切りに、水の波紋のように広がっていく展開は、爽快感に似た感覚があって作者のアイデアが凄いなと思いました。
たかが1秒。されど1秒。本当に読んでいて「1秒」の凄さを感じた作品でした。
最初の段階では、「1粒の種」の解釈があまりピンとこなかったのですが、後半で新たな解釈が紹介されると、なんとなくカチッとハマったかのような感覚になりました。それぞれが抱える「心のささくれ」が取り除かれていく描写は、こちら側もちょっと一安心したような気持ちになりました。
側からみれば、「真実は本当にそれなの?」「そんなに解釈が拡がる?」という疑問は湧くのですが、本人にとってはそれでいいのかなと思いました。それをきっかけに、前向きに向いてほしいなと思うばかりでした。
登場人物達の渇いた心が段々と潤っていく描写は感慨深いものがありました。
全体的にしっとりとした静かな空気感があって、暗い過去といった苦味のある要素や切なさはありましたが、何か含みのあるそれぞれのエピソードの結末に、ゆっくりと内容を噛み締め、じんわりと余韻に浸れました。
新人賞受賞ということで、今後どんな作品を作っていくか楽しみです。
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何故か今イチハマれなかった。主人公たちが性格悪くて、いつもは性格悪い人好きなんだけどなぁ。なんでだろ。ということで1、2、5話のみ読んだ。エピローグはまあまあ好きだったかな
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「レッサーパンダ 威嚇」につられ、ついつい検索してしまい、あまりの恐怖にしばらく釘付けになり読む手がとまってしまいました。
凪くんの「どうして、、、」が始まると何故か菅田将暉に変換されます。整くん~
さておき、不思議な朝顔の種ですが、大切な人を亡くした事により残された人が生きていく上で、なにかしらのズレが生じた場合にだけ、この朝顔の種がそのズレを解消する1秒を見せてくれる、もしくは削除してくれる様子。
うるうとはそういう事かぁ。