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自分にはどうしても著者の超楽観的なお花畑論を信じることができない。百済の時代は言うに及ばず、江戸、明治の異文化受け入れやドイツの事例を長々と力説されても環境が違いすぎてお話にならない。現時点で問題になっていないから将来も問題にならないという論法も説得力がない。移民による社会問題は、その数が一定の閾値を超えて初めて顕在化するものだ。
中でも最も楽観的だと感じられるのは、教育さえすれば誰でも一定レベルの日本語を習得でき、進んで日本文化を受け入れるようになるとの前提だ。そう簡単には行かないからこそ、ドイツでもフランスでもイギリスでも社会問題になっているのだ。日本語は世界屈指の習得が難しい言語であり、言葉や文化に馴染めない人たちが独自のコミュニティを作って日本社会と摩擦を起こす未来が容易に想像できる。ムスリムが強硬に土葬を主張していることはお忘れか?
おまけに長期的な円安である。すでにベトナム人も日本を忌避し始めたが、そうなると今後はさらに教育インフラの整っていない最貧国からしか移民は来ない。人口減少に悩んでいるのは日本だけではないのだ。そうなるとますます言語や文化を習得できない最底辺の移民層が形成されるだろう。
日本の国力を維持するために外国人移民を『利用』する事が議論の出発点になっているから、移民のネガティブな面を見られなくなっているように感じる。残念ながら河合雅司氏や山田順氏の主張の方が数百倍説得力がある。