紙の本
すばらしい
2023/08/23 18:38
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投稿者:らら - この投稿者のレビュー一覧を見る
印象派以降について書かれています。今回新たに挿絵がカラーとなり、高階先生の素晴らしい解説とあわせてとても読みやすくなりました。
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しかし、だからと言って、印象派 絵画がチューブ入り絵具から生まれたと言うことはむろんできない。 戸外における現場での制作は、すでに一八三〇年代のバルビゾンの画家たちの時代から、絵画の野望のひとつであった。持ち運びのできる便利な絵具の発明は、それまできわめて困難であったことを容易に実現させてくれるという便利さをもたらしたに過ぎない。ただ、それによって思いのままに戸外で制作できるようになった七〇年代の若い画家たちが、眼の前の自然のな かに、それまでの絵画の知らなかった新しい世界を発見したことは事実である
ところが、モネたちは、太陽の光の下では、自然のなかのものは固有の色を持っていないということを見出した。緑の草も、時には夕陽の照り返しを受けて赤く輝くこともあれば、青い衣裳の上にオレンジ色の陽の光がこぼれ落ちることもある。それは言うまでもなく「光」の作 ちゅうちょ 用であるが、モネたちは、その「光」の作用を、躊躇なく「色」の世界に置き換えた。 例えば、この「パラソルをさす女」は、白いドレスを身にまとっている。そのドレスに、青い空や赤い野の花の輝きが微妙に反映している。そこでモネは、白い衣裳の上に、薄い青やピンクのタッチを加えるのである。
このようなことは、白い衣裳はあくまでも白いものだと信じていた当時の人びとには、容易 に理解されるものではなかった。
彼(セザンヌ)が求めたものは、眼の前の対象を形づくる本質的な構造であった。すべてが一様な光の波に還元されてしまう印象派の世界のなかから、セザンヌは、 対象を周囲の世界から区別する基本的な形態を求めた。そして、そのような確固とした形態を求めるということは、もはや単に視神経だけの問題ではない。それは後にブラックが、「眼は 形態を歪め、精神は形態を作る」という簡潔な言葉で表現したように、自然のなかにひとつの 秩序をうち立てようという精神の働きである。 セザンヌが友人のモネについて、
彼はひとつの眼に過ぎない、だが何と素晴らしい眼だろう。
と語ったという話は有名であるが、この一句にはモネの精緻な感覚に対する賛嘆と同時に、ひそかな批判をも読み取ることができる。
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後半は印象派以降、抽象画まで。
モネ『パラソルをさす女』
ルノワール『ピアノの前の少女たち』など
こちらも好みの絵の解説をじっくりと。
明るく優しい絵が多いこのふたりですが
いろいろ苦悩があってのことと
背景を知るとまた愛しく感じます。
抽象画はやっぱりよくわからないから
もう自分が好きか苦手かで。
そういう意味ではモンドリアンは好き。
シンプルで整然としたところが落ち着く。
他の画家も、ロートレックやゴッホの項など
手元に置いておいて時々勉強しなおしたい。
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古い版から文章はほとんど変更していないそうだが、ごもっともです。
修正する隙のない名文です。
日本人の大好きな印象派を抑えるうえで必読の文献。
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名画を見る眼Iの続編、名画を見る眼II。
前作のIが、マネまでであったので、IIのモネからが楽しみで読みました。
モネを数多く所蔵している西洋美術館にいらした高階さん。この人ならではの表現があり、次にモネを見るときにはその視点で見ようと思えるヒントがあったら。
パラソルの女性も作品がいくつか存在すると知れた。
出会っていなかった画家も掲載されており、新しいトキメキがありました。
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モネの「パラソルをさす女」からモンドリアンの「ブロードウェイ・ブギウギ」まで年代順に14の絵の解説です。
この他、関連する絵も一つの作品につき、2,3点全てカラーで印刷されています。
これを新書(の値段)で見ることができるのはお得感たっぷりでした。
私は、やっぱりモネの絵がいちばん好きでした。
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第Ⅱ作はモネの「パラソルをさす女」からモンドリアンの「ブロードウェイ・ブギウギ」まで。驚いちゃうのはこの間が60年しかないこと。この短期間で印象派から抽象絵画まで遷移している。抽象絵画といえども突然変異で生まれてきたわけでは無いことがよく分かる。
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外界を見る人間の眼は、習慣や約束に規制されているが、画家はこれにとらわれない新しい感覚を拓く。
まず絵画を見て読み進め、改めて観ると新しい感想を覚える新鮮な鑑賞体験。実物を見たい。
絵のリアルとは。これまでの系譜。
現実を追求した印象派が色彩分離により平面化していき、キュビズム、フォーヴィズムを経て抽象画に繋がる。色彩と造形。