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2作目からさらに100年後、剣ではなくペンと演劇で闘った者たちの物語。
1,2作目と比べてファンタジー色は薄く派手な戦闘もないが、そのぶん兄弟の愛憎や人間愛が丁寧に描かれ共感しやすかった。
外見は瓜二つの双子、という設定からして、どこかで入れ替わって片方は死ぬのだろうと予想していたが、お約束どおりの展開。章の間に挿入されている歌劇上演中の描写をリーアンの名前にしているのはミスリード目的もあるだろうが、実際はリーアンの名前で生きたアーロウの視点で書かれているので違和感がある。当然、2人が入れ替わったことは読者も承知の上なので、ラスト5行の部分も蛇足に感じた。
ミケーレとかいうイジョルニ人の演出家、イラスト登場人物紹介に出ていたわりには予想外に俗物で拍子抜け…まあ、戯曲が生み出される契機を作ったという点では大きな役割を果たしたといえるが。。なにせ前作の時代から生き残っている人物がいないので(知られざる者とパン屋の息子の孫の口伝程度では…)、テッサの軌跡をどこまで戯曲のストーリーに組み込めたかは微妙なところ? それでも、人々の心に革命への灯火をおこす希望を感じさせるラストとなった。
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洋書でも、てつまりほんとか、なに、てだあだあ、やんちやちやの、ぞくわおんにちかい、かいだなほ〜んと、ようしょと、ちかのおくのおくにかくれて、みてないような、ろばあゆき、はきつどちようかいさんをまぎやくにも、てんたいかんそくされてみつめみだしを、やんちやたれのこしずきで、とおいえんぬりつつもある、つちのこじようたいだつた!おもいいずる、びるからとびおりしごとでうまく、しけのこしけるいのかくりびようとうしゆうちゆうりよくりきうよくはんざいにもみえたなんてこれがほんとまかしにんゆいごんあんたまだいきとるやんけ
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これを本という括りにしていいのか惑うほど、読中の「その世界にいる」感覚がはっきりと感じ取れる作品だった。
作者がまるで本当にその世界の歴史をその目で見て書き記してきたのではないかと錯覚するほどだ。
1部界隈では三部作との噂もあったが、四部作、五部作と続くと明記されていたのが心の救いである。
何故かと問われれば、この物語を読み終えてしまったが最後、暫くはこの物語を超える作品に出会える自信が私には到底ないからである。
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前作のタイトルをそのまま作中で舞台のタイトルとして使ったり、テッサの軌跡を辿らせたりと、1→2では同じ舞台の別の話になっていた物語が今回は2→3で繋がりが大きかった分、続編という感じがした。テッサを当初男と勘違いしているところもいいと思う。
革命といえばどうしても前作のような武器を手に取り行われる物語が多いが、文化や芸術で革命を描くというのは良いなと思った。
ただ前作の作風と今回の舞台がファンタジーというより古代ヨーロッパを基にした人間社会の話に重きが寄っている印象だったので、突然リーアンは神に選ばれたとか幽霊の声が聞こえるとか古代樹が記憶を繰り返しているとか、ファンタジー要素が強い事を言われ、戸惑う部分があった。
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今までとは打って変わって、市井の人々の視点から。
文化が築き上げられた都市で、人々の気持ちに火が灯りはじめる。
この3巻があるおかげで、2巻が効果的に浮かび上がり、何重にも意味をなしてくる素晴らしさに打ち震えた。
テッサの意志は100年経っても地下で生き続ける。
人は人種によって性格が変わるのではなく、個人、個人によってさまざまなな考え、性格がある。それがまざまざとわかる3巻。
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今回も上げて落とされた。。
最後絶対泣く。毎回泣く。
2巻よりはきつくないような。警戒してたからかも。
読み終わったばっかりでまだ消化しきれてないですが、なんか今回のレーエンデの人達は、日本人に似てるなって思いました。
声を上げることもなく、どんなに酷い環境でもできるだけ平穏に暮らしたい。
揉め事を起こさないように…みたいな。
まぁ、全然酷さは違うし日本国内において日本人が人種差別をされてるわけでもないですが。
付属のスペシャルストーリーも良かったです。
ユリアとトリスタンの話はキュンキュンしたし、テッサとルーチェの話は最後ウルっとしました。
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読み終わってしまった。
レーエンデをめぐる革命の物語。
繰り返される絶望と、たまにさす光で、気持ちを持っていかれる。
最高に後味が悪い。(褒めてます)
文化は、音楽は、人の心を救う。革命における芸術を描いた3作目でした。
今回は双子のリーアンとアーロウが主役。この2人がまあ、愛おしい。かれらの気持ちが、舞台が、レーエンデの歴史でどんな役割を果たすのか。はあ、たのしみ。
ユリアとテッサの信念も、生き続ける。
どこかでまた芽吹くことを信じて。
革命の話をしよう。
あーーーーー続き読みたい。
これを隔月発行してくれた作者さん本当に本当にありがとう。
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1,2巻は見事。
規模の大きいファンタジーで、それぞれの登場人物に深みがあった。
それに比べると3巻は主人公2人の動く理由がいまいち伝わらない。
親に捨てられて双子の片割れだけが男娼に堕ち、そこで幼少期から男の相手をするしかないってとんでもない地獄のはずなんだけど、サラッと書かれすぎていて、そんなにしんどさが感じられない。
作中で天才だと何度も書かれるリーアンもイマイチ描写から天才だと感じられない。
アーロウが序盤リーアンを憎んでいるというところも微妙。
憎んでいるという割によく絡むし、すんなり一緒に旅に出ちゃうし。
実はお互いに大事に思ってましたって、茶番にしか感じられない。
出てくる他のキャラクターも、1,2巻と繋がりは多少感じるものの、裏を返すとそれしかない。
なんとなく浅くて必要ないのでは?と思う。
1巻の家族同然の仲間が急に態度を変える場面や、2巻の村の仲間を皆殺しにされる場面のような、主人公の心を底まで突き落として味わう絶望と、その中でもがいて生まれる希望がこの3巻には然程ない。
ただ、傑作であった2巻を、この国の歴史に刻みつける大きな一作であったことは確か。
ラストはまさに戯曲のようなオチで、そこに文句はない。
だからこそ勿体無く感じてしまう。
隔月の新刊発売も読者にとっては嬉しいが、それよりもっと時間をかけて、主人公2人の抱える闇と国内の理不尽へ対抗心を燃やすに至る大きなきっかけ、それから2人とテッサとの出会いのところを描いてほしかった。
リーアンの戯曲がこの国にどんな影響を与えていくのか、次巻に期待したいと思う。
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「レーエンデに自由を」
の第3話目。
本作品は、前巻『月と太陽』から120年くらい経過した世界を舞台にしたお話。
時代は産業革命みたいなことが起きていて、初っ端からある意味リアル革命が起こり、人々の心の中に少し余裕が生まれ始めてきた頃に行われる革命のお話。
2巻の登場人物のアレが生きてくるので面白いなと思えるのと、こういう革命の話も書けるのかと思える仕上がりだったなと個人的には思いました。
さて、今回の革命、中身は読んでからのお楽しみと思うので、敢えてどんな内容なのかは書かないですが、これも革命活動だよなと思うのと、私は今まででた三部作の中では一番好きかもなと思います。
そんな本作からは革命とは物理的に武器をもって戦うことだけじゃないんだなと思いました。
前巻のテッサみたいなカリスマ性のあるいわゆるジャンヌ・ダルクみたいな人間が先頭に立って武器をもって戦って戦ってそれの後ろについていく、こういうものが革命のイメージでまさに前巻みたいなものだと思っていましたし、こういうのがファンタジーとしてワクワクすると思っていてました。
しかし、実際に革命を成功させるためには今作の主人公達みたいなものこそが本当に必要なもので、そういう意味ではリアリティがあるなと思いました。
そして、そのリアリティに前作から続くものとレーエンデ国物語らしいファンタジー要素が織り交ぜられていて、私はハッとした上、1つの冒険だなと思い、ワクワクしました。
次にこの話がどう繋がっていくのかも楽しみです。
さぁ、革命前夜の話をしよう。
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前作とのリンク感がよかった。シリーズ3作品の芯となっている「レーエンデに自由を」という思いが繋がりながら、3作品それぞれの物語の雰囲気が違うので、いろいろな楽しみや物語への没入感が味わえる。レーエンデの自由を求めて、次は、どのような物語になるのか期待しています!
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#レーエンデ国物語 #喝采か沈黙か
第三部はある兄弟による物語。
テッサが命を賭けてきた物語はレーエンデを誇る者たちによって語り継がれ、この兄弟によって新たな革命の芽となっただろう。
あっという間の3/5部
残り2部の革命の話も待ち遠しい。
#多崎礼
#読書
#読書記録
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革命の物語は愛の物語だった。
伏線の回収がうまかった。
第六幕の「二人の英雄」という言葉。テッサと誰?
そして、「英雄と等しき年月」というリーアンの寿命を肩代わりするというアーロウ。
第一幕から語り手はリーアンだし、アーロウの名も出てきてるのに…
息子か?なら、リーアンは長生きしてる?
読みながら、様々想像した。
双子であることの効果。
「会いたい」という言葉が胸に迫り涙が出る。
早く続きが読みたい。
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前作の英雄譚が揉み消され、忘れ去られ、しかし戦争が終わったことにより仮初の平和を手に入れたレーエンデ。前作までが凄まじい戦いと弾圧の様相を見せていた分、今作は穏やかに読める。
産業と芸術の発達した世界で、芸術の持つ力の大きさを実感した。多くの作品に囲まれた私たちでさえ、芸術作品に心を動かされるのだから、今まで芸術作品に触れたことのない人々にとって、その影響力は絶大なものだと思う。
相変わらず社会の動きや人々の心理、世界観の作り込みが素晴らしくて、本当に地球のどこかで起こっているのでは?と錯覚してしまうほど。
そしてシリーズものの楽しみ、前作との繋がりを見つける面白さもあって、よかった。ファンタジーだけれど歴史物でもあるので、これからも年表をつくりながら、キーワードを押さえながら楽しく読んでいきたい。
一言でいうと、どハマりしている作品。
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喝采か沈黙か──全てを読み終えたあとその意味が明らかになるでしょう。
天才劇作家リーアンと、レーエンデの俳優であり男娼のアーロウは、ノイエレニエの下町で双子として生を受ける。母に捨てられた天才と凡人は愛を知らない。自由奔放に身を任せているかのようで天才がゆえの葛藤に兄は苦しみ、生きている意味を見い出せないまま運命に抗えずに演じ続けて名を馳せる弟。しかし不器用ながらも真実の愛に辿り着いていく勇姿は舞台の上で輝かしく、生きた証をしっかりと歴史に刻んだのだと思いました。魂と魂の戦いを熱く書ききった作者に敬意と親しみを覚えました。物語に沿うように進む戯曲にも心を奪われます……拍手喝采!
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1巻で心をガシッとつかまれ、2巻の壮大なストーリーに圧倒されたあとの3巻目。これが完結編だとしたら物足りないが、革命の話の半ばだとするならここからどう展開していくのか楽しみに思える。今後につながる布石があちこちに打たれているような気もしたので、もしかしたら完結したときにもう一度読み返すことになるかもしれない。芸術というのは、生きていくのがやっとという状況ではどうしても切り捨てられがちなものだが、ひとつの歌、ひとつの芝居がひとびとの心を動かし、世の中の大きな流れを作っていくこともある。ぜひわたしも『月と太陽』の公演を観たいし、『レーエンデに自由を』を生で聴いてみたいと思った。