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最も長く存在した人類種はホモエレクトスの200万年である。ホモサピエンスは誕生して20万年に過ぎない。わずかな期間で生態系の頂点に立ったそれは、まるで小国の独裁者であり、生態系はその速度に順応していない。ヒトは恐れと不安から残忍で危険な生物となった。
ネアンデルタール人のDNAは中東欧米人にわずかながら残されている。遠い過去ホモサピエンスとネアンデルタール人が交配した証拠である。
人類史における三つの重要な革命、言語コミュニケーションに関する認知革命、農耕革命、そして科学・産業革命である。
農耕革命は人類の進歩とされるが、そうではない。それ以前に比べ労働時間は長くなり病気や飢えのリスクも高まった。農耕革命は史上最大の詐欺である。小麦はわずかな地域にしか生息していなかったが、栽培化により生育地域を爆発的に広げた。人類が小麦を栽培化したと同時に、小麦が人類を家畜化したともいえる。
増えたヒトがひとまとまりになるには、進化の年数が足りていないから争いが起き政治が必要となる。政治の基礎となるのは神話や法律という虚構である。ハンムラビ法典にも合衆国憲法にも客観的正当性はない。想像の産物であり、その方が世の中がうまく収まるような気がするというだけである。
中世の政治は博愛思想であるキリスト教と名誉のためには暴力を厭わない騎士道思想との矛盾を解消することであった。近世以降、個人の自由と平等の矛盾の解消が政治となった。しかしこれらの矛盾は永遠に解消されない。
世界は統一に向かっている。モンゴル帝国が崩壊したのは一時的に路線が切り替わったにすぎず、長期的に見れば同一の価値による支配が広まっている。神よりも王よりも強力な征服者、それは貨幣である。貨幣とはもっとも普遍的かつ効率的な信頼相互の制度である。
帝国とは他民族の征服と同化である。帝国的支配方法は今日通用しないとされているが、過去最も安定的な政治システムである。悪の権化と見做されがちだが、我々はみな帝国の遺産で暮らしている。
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ここまで長いスパンで歴史を知るものをこれまで読んでこなかったからか、衝撃的だった。
特に自分たち、ホモ・サピエンスが勢力を伸ばしたきっかけとして、共通幻想を持つようになったことをあげていて、それはなるほどと思った。
よくよく考えると、口座の残高見てニヤついたり、神社で神さまに手を合わせたり、日本はやばいとか国のことを言ったり、
全部実体のないものだし、そんな実体のないものを、多くの人が共通して信じられるって、
不思議。
文字を通じて、経験や知識が積み上げられるのも、戦争や差別がなくならないのも、いいも悪いも含めてこの幻想を持つことが、ヒトをヒトたらしめていると思った。
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人類の歴史を振り返る本
前半では認知革命、農業革命、帝国や貨幣というテーマについて論じている。
一部族40-50人が限界でそれ以上は何らかの制度や思想によって成り立っている。
家畜は人間が飼い慣らさない場合は10-20倍の寿命を持つことができた。
女性と男性の関係性でこれまでは男性優位になるような状態だが、それが生まれた背景は遺伝子から考慮しても理解できていない。
私達と彼等という概念が貿易商人や征服者、預言者によって生まれ、貨幣経済や帝国制、宗教によって広がった。
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人類の誕生を基本に文字、貨幣、文明など幅広い話題の発生原因や弊害など深く考察されており、非常に面白く、勉強になる内容。
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生物学的視点で我々人間(ホモサピエンス)について語る。そこから幸せとは何か、善悪とは何か、など後半部分は終始客観的な視点で描かれている。
我々が当たり前だと思っている価値観は想像上の秩序であり、生物学的な合理性には全く紐づいてないという事実を初めて認識させられた。
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社会という絶対も実体もないものを作り上げ
宗教や階級など虚構のストーリーを生み出し
区別し認知や認識をしていきながら後付け理論をしていく。約20万年前に誕生したとされてる原生人類ホモ・サピエンス、彼らは私たちである、そして辿ってきた道は今と何ら変わらないサイクルなのではないのか、とさえ読んでいて思った
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・一貫して人間とその他動物が変わらないこと、人間は同一であることが強調されていた気がする。
・認知的不協和という概念が印象的だった。人が集団で生活し続ける限りこの二つは両立できないのだろう。私は自由に重きをおいて生きていきたい。
・ご飯を美味しく食べられなくなった。
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サピエンスは虚構により発展してきた。
正義も宗教も価値観も虚構だと思うとなんかやるせなくなってきた。だけど、言われてみればそう。
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中学校レベルの歴史を知っていれば、面白く読める本だと思った。
ホモ・サピエンスが集団行動をできるようになったのも「虚構を信じる力」があったから。単なる言語の発達というよりは、物語の創造や物への価値づけによって、人々の社会はできあがっている。この認知革命を皮切りに農業革命、科学革命へと展開してゆく。現代の社会はまさに虚構で作られているなあとも改めて感じた。
また、ホモ・サピエンスは農業革命によって小麦の奴隷になったという話はとても面白かった。たしかに、農業の発達によって、農業中心の生活スタイルが確立されたのだろう。
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人類の進化の歴史について描かれた本だが、科学の本というよりは哲学書のような内容である。人類史を深く考察すると哲学的にならざるを得ないのかもしれない。
まず、人類が他の動物と違う生物たり得たのは、虚構を信じることができるようになったからである。宗教やお金、未来等、存在しないものに対する感覚を身につけたことは認知革命と呼ばれる。
その後、農業を習得し、人類は大幅に個体数を増やし、生物的な成功を収める。同様に家畜や小麦も数を増やした、という意味では成功者であり、他方、人類によってとてつもない数の動物が絶滅させられる。農業革命は、一部の生物に対して、大きな成功を与えたが、成功した種の個体としては幸せになったとは言い難い状況も生んだ。
歴史上、人類の文化は帝国が推進してきており、今後も統一に向かって、帝国的な思想が人類を導くであろう、という示唆で上巻は終わり。
かなり刺激的で興味深い内容。売れたのがよくわかる。生物の見方が大きく変わる内容である。
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我々人類が狩猟から農耕に移ったことで、DNAの本能と現場での生活が異なりはじめ、また、想像することでコミュニティの広がりをもたせることを可能に出来たことを知った。
一方で、曖昧な記憶整理のために二度目の読書となったが、エビデンスに欠ける論調、不明瞭な言い切りも多かったと感じたことは意外な発見だった。(つまり、一説でしかなく、今後の発見で主張は変わる可能性がある)
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内容が興味深く、思わず読み進めてしまった。
私たちが普段の生活で当たり前、普遍に感じているものがよもすれば悪だとすればどう感じるだろうか。
一面的なものの見方ではなく、その成立の経緯に迫るとまた違った見方をすることができることに気づかせてくれる内容であった。
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評判に違わず、目から鱗、今までなんて浅いところしか見ていなかったのか…こんなに心を揺さぶられる歴史書って何?
まだ上巻しか読んでないけれど、何かに迷ったときに戻ってきたい。
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読んでませんけど、柴田裕之さん翻訳の本はどれもいいよね。ピダハン族のイビピーオって、認知革命以前ってこと?それがカルペディエムってこと???それが悟りってこと?????
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他のサピエンスがいない原因は交雑なのか虐殺なのかという点や、なぜどの共同体でも男性優位なるのかなど気になる点が多かった。