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またしても河合隼雄である。30数年前に新聞に連載されている。内容的には、男と女の問題とか、仕事のこととか、古いと言えば古いなあと感じる部分もある。しかし、多くは普遍的なもので、いま読んでも心にしみるものがある。と言いつつ、それほど思い出せないのだが、一つは個別のことを深く考えていくことで、普遍的なことに近づいていくということ。それと、秘密をもつということは、特に思春期の子どもたちの成長には大切なことであるということ。さらに、相談に乗られたときに、安易にアドバイスをしてはいけないということ。あいづちを打つだけでいいということ。好きなものやことをたくさん聞き出すのはいい、自分の好きなものを考え出すのもいい。自分がいったい何者かと考えてみるのもいい。いくつもいくつも、思いつくままに。僕はここ数年夢を書き留めている。それを公開している。特に印象に残ったものを。他人が読むことを前提にだから、あまりに個人的なことは避けているが。自分で読み返してみるとまあまあ楽しいが、ひょっとして読む人が読むと自分をさらけ出し過ぎていることになるのかもしれない。「明恵 夢を生きる」は未読である。どこかで見つけたら読んでみたい。ところで、聞き手は工藤直子とある。しかし、あとがきに工藤さんの一文が載っているだけで、他にはその存在が見当たらない。工藤さんのことばがところどころに見つかると、さらに味わい深くなったのではないかと思う。