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日系アメリカ人の方が書いているからか、日本人名や地名が多く出てきたし、一貫して家族との別れと向き合う物語だった。
章ごとに語る人物が変わっていき、脇役だった人の数年後の視点になってたり、後々にリンクしてさっきのあのキャラがこんな所に出てきた!って楽しめる。
1つ1つの章が短いし、疫病が流行った世界での対策がどんどん進んでいく過程も面白いし読みやすい。
特に笑いの街と豚息子は悲しくて仕方なかった。
最後の章で、ある装飾品を持っている人が度々変わるなと思ってたけどそういう事か!と納得
読み終わってから何度か読み返してしまった。
カバーはめちゃくちゃカッコイイし、タイトルもマッチしててジャケ買いしたけど大当たり!
終末ものが好きならおすすめ
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北極から広がったパンデミック(北極病という内臓を他の内臓に変えてしまう病気)に立ち向かう人類を描いた小説。それぞれの局面で家族を亡くしたり後遺症を抱えたりした人々が、どうその家族や周囲の人間と関係を構築したり修復したりするかと言う内容だった。しかし設定がなかなか難しく…途中、地球を脱出して他の惑星に行くあたりからSFすぎて読み進めるのが大変だった。もっと闇の中を高く行ったあたりが解決の中心なのかと思ったけどその辺の説明が若干物足りなく終わった。
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瑣末なことが気になる。解説文も含めて全体に、なぜここにフリガナ?が気になった。人名のフリガナは、いくら単純な読みでも、読み方を規定したいためだろうなと理解するが、「アメ横(よこ)」「禿(は)げた」「憂鬱(ゆううつ)」「冊子(さっし)」にも必要か?ましてや「蝶(ちょう)」「味噌(みそ)」など初出のみならず何度も振ってある。これらを読めない読者という想定なのか。それを言うならもう全部に必要では?一方「甲板」「桟橋」「解雇」などには無し。基準がまるでわからん。すみません、中身とは関係ないけどモヤモヤでいっぱい。
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途中ちょっとわからないなと思っても、最後まで読めばきっとパラパラと読み返したくなると思う。語り手が章ごとに変わり、後の章で次々繋がる楽しさもある。色々繋がっていて相関図が欲しいくらい。
書籍紹介からコロナを意識した内容かと思ったがそうでもなく、SF全開で、出てくる日本も日本であって日本ではないのが面白い。脳に特異点を生じさせブラックホールを作ると言う話もある。意味がわからないと思うが、とりあえずでも読めば、そこから壮大な宇宙の話を垣間見ることができる。途中謎が多いからこその最後のまとまっていく感、よかったなあ。
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https://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO80141260Z10C24A4MY6000
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パンデミックでSFと聞いて興味をもって読んでみた。面白かった。解説でも言われていたが、登場人物がモザイク状に繋がっていて面白い。逆に、キャラが出てくるたびに、これは出てた?初出?とちょっと悩む。それくらいキャラが多くエピソードが多彩。
北極病という、内蔵が別の内蔵になる病気。怖すぎ。別の何かになるという変身モノでもある。最後に読んで、やっぱお前(異星人)のせいか!となった。
パンデミックでSFではあるが、テーマとして家族の死別がある。いろいろな死別。いろいろなお別れの仕方。感情の後始末の話。泣いた。
「三万年前からの弔辞」
娘(クララ)を亡くした父親(クリフ)の話。孫娘はユミ、妻はミキ。よくわからないウィルスをネズミに注入するのは危険という教訓。
ここで、なんかはるか昔に異星人がいたんじゃないかなあという予感がする。
娘が考えていたことを知りたくて娘の仕事場(北極)にやってきていろいろ考える。
「笑いの街」
子供を安楽死させるテーマパークの従業員(スキップ)の話。母親(ドリー)とその息子(フィッチ)と親しくなる。
死を看取るというか、死に追いやるというか。そんな異常な中での子供への愛を感じられて面白かった。
「記憶の庭を通って」
ここの赤ん坊は後の話でも触れらる。スキップも出てくる。SFチックだが、スピリチュアルな部分が強い。
死者からの目線。
「豚息子」
フイッチの父親(デイヴィッド)の話。
豚(スノートリアス)は人を助ける。その献身さに泣いてしまう。フィッチに出来なかったことをスノートリアスにしてあげたのかなあと考えてしまう。
「エレジーホテル」
葬儀会社が経営するホテルで働く弟(デニス)の話。兄はブライアン・ヤマト。
死期が近い母親に会いたくない。父親にも会いにいかなかった。死んでからようやく会いにいく彼の気持ちが良い。やらなくちゃいけないとわかっていてもやれない人間の話。
「吠えろ、とってこい、愛してると言え」
母親(綾乃)を亡くした父親と息子(明希)の話。綾乃の歌や声が吹き込まれているロボット犬のハリウッド。
そのハリウッドがとうとう壊れそうになり、また母親を失うような気持ちになる。
いつまでも乗り越えられない。乗り越えられないまま終わるが日常は続く。
「腐敗の歌」
献体希望者のレアードとその姉(オーリー)た、献体を扱うラボの職員(オーブリー)とその夫(タツ)の話。
夫婦仲がとっくに終わっていることの描写が良い。
避けようの無い別れ、死と結婚生活。
「事象の地平面のある暮らし」
ブライアンとその妻(テレサ)の話。
テレサは紫水晶のペンダントを持っている。クララだ。
SF全面すぎて、話としては普通。
もうすぐ死ぬかもしれない男の目線。どんな変化が起こるのかわからない不安。それでも日常は続く。記録も付けなければいけない。
「百年のギャラリー、千年の叫び」
クリフの妻のミキと孫娘のユミ、そしてドリー。宇宙船内のあちこち���絵を描くのが良い。星の描写も良い。どんどん時間がズレていく、進んでいく。
「パーティーふたたび」
再生の話。弁護士のダン・ポール。刺青を入れているメイベルにも触れられている。
「東京バーチャルカフェの憂鬱の夜」
ふらふらしている彰とVRカフェの店主(高橋)と佳子とその父親(小林誠司)の話。パンデミックを乗り越えても自殺をする人はいるし、父娘の和解は叶わない。だからこそ、明は生きているうちに母親に会いにいったのかなと思う。
この高橋はクララだと思う。
「きみが海に溶ける前に」
刺青を入れているメイベルと彼女の遺体を加工し海に溶かすサービスを請負う会社の社員の話。
燃やすのではなく、溶かすというのが面白い。そこそこ安全に形が失くなっていくのを眺められる。最後の最後まで一緒にいられる。世界の一部になるのを見届けられる。
「墓友」
田舎は最悪というのを描かれていて面白い。
両親と妹(珠美)と自分。
祖母の葬式によって実家に帰ってきて、改めてここが嫌だったというのを実感していく。それはどんな状況になっても変わらないというのがわかる。
「可能性スコープ」
クララもといクウェリの話。
同族との間でできた娘のヌリ、そして、地球人とできた娘(後にアニーと呼ばれる)。
最後に遠く離れた地で生きているヤマトの船長のメッセージ。
壮大な話ではあるものの、描かれるのは家族の話だった。
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近未来を舞台にした連作短編集。シベリアの永久凍土でクララが見付けた3万年前の少女。その身体から未知のウィルスが世界に広がり、人々が次々と亡くなっていく。時代が進みながら登場人物が少しずつ他の物語に出てきます。
SFの世界でありながら、命の話や女性の生き方の話になっています。
病気の子供のために、楽しみながら安楽死させてくれる遊園地。(こう書いていて恐ろしくなりますが、読んでいると否定できない)
亡くなった妻の声を吹き込んであるロボドッグの話。
知能を持ち始めた心臓移植用の豚の話。
亡くなった人たちが闇の中から高みを目指して救う命の話。
そして最後に意外なストーリーで、最初の話に繋がっていきます。
物語の世界に入りすぎると泣いていまいそうなので、気持ちをセーブしながら読みました。
なんだか疲れた。とっても疲れた。