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発売前から購入を決めていた一冊。凄く好みの一冊でした!
五篇からなる短編集ですがどれも良かった!その中でも新人賞受賞作の「ルナティック・レトリーバー」は唸りましたね。五篇全て読み終え、本を閉じて再び目にするタイトルに「なるほど、回収しない…か」とまた声が漏れる。
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Amazonの紹介より
数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、才気溢れた彼女が死を選ぶだろうか?
三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女と理解し合えないまま二度と会えなくなったことに思い至った寮生たちは、独自に事件を調べ始める――。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な独立作品集。
第19回ミステリーズ!新人賞受賞作品。
連作短編集ではなく、単独の5つのエピソードを集めた短編集になっています。
殺人や盗難まで色々なミステリーを楽しめるのですが、一味違っています。
普通ならば、推理してズバリ解決ですが、この作品では解決したとしても、その後に続く隠された真実が注目どころになっています。
他にも、「え?この人が推理をするの⁉︎」と思ってしまうような意外な人がしたりとちょっと変わったテイストになっていました。
ただ事件を解決するだけでなく、事件によって揺り動かされる登場人物達の心理描写が、ビターだけれども核心をついていて、ミステリーとしての新たな味わい方がありました。
どのエピソードも魅力的でした。
「街頭インタビュー」では、テレビのインタビュー画像から見えてくる視聴者の印象や印象操作が面白く、その後の真実も面白かったです。
「カエル殺し」では、先輩芸人が殺害され、その容疑者が同じ芸人という展開。なぜ殺されたのか?なぜ殺したのか?犯人の犯行動機から見えてくる現実に、ジーンときてしまいました。
「追想の家」では、亡くなった祖父の家の秘密を、浪人生の孫が解き明かすのですが、祖父と孫との関係性にじんわりとしてしまいました。
「速水士郎を追いかけて」では、学校内の部室での盗難事件を一見頼りない優等生が解き明かしていきます。消去法で見えてくる犯人と登場人物達の言えない現状が面白かったです。
新人賞を受賞した短編「ルナティック・レトリーバー」は密室事件の謎だけでなく、犯行動機に隠されたそれぞれの主張が何とも切なさを滲み出していました。
ミステリーだけでなく、登場人物それぞれの心理描写を紐解くことで見えてくる真実も魅力的な作品になっていて、異彩を放っていました。
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五篇の短編が並ぶが、1話目の「街頭インタビュー」が推理物として面白かった。
「大っ嫌いになるかどうか…」の締めの台詞も面白い。
最終話の「ルナティック・レトリーバー」の、誰もが人生の伏線を回収できる訳では無いという落とし所に納得の一編だった。
軽い探偵ものから殺人事件まで取り揃えたお手頃推理本でした。
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第1篇目で日常の謎系?のミステリーかと思いきや、2篇目は人が死ぬミステリーと、作者のミステリー短編集。
ミステリーの謎解き部分も面白いのですが、タイトルの通り、各短編それぞれに「回収されない」ものがあるように思われ、その部分もまた凄いなと思う作品です。
そして、謎解きとしてもタイトルの「ぼくらは回収しない」の意味でも凄いなと思ったのは、やはり1番最後の「ルナティック・レトリバー」ですね。
最後の最後で身構えていたら、そういうこと!?と思わずなってしまいました。
ネタバレできないなぁと思いながらも、最終章のことはわかるわぁと今になって思います。
作者が1999年生まれ?東大大学院在中とはいえそんなことを書けるの?その年で?と思いました。
ミステリーで謎解きだけではなく、結構社会的にも人間的にもそこを表現しちゃうんですか?と思ってしまう本作品。
「ぼくらは回収しない」
のその意味を、是非味わっていただきたい。
そんな作品です。
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「街頭インタビュー」
「カエル殺し」
「追想の家」
「速水士郎を追いかけて」
「ルナティック・レトリーバー」
5話収録の独立短編集。
前作の『バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵』より更に面白くなっていた。
1999年生まれ、東京大学大学院在中のまだ若い作家さんだが、1話読み終えるごとに上手さに唸ってしまう。
真相に辿り着いたかと思えば鮮やかな反転、注意深く読み進めていても、裏をかくその手腕にやられっぱなし。
第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作に輝いた最終話も良いが、全話秀逸で文句なしの面白さ。
今後に期待しかない。
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日食の日、学生寮で起きた事件の謎… 爽やかで厚みのある謎解きミステリー短編集 #ぼくらは回収しない
■きっと読みたくなるレビュー
ミステリーズ!新人賞、真門浩平先生の短編集です。バラエティーの富んだミステリーを五編を収録。こういう話かなーと思いきや、実は手が込んだ仕掛けがあって油断ならない。
構成や文章はもちろん、特に伏線を忍ばせたりセリフまわしも上手なんで、倒叙ミステリーとか得意なんじゃないかしら。期待してますので、ぜひぜひお願いします!
●街頭インタビュー
友人の姉が街頭インタビューをうけた結果、SNSが炎上してしまった。桐人が解決に挑むが…
九マイルは遠すぎのオマージュからの…思いもよらないヒネリに唸った。やりおる。現代ならではの青春小説でもあり、どす黒い感じも好き。
●カエル殺し
売れるのを夢見る芸人とお笑い芸人と憧れる女性の物語。パーティーで事件が発生してしまい…
蛙化現象をうまくもじったストーリーで座布団一枚!若者たちの夢と危うさが読んでいて切なくなる一作。
●追想の家
入院している祖父の家財を調べるために、実家に訪れた一家の物語。孫である主人公は、二年半前に祖父と喧嘩してしまったのが心残りであった…
家族の温かみを感じる素敵な作品。祖父、父、主人公、妹の四人と、実家のイメージが目の前に見えてくるほど、場面切り取りとセリフが上手。
●速水士郎を追いかけて
サッカー部の部室で盗難事件が発生。主人公は繊細な性格の友人、速水と共に調査を開始するのだが…
シンプルかつ清々しい作品で、自分の学生時代を思い出す。友達との距離感、人間関係の気づきがよく描かれており、ど真ん中の青春学園ミステリーでした。
●ルナティック・レトリーバー【おすすめ】
大学の寮での出来事、その日は皆既日食で寮内の学生たちもにぎわっていた。ひとりの女学生が倉庫で見つかってしまう。倉庫内では隙間はテープで目張りがしてあり、七輪が置かれていた。一見すると自殺のように見えるのだが…
短編にもかかわらず、ストーリー、舞台背景、キャラ、そして謎解きの厚みがしっかりしていて素晴らしい。イチ推しキャラは大橋さん、見た目と行動はギャルだけど実は切れ者って感じで惚れる。謎解きや展開も手が込んでて好き。
■ぜっさん推しポイント
この本から現代の若者たちの叫びを感じ取ることができる。年齢を重ねた人ほど、読んで欲しい作品です。
私からのZ世代へのメッセージとして、言いたいことはひとつだけ。君たちの未来は明るい、生きていれば楽しいことがいっぱいある。だから前向きに胸を張って歩いてほしい。