「価値」こそがすべて！

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https://ameblo.jp/w92-3/entry-12801790719.html

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題名の利益よりも通り価値こそが全てという意味と理由を事例と共に説明している図書。読み込むのに時間がかかりそうだったので、パラパラとしか見てないが、どちらかというとtoC企業向けかもしれない。

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翻訳がわかりづらく読みにくいが
シンプルに顧客のための価値創造(WTP)をするにはどうしたらいいか考える。バリューマップを用いて、何が顧客の価値となっているかを把握する。その中でバリュードライバーは何かを見極める。見極める時にそれが価格、コストとどうリンクするか考えるのか大事。そこからどこを伸ばすとか投資するかとか考える。

ダメな企業ほど業界のせいにする

給与ではなく、従業員の熱意がWTSを引き下げる要素として大きい。
WTSにもバリューマップを用いる。その企業で働く上で何を価値と置いているか。

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第1部 卓越したパフォーマンス―価値を生み出すバリューベース戦略
なぜ一部の企業が他の企業よりもはるかに成功しているのか。その答えは、顧客、従業員、サブライヤーに対して、どのように価値を生み出しているかに大きく関係している。利益ではなく、価値を考える。そうすれば、利益は後からついてくる。
第1章よりシンプルに、より良く
►WTP(Willingness to pay、支払意思額)
バリュースティックの上限に位置します。これは、顧客の視点を表しています。具体的には、顧客が製品やサービスに対して支払うであろう上限額のことです。企業が製品を改善すれば、WTPは上昇します。
►WTS(Willingness to sell、売却意思額)
バリュースティックの下限に位置し、従業員とサプライヤーに言及したものです。従業員にとって、WTSはジョブオファーを受け入れるために必要な最低限の報酬のことです。企業が仕事をより魅力的なものにすることができれば、WTSは下がります。逆に、仕事が特に危険な場合は、WTSは上昇し、従業員はより多くの報酬を必要とします。サプライヤーの場合、WTSは製品やサービスを供給することのできる最低限の価格のことを意味します。サプライヤーにとって製品の生産と出荷が容易になれば、そのWTSは低下します。

第2章 チャンスの海
このような財務パフォーマンスの大まかなパターンを見て、みなさんも私と同じように楽観的になっていただけたらと思います。ほぼすべての企業において、パフォーマンスの大幅な改善は手の届くところにあります。以下は、私がデータを調査して学んだ結果です。
▼世界経済のあらゆるところで、他社よりはるかに財務的に成功している企業を容易に見つけることができます。
▼景気循環や国勢の影響を考慮しても、同じ産業に属する企業間で収益性に大きな差があるこに大きな効かあることがわかります。リーディングカンパニーの財務的成功が何らかの指針となるなら、ほとんどすべての企業はもっとうまくやれるはずです。
▼わずかな進歩でも、財務パフォーマンスに劇的な影響を与えます。100社中50位だった米国企業が10位に躍進すれば、ROICは22%上昇します。中国企業がこのように改善した場合、ROICは16%増加します。
▼通常、異業種への参入で期待できる利益よりも、自分の業界内で得られるパフォーマンスのほうが大きくなります。多くのチャンスがあるなかで、最も魅力的な可能性は身近なところにあります。
▼データ上では、長期にわたって良好なパフォーマンスを達成することが難しくなったという証拠はほとんどありません。
　では、このような財務パフォーマンスの差はどこから来るのでしょうか。パフォーマンスのランキングを上げるためには、どうすればよいのでしょうか。次章以降では、私たちの意思決定の指針となるシンプルなフレームワークについて見ていきます。

第3章 利益ではなく、価値を考える
バリューベース戦略を実践している経営者に、この考え方が特に有効だと思う点を尋ねると、次のような指摘を受けることが多くあります。
▼私たちは複雑な世の中に生きています。バリューベース戦略は、私たちがどのように価値を生み出すことができるかを見出すのに役立ちます。レバーはWTPとWTSの2つしかありません。
▼競争のなかで、より大きなマージン(および高い収益性)は、優れた顧客歓喜、高い従業員満足度、寛大なサプライヤー余剰利益を創出する能力を反映しています。価値の創造は、価値の獲得よりも優先されます。
▼ストラテジストは「違い」を考えていきます。卓越した製品のクオリティや優れた職場環境は、ライバル企業が簡単に対抗できる場合、持続的な優位性をもたらすことはありません。
深い問いかけをすると、次のようになります。
・もし、自社が明日なくなるとしたら、だれがそれを悲しむでしょうか?
・自社の製品やサービスに最高の喜びを感じていた顧客でしょうか?
・自社で働くことにやりがいを感じていたスタッフでしょうか?
・自社と特別な関係を築いていたサプライヤーでしょうか?
　だれかがそれを残念に思わなければなりません。もし、そのような人がだれもいなければ、自社のバリュースティックが他社と似通ったものであれば、違いを生み出しているとはいえません。そして、意味のある違いがなければ、自社が資本コストを超えるリターンを得るチャンスはほとんどないのです。


第2部 顧客の価値ーWTPを上昇させる戦略アプローチ
ここで取り上げる企業は、上場企業から零細企業、グローバル企業から地域の新興企業まで多岐にわたる。それらはすべて、WTPを高め、より大きな顧客価値を生み出すために、「より魅力的な製品」「補完製品」「ネットワーク効果」に依拠している。

第4章 拍手喝采
この章が示すように、WTPを戦略の中心におく企業は、豊かな機械を見出すことができます。そのコンセプトはとてもシンプルです。顧客が製品に対して喜んで支払おうとする最高額を高めるということです。しかし、その結果得られるチャンスは、並外れたものです。バリュースティックとWTPを使用して自社の戦略を立てる際には、以下の点に留意してください。
▼売上重視の考え方は、顧客のWTPを高める機会を逃すリスクがあります。製品中心の組織では、取引量を増やすことが成功につながります。WTPに焦点を当てた組織は、価値を生み出すための手段を豊富に持ち、まさにこの理由から、より成功することが多いのです。
▼ビジネスモデル、つまり価値を獲得する方法に執着することは特に危険です。なぜなら、価値の獲得はゼロサムゲームだからです。最初から自分の成功が顧客の不利益になることを受け入れていることになります。
▼相互依存は、例外ではなく、原則です。WTP、価格、コスト、WTSはすべてつながっています。WTPを高めると、バリュースティックを構成する他の要素も同様に動くのが一般的です。アップル製品のWTPは実に驚くべきものですが、同社はそのWTPを高めるために余分なコストを負担しています。戦略的な指針としての価値はありますが、WTPを単独で考えてはいけません。戦略的成功の究極的な裁定者は、WTPそれ自体ではなく、顧客歓喜の増大である、という第3章の洞察を心に留めておくことが重要です。
▼リードすることは、勝つことではありません。なぜなら、企業はより大きな顧客歓喜を提供することでビジネスを展開して���るのであって、市場で最高のクオリティを持ち、最も賞賛される組織であることは、成功を保証するものではないからです。中途半端な製品であっても、顧客に特別な喜びを与えることができるのです。
　私の優れた製品リストに入っているトヨタのカローラはその好例です。1966年に発売されたカローラは、だれが見ても地味なクルマでした。その魅力を高め、WTPを向上させるために、カローラの設計者であった長谷川龍雄は、バケットタイプのセパレートシートや、スポーティなフロアに取り付けたギアシフト、アルミ製ヘッドライトの筐体など、多くの優れたものをドライバーに提供しました(図414)。
　しかし、1960年代後半では、だれもカローラをWTPの高い、カッコいいクルマのラインアップに加えませんでした。なにしろ、ボンティアック・ボンネビルでレースができるなら、だれがカローラに乗るというのでしょうか。では、なぜカローラがボンネビルを上回ることができたのでしょうか。それは、顧客歓喜です!
　価格は16万2000円(1966年当時1200ドル、現在のドル換算で9560ドル)で、カローラはお買い得でした。1960年代後半に米国で発売されたカローラは、非常にシンプルで信頼性が高いことから、初めて車を購入する人やセカンドカーを購入する中間所得層の間ですぐに人気を博すようになりました。トヨタが北米に進出できたのは、WTPでデトロイトに勝ったからではありません。同社は顧客歓喜という点で、他の追随を許さない会社だったのです。
▼経営者が顧客歓喜で最も喜ぶことは何でしょうか。答えは、顧客歓喜がすぐに伝播するという事実です。世界最大の独立系デジタル銀行であるブラジルのヌーバンク(Nubank)のCEO、デイビット・ベレスに尋ねてみましょう。ヌーバンクは毎日4万人以上の顧客を獲得しており、その80%は既存顧客からの紹介によるものです。「ヌーバンクは、これまで顧客獲得に1ドルも費やすことはありませんでした」とベレスは言います。ヌーバンクが2020年にメキシコ向けのクレジットカードを発表したとき、3万人が待機リストに加わりました。ヌーバンクの秘密とは何でしょうか。「私たちはお客様に熱狂的に愛されたいのです」

第5章 見え隠れするもの
　ニアカスタマーとは、そのWTPが購買に至る水準にかなり近い人たちのことです。このグループのWTPの決定要因を理解することで、大きなビジネスチャンスを得ることができます。次のように問いかけることは役に立つことでしょう。なぜ、ニアカスタマーは製品の市場にいないのでしょうか。かれらはその価値を間違って認識しているのでしょうか。かれらのWTPを高め、顧客に変えるには、どのような工夫が必要なのでしょうか。

ニアカスタマーを取り込み成功したいのなら、次の質問をしてください。
▼あなたは、自社の製品やサービスを検討しない人がいる理由を深く理解していますか? 二アカスタマーは重要なビジネスチャンスとなる可能性がありますが、見過ごされがちです。というのも、対象となる市場の分析や既存のマーケティング・イニシアチブでは、通常、これらのグループに関する情報はほとんど得られないためです。
▼ステレオタイプによって、あなたの組織がニアカスタマーについてより多くを学ぶことを妨げていないでしょうか?グル���プに関する不正確な思い込みはめずらしいことではなく、ニアカスタマーのビジネスの可能性をすぐに曖昧にしてしまいます。(9)
▼ニアカスタマーを顧客にするためには、製品やサービスに多大な投資が必要になると考えていませんか?ハイアールの例が示すように、少ない投資で魅力的なサービスを提供することができます。ニアカスタマーにとって、あなたのカテゴリーやブランドは初めてだということに注意してください。シンプルさを保つことは、通常、有利に働きます。
▼自社のインセンティブシステムは、ニアカスタマーとの交流を阻んでいませんか?短期間の成果を重視することは、現在の成功につながります。一方、ニアカスタマーとの機会を探ることは投資となります。インセンティブは、組織がこれらの考慮事項をどのように調整するかを決定します。

第6章 ヘルパーを募集中
補完製品について考えるとき、特に重要だと思うのは次のような点です。
▼補完製品は、WTPを高めるのに役立ちます。競争において重要な通貨は顧客歓喜です。補完製品はWTPを高める強力な手段であり、結果的に顧客により多くの価値を生み出します。
▼補完製品は、ビジネスの中核とは無関係と思われがちです。それを見極めるには、カスタマージャーニーを創造的に考えることが必要です。
▼私たちは補完製品が低価格であることを望んでいます(私たちがそれを販売しないかぎり)。補完製品の価格が下がれば、もう一方の製品のWTPが上昇します。
▼補完業者は友であり敵でもあります。共同で価値を創造し、その取り分をめぐって、時には激しく争います。
▼自社で補完製品を生産している企業は、利益ブールをある補完製品から別の補完製品へとシ フトさせることができます。

第7章 友か敵か？
補完製品と代替製品の区別は、意外と難しいことが多いです。それを識別するための洗練されたアプローチを開発した企業を研究すると、次のようなことが見えてきます。
▼このような組織は、補完製品を代替製品と勘違いするバイアスが内蔵されていることに気づいています。かれらは常に、新しいテクノロジーや新製品が補完製品である可能性を論証するための最善のケースは何か、と問いかけています。
▼パターン認識とトレンド分析は、補完製品を識別するための迅速でコストのかからない方法です。これらは有用ですが、確実ではありません。
▼最も先進的な企業は、補完性についての直感を導くために、実験を行っています。

第8章 ティッピングポイント
　私たちがどれだけ多くのネットワーク効果を当然のことと考えているかを見るのは興味深いことです。情報を探すのに図書館に行く必要があった頃を覚えていますか。高校の同級生を見つけるには、卒業記念アルバムや電話帳に目を通さなければなりませんでした。渋滞予測は、分析ではなくアートでした。買いたい商品を探すために店から店へと歩き回りました。
　ネットワーク効果は、今日の私たちの生活や仕事のやり方に大きな影響を与えたビジネスの多くを支えています。テクノロジーはこれらの進歩を実現可能にしました。しかし、ネットワーク効果こそが、これらのビジネスが実際に構築され、人材や資本を集め、大規模なサービスを提供できるようになった理由なのです。
　ネットワーク効果について考えるとき、いくつかの際立った洞察に注意を払う必要があります。
▼ネットワーク効果は、補完製品またはブラットフォームを介してユーザーを直接結びつけることでWTPを高めます。ネットワーク効果を構築した企業は、WTPを高めると同時に、競争を制限します。
▼市場シェアは、収益性の予測指標としては不適切です。戦略目標として使用すべきではありません。しかし、ネットワーク効果を持つ市場は例外です。より多くのユーザーと市場シェアを持つ企業に利益を生み出します。
►Facebookスタイルの勝者総取りの結果はまれです。興味深いことに、地理的な要因は、ネットワーク効果の戦略的価値を制限すると同時に、それを強化します。ネットワーク効果がローカル特有なものであれば、さまざまな企業が多様な市場で勝利を収めます。しかし、市場が十分に小さい場合、市場が一転して単一の勝者を生み出す可能性が高くなります。最終的な結果は、ローカル・チャンピオンのパッチワークです。

　ネットワーク効果のダークサイドは、競争を制限する点にあります。メタ、グーグル、アリバパなどの企業が「大きくなりすぎた」かどうかという問題は、論争の的になっていまだ。この問題を解決するためには、ネットワーク効果によってもたらされる顧客歓喜と、競争の制限によるコストとを比較検討する必要があります。もちろん、これは新しい問題ではありません。鉄道や公益事業など、だれも競争できないほど規模からの利益を得ている自然独占企業の規制にも、同様のトレードオフが含まれます。
しかし、重要な違いが1つあります。かつての独占企業は、市場支配力を利用して価格を上げ、顧客歓喜を低下させていましたが、現在ではその逆がより一般的になっています。低価格は、ネットワーク効果の直接的な利益の一部を放棄したほうがよいほど、競争とイノベーションを制限しているでしょうか。私たちにはその答えがわかりません。

第9章 弱者のための戦略
　ネットワーク効果の恩恵を受ける企業を研究し始めた当初、多くの投資家は、これらの企業が市場を支配する態勢を整えていると考えていました。そして、収益性を考慮せずに迅速に規模を拡大することが信条となりました。このアプローチには、2つの理由から大きな欠陥があります。第8章では、ネットワーク効果が地理的な要因によって制限を受けることが多いことを説明しました。本章では、ネットワーク効果のある市場において、小規模なプレイヤーが生き残る方法を見つけ、競争力を維持していることを見てきました。
▼弱者は、規模に依存しない方法でWTPを引き上げます。ネットワーク効果はWTPを引き上げる1つの方法ですが、他にも多くの方法があります。これらの代替手段が多額の投資を必要としないかぎり、小規模な組織がそれらを利用するうえで不利になることはありません。
▼弱者は無視されたグループに奉仕します。ほとんどのプラットフォームは、特定のグループ(顧客またはベンダー)を優遇しています。冷遇されたグループにサービスを提供することで、意味のある差別化が可能になります。
▼弱者は、互いのつながりを重視する少数の顧客グループに焦点を当てます。ネットワーク効果の強さを表す一般的な指標であるユーザー数は、常に欠陥のある指標です。実際には、顧客はさまざまなグループとのつながりに対し、異なる価値を見出しています。支配的なプラットフォームは、最大のユーザー数を誇っています。しかし、小規模な企業でも、価値の高いつながりを重視したビジネスを構築することができます。


第3部 人材とサプライヤーの価値―WTSを低下させる戦略アプローチ
WTSを低下させる魅力的な職場環境は、従業員に対してより多くの価値を生み出すことで、素晴らしいパフォーマンスを達成できる可能性が高い。また、WTSを低くする戦略は、サプライヤーとの関係を改善するうえでも効果的である。

第10章 聴こえている感覚
　私の経験では、バリュースティックを構成する４つの要素のなかで、WTSは最もわかりにくいものです。しかし、この章の例が示すように、仕事をより魅力的にしてWTSを下げることは、従業員と企業に価値を生み出す強力な方法です。以下の考え方は特に重要です。
▼仕事をより魅力的にすることは、ロケット工学のようなものである必要はありません。従業員意識調査を参考にしてください。クエストのように、従業員は仕事を快適にするためのアイデアをたくさん持っていることがわかります。そのなかで、生産性を高めることができるものを選んでください。
▼WTSを減少させるための魅力的な機会を見つけるには、仕事が従業員の生活にどのように関わっているかをよく理解する必要があります。ラッシュアワーの時間帯を避けた快適な通勤は、業務プロセスの改善と同じくらい価値があるかもしれません。
▼WTSを減少させるイニシアチブは、従業員の満足度を高めるだけでなく、強力な選択効果を生み出します。人材獲得競争において、従業員が自社のWTSを引き下げる方策を評価している場合、有利な立場に立つことができます。
▼WTSを減少させる方法を選択する際には、期待される選択効果が事業目標に貢献するものかどうか検討してください。たとえば、グーグルが米軍のための儲かる仕事や中国向けの検索エンジンの開発をあきらめたのは、それらのプロジェクトが、そもそもかれらをこの組織に惹きつけた価値観と矛盾していると同社の社員が抗議したからです。同社が行動規範から「Don't be evil」(邪悪になるな)を削除して時間が経っていたにもかかわらず、従業員の選択効果は、軍事契約と従業員の熱意の継続のどちらかを選択するようグーグルに迫ったのです。後者のほうがより重要であることが証明されました。
▼WTSの低下に成功した企業は、多様な形で生み出された価値を享受することができます。ある企業は市場価格を下回る報酬を提供し、ある企業は高いロイヤルティとエンゲージメントを享受し、ほとんどの企業はより多くの求職者を獲得しています。

第11章 ギグと情熱
　柔軟な勤務形態やギグエコノミーのビジネスモデルを見ていると、多くの洞察を得ることができます。
▼企業と情熱的なワーカーをつなぐデジタルプラットフォームは、企業の境界を変えるのに役立ちます。これまで企業内にとどまっていた活動を外部に移したり、ギグワーカーや独立した請負業者の努力を斬新な方法で組み合わせ��りすることができます。その結果、優れたクオリティと適正なコストが実現されることが多いのです。米国では現在、労働人口の約10%がこの代替的な労働形態に従事しています。もしあなたが、コスト優位性を得るために自社 の境界を変える方法を考えなければ、競合他社が考えているでしょう。
▼2020年になっても職場の柔軟性は不足しており、柔軟性はWTSを低下させる有効な手段です。
▼フレックスワークのルールを策定することは、最初の一歩にすぎません。従業員にフレックス制を活用するよう奨励するには、多くの場合、より広範な企業文化の変革が必要です。組織のリーダーの行動は、ロールモデルとしての役割を果たすつもりであるかどうかに関係なく、多くの人に影響を与えることになります。
▼人々の情熱を自社のビジネス目的に結びつけることは、価値創造へのエキサイティングな手段です。これは、プロジェクトや活動が本質的に興味深いものであり、かぎられた時間のコミットメントを必要とする場合に最適です。
▼情熱的な個人を巻き込むには、かれらの期待を慎重に考慮する必要があります。ギグワークはワーカーにとって大きな価値を生み出すことができますが、同時にワーカーを搾取するリスクもあります。優れた企業は、ギグワーカーが合理的な期待を持ち、生み出された価値を分け合うことができるよう、しっかりとしたガイドラインとブラクティスを策定しています。

第12章 サプライチェーンも人である
　サブライチェーンにおけるコラボレーションは、もちろん新しいアイデアではありません。しかし、バリューベースの考え方に伴う視点の転換は、それでも有益なものです。以下は、重要な洞察の一部です。
▼サブライヤーのコスト削減を支援し、自社への販売を容易にすることで、最終的には自社自身を助けることになります。サプライヤーがあなたのために何をしてくれるかを尋ねないでください････
▼価値獲得のロジックは、多くの買い手とサプライヤーの関係を支配しています。価値創造に方向転換することで、情報の共有、インセンティブの調整、魅力的なビジネスチャンスの発見が容易になります。
▼価値創造を買い手・サブライヤー関係の中心におくことは大変な作業であり、このような関係を構築するサプライヤーの選択には注意が必要です。最も有望なバートナーを選ぶ際には、価値のポテンシャル(WTSをどれだけ動かせるか)、投資の特殊性(要求がどれだけ特殊なものか)、契約上の不完備性(相手に対する期待をどれだけ契約書に記載することができるか)を考慮する必要があります。


第4部　トップ企業の生産性―コストとWTSを同時に低下させる戦略アプローチ
米国では、トップ企業の生産性は最下位企業の2倍。同じインプットを使って、なぜここまで差が付くのか。このパートでは、生産性を高める3つのメカニズム、「規模の経済」「学習効果」「経営のクオリティ」について探る。

第13章 ビッグ・イズ・ビューティフル
デジタル化以前の経済では、新しい市場の競争力を把握するために、まず固定費に着目します。インターネット時代には、ネットワーク効果が固定費と同じぐらい影響力を持ち、競争できる企業の数を決定することがよくありま���。しかし、経済の多くの分野では、規模の経済が依然として重要です。以下のポイントが特に重要です。
▼すべてのストラテジストは、自社の最小効率規模を知る必要があります。企業がコスト競争力を維持するために必要な規模を持っているかどうかを知らずに、戦略的な方向性を決定するのは無責任です。
▼最小効率規模は時間とともに変化します。これらの変化の一部は、テクノロジーと消費者の嗜好の傾向を反映しています。また、優れた戦略的意思決定が反映される場合もあります。固定費の増加は、競争相手の数を制限するための強力な手段となりえます。
▼クオリティで勝負している企業であれば、固定費や変動費の力を借りてWTPを高めるベネフィットを必ず比較してください。2つの投資モードが短期的には同じような財務的リターンをもたらしたとしても、将来直面する競争相手の数には異なる影響を与える可能性があります。

第14章 学習効果
　学習効果を強みとして競争する機会を検討する際には、以下の点に留意してください。
▼同業他社が学習しているのを見ると、追いつくために価格を下げたくなるものです。しかし、企業は、自社の経験や同業他社を観察することで学ぶことができます。他社から学ぶことが容易であれば、値下げで対抗するのは控えるべきです。
▼十分に早いスタートを切れば、学習効果によって競合企業の市場参入を阻止することができます。しかし、スタートが遅ければ、学習効果によって競合他社はより攻撃的になり、できるかぎり迅速に生産を立ち上げようとします。
▼コスト削減のスピードが中程度の場合、学習効果は最も強力です。コスト削減のスピードが非常に速い場合(図14-2の自動車の例)や、非常に遅い場合は、競合他社よりも多く生産していることのメリットはほとんどありません。
▼学習がもたらすダークサイドに注意してください。同じプロセスを何度も実行することでメリットが得られるため、学習は組織を固定化し、イノベーションを抑制する可能性があります。T型フォードが、その好例です。同社は、自動車をより低コストで生産する方法を学ぶ過程で、多くの斬新な工程を生み出しました(図14-3)。やがて製品と工程は密接に関連するようになりました。フォードの高度な生産システムでは、T型フォードに変更を加えようとすると、多くの工程変更を余儀なくされ、コストがかかりました。そのため、フォードはマイナーな改良に終始することになったのです。重要な製品イノベーションがフォードに戻ってきたのは、A型フォードが導入されたときだけでした。

第15章 嘲笑する理由はない
　企業間の生産性の違いを説明するうえで、オペレーション効率化が果たす役割を考えてみると、いくつかの洞察が得られます。
▼優れたマネジメント手法やオペレーション効率は、企業間で意味のある差別化を生み出すのに役立ちます。これらは達成するのが難しく、ゆっくりと普及し、長期的な競争優位の基礎となりえるものです。
▼インテルの経験が示すように、オペレーション効率と戦略は絡み合っています。両者の区別にあまり注意を払わないほうがよいでしょう。オペレーション効率化への投資と思われるという理由だけで、そのイニシアチブを却下し���いでください。それは戦略再生のきっかけになるかもしれません。
▼プロジェクトが「戦略」と「オペレーション効率」のどちらのカテゴリーに入るかを問うのではなく、WTPを高める、またはWTSを低くする可能性を検討してください。あるイニシアチブが成功した場合、競合他社がそれを模倣するのはどの程度容易でしょうか。もし、プロジェクトが成功し、競合他社が真似しにくいものであれば、そのプロジェクトが戦略的なものであろうと、オペレーション効率を高めるものであろうと、企業の競争力を高め、収益性を向上させることができるでしょう。
▼マネジメントのクオリティの向上が大きな価値を生むことは間違いありません。しかし、より良い実行は、健全な戦略に代わるものではないことを心に留めておいてください。「実行は常に戦略に勝る」(execution beats strategy every time)、「文化は戦略に勝る」(culture eats strategy for breakfast)などの格言はナンセンスです。WTPやWTSが変化しないようなイニシアチブを完璧に実施しても、価値を創造することはできません。
　

第5部 バリューベース戦略の実行―バリュードライバーとバリューマップ
優れたストラテジストの仕事を観察すると、「バリュードライバー」がWTPとWTSに与える影響を深く理解し、競合他社に差をつけている。また、「バリューマップ」を利用して、組織全体に戦略を浸透させている。

第16章 How を尋ねる
ここでは、ブランド戦略に焦点を当てましたが、重要なポイントは、より一般的なものです。
▼戦略成功のレシピは、多くの場合、WTPやWTSを財務パフォーマンスに結びつけるさまざまなメカニズムを覆い隠しています。たとえば、規模は、規模の経済(より低いコストとWTS)、学習(より低いコストとWTS)、ネットワーク効果(WTPの上昇)、補完製品への投資インセンティブ(WTPの上昇)などを意味することがあります。
▼どのメカニズムを採用するかによって、鍵となるリソースや能力は異なります。第9章のフレンドスター(Friendster)の失敗を思い出してください。フレンドスターの場合、規模はネットワーク効果を表していました。しかし、北米とインドネシアのユーザーを追いかけることは間違いです。もし規模が規模の経済を反映していたなら(たとえば、グローバル・テクノロジー・ブラットフォームへの投資の固定費)、複数の市場を追求することは非合理的な戦略ではなかったでしょう。
▼提案された戦略とWTPやWTSを結びつけるメカニズムを具体的に示すことで、その戦略のアイデアが財務パフォーマンスに及ぼす影響についてより深く理解することができます。WTPやWTSがどのように変化するかを示していない戦略は、財務的なインパクトを持続させることなく、実行だけは完璧に行われるということが起こりえます。

第17章　良き戦略には悪が必要
ここでの教訓は、わかりやすいものです。
▼バリューマップは、シンプルなツールでありながら、豊富な情報を提供します。顧客のWTPを決定する製品やサービスの属性を明らかにし、顧客歓喜を創造するうえで優位に立てるところとそうでないところを表します。おそらく最も重要なことは、企業が適切なトレードオフを行っているかどうかを示すことです。自社は重要なところで他社を凌駕しているで��ょうか。
▼どこが優れているか、どうすれば進歩することができるかを考えるのは楽しいことです。しかし、どこに投資しないか、どこで成果をあげないかを決めるのは、はるかに難しいことです。真のエクセレンスとは、トレードオフのうえに成り立つものです。どんな企業も、すべてに優れていることはできません。
▼今度、あなたとあなたのチームが戦略会議に出席し、解決すべき問題、完了すべきプロジェクト、改善すべきサービスの長いリストを作り始めたら、「何をやめるつもりですか」と問うことを忘れないでください。

第18章 投資を導く
バリューマップは、戦略策定(WTPやWTSをどのように動かすか)から戦略実行(WTPやWTSの変化を実現するための具体的な活動やイニシアチブ)への移行を促進する強力なツールです。私の経験では、このツールにはいくつかの重要な利点があります。
▼WTPとWTSは要約統計量です。顧客のWTPを理解することは、競合の動きやその価格についての情報をもたらしますが、その評価の理由についてはあまりわかりません。バリュードライバーを理解することで、全体像が完成するのです。
「自社は平均的であるという見通しは、非常に恐ろしいものです」と、リデイは言います。「私たちは違った存在になりたいのですが、そのための方法を知る必要があります。バリューマップは、この複雑な世界をナビゲートするための完璧なツールなのです」
▼バリューマップはデータドリブンです。顧客のWTPや人材のWTSを把握する際、直感や逸話に頼りがちです。しかし、企業が本格的にバリューカーブ分析に取り組むと、ほとんどの場合、驚きの事実が明らかになります。バリュードライバーの重要性が一般に想定されているよりも低いことが判明したり、ある次元で予想外のレベルのパフォーマンスが見られたりします。
「この方法は、継続的なもので、調査にもとづいています」とエクスペディアのアナンドは言います。「進捗状況を実際に測定することができます。データにもとづいているため、より詳細で、信頼性が高いのです」
▼バリューマップのレンズを通して組織を見ることは、徹底的に顧客、人材、サプライヤーを中心に考える訓練になります。これらの3つのグループの認識に影響を与えるかぎりにおいて、組織のパフォーマンスは意味を持つことを忘れないでください。
▼ほとんどの企業は、組織に対する顧客の認識や従業員のエンゲージメントに関する広範なデータを収集しています。バリューカーブ分析では、顧客と人材の両方の目を通して、競合他社を見ることができるようになります。
　アナンドは、「競合他社をプロットすることは、非常に興味深いことです」と説明します。「多くの場合、企業は自社についてのみ調査を行いますが、バリューカーブ分析は業界全体を見渡すことができ、非常に役に立ちます」
▼バリュードライバーは、WTPやWTSといった抽象的な概念と、現在の製品やサービスを説明する具体的な属性との中間に位置するものです。これには2つの利点があります。第1に、バリュードライバーは十分に具体的であり、実行可能です。バリュードライバーをオペレーションモデルやKPIにリンクさせるのは簡単な作業です。第2に、バリュードライバ―は、特定の顧客ニー���をどのように満たすかという方法を詳細に特定するものではありません。
　バリュードライバーは、顧客満足を高めるための新しい方法を模索するのに役立ちます。バリュードライバーに焦点を当てることで、ビジネスの成功は、すでに提供しているものをより多く売ることと同じだという狭い考え方に陥る可能性を低くすることができるのです。


第6部価値の創造―シンプルで優れた戦略の目的
戦略の目的はただ1つ、価値の創造にある。顧客、従業員、サプライヤーにとってより多くの価値を生み出すために、十分な創造性と想像力を働かせるバリューベース戦略をうまく行う企業は、最終的にその業界をリードすることになる。

第19章 点と点をつなぐ
　マイケル・ポーター教授は次のように説明しています。
「スタック・イン・ザ・ミドルになるのは、多くの場合、企業が競争する方法を選択しようとしない ことを反映している。あらゆる手段で競争優位を獲得しようとするが、何も達成できない。なぜなら、異なるタイプの競争優位を同時に獲得するには、通常、互いに矛盾した行動が必要になるからである」
　しかしながら、バリュードライバーが自然につながっていれば、ポーター教授が指摘する矛盾が顕在化することはありません。トミー・アダプティブは、不利な立場におかれた顧客に顕著な価値を生み出し、プロジェクトに対する従業員の熱意は自然にそれに続きました。本書では、このような結びつきを随所で見てきました。
　クエスト・ダイアグノスティクス(Quest Diagnostics)は、コールセンターの従業員にとってより魅力的な職場環境を作り出すと(WTS低下)、通話クオリティが向上しました(WTP上昇)。
　ショッピングモールは、アップル(Apple)の集客効果が高いので(WTP上昇)、テナント料を優遇しています(WTS低下)。
　ナラヤナ・ヘルス(Narayana Health)の医師は多くの手術を行うので、生産性が向上し(WTS低下)、クオリティが高まっています(WTP上昇)。
　インテル(Intel)(およびサムスン(Samsung)など他の成功した半導体企業)が製造歩留まり(欠陥のないウエハーの割合)を上げると、製品の品質が上がり(WTP上昇)、コストが下がります(WTS低下)。
　ザラ(Zara)のファストファッションモデルは、在庫を減らし(WTS低下)、顧客にカットや色の最新トレンドを提供します(WTP上昇)。
　プログレッシブ保険(Progressive)の緊急車両は、事故に遭った顧客により良いケアを提供し(WTP上昇)、不正行為や管理費を削減します(WTS低下)。
　自分で座席を選びたいのでオンラインでフライトのチェックインを行っているのなら、あなたはより幸せな顧客であり(WTP上昇)、航空会社の人件費の削減にも貢献しています(WTS低下)。
　
　本書が、ペンを取って紙にバリュースティックを描き、対話を始めるきっかけになればと願っています。調査することは役に立ちます。
　あなたには、組織のポテンシャル、すなわち、改善能力、そして、より高いレベルでのパフォーマンスについて、楽観的になる理由があります。同時に、自社のバリュースティックに関する初期の対話で意見の相違があったとしても、私は驚きません。心配したり、落胆したりしないでください。あなたの経験は一般的なものであり、このような相違を表に出すことは有益なことなのです。
　具体的なデータを使用していくつかの推測を確認し、重要な事例を収集して優先順位を明らかにし、現在の成功と将来の機会についての共通の理解に向けて取り組んでください。そのとき、あなたは企業の最上位のパーパス、すなわち、顧客、従業員、サプライヤー、株主に対して価値を創造することに確かに貢献しているのです。

第20章 社会的価値
　私たちはもっとうまくやれると強く確信しています。進歩の鍵は、価値の獲得ではなく、価値の創造に絶え間なく焦点を合わせることです。幸いなことに、ここに矛盾はありません。経済的な成功は、真の価値創造に続くものであることを、私たちは何度も目の当たりにしてきました。政策レベルでは、企業のリーダーは、上記の4と5に細心の注意を払う必要があります。市場を弱体化させれば、私たちはより貧しくなり、さらに分裂することになるに違いありません。しかし、最も重要な仕事は、企業のなかで行われます。あなたが組織のなかでどのような立場にいようと、1人で仕事をしていようと、チームで仕事をしていようと、大企業を率いていようと、WTPを高め、WTSを下げるための新しい方法を絶えず追求してください。あなたの役割は、きわめて重要であり、かつ崇高なものです。これに納得できるでしょうか。
　他人のために価値を創造し、大なり小なりその人の人生に触れることに夢中になることほど、素晴らしい生き方はないでしょう。

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価値を徹底的に追求、考え抜くこと
ただ頭で考えるのでなく顧客のバリュードライバーを使ってロジカルに価値ベースで戦略を立てること

不確かな領域には必ずしも効果があると言い切れないと思うが良い気づきだった。

WTPを考えがちだが、WTSも重要であること。サプライチェーンや自社の従業員のエンゲージメントも含めて効果ある施策を立てて、総合的に良い方角に導ける戦略。当たり前だけど、一つに集中すると忘れがちだな〜と思った。