紙の本
日本のソフトウェア産業が魅力ある産業となるために
2008/11/16 23:07
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本のソフトウェア産業が駄目な理由を企業・エンジニア・業界・ユーザなど様々な視点から探り、問題の本質に迫っている。経営者、エンジニア、業界団体、システム発注側のユーザなど全ての人が読む価値がある。
本書の議論ではエンタープライズ向けのソフトウエアを扱うセグメントに集中しているため、組込みソフト、PC用アプリケーション、ゲームソフトなどには触れていない。従って、市場も異なる全てのソフト産業に当てはまらないものもあるかも知れないが、組込み系の開発をしている自分には多くの共通点が感じられた。エンジニアやコンサルタント、システムユーザなど業界の6人も実名で登場し、議論に加わっており、偏った意見にはなっていないと感じる。
「公共投資への依存、丸投げ、下請けの連鎖、手抜き、不透明な料金など建設業界と似通った問題」がソフト業界にもあるというのは事実だ。様々な問題を指摘されて、私自身の問題を指摘されているようで耳が痛い部分も多い。本書では企業・エンジニア・業界・ユーザ全部にダメ出ししているわけだが、今後もダメなままではソフト産業は衰退産業となりかねない。ダメなところを改善していく必要がある。
私はソフトを作る側の人間だから、新興国の追い上げで、仕事が海外に流出しつつある現在、最も興味があるのは日本のソフトウエア開発企業の今後の生き残り策である。第3章では日本のソフト会社が生き残る道として次の3つを挙げていて参考になる:
・顧客密着型のきめ細かいサービスを売りにする(曖昧な要求をまとめながら開発)
・上流開発(顧客のビジネスとITの橋渡し)
・極めて専門性の高い分野、優位性のある分野に特化
本書にはこれまで自分が感じてきたことも多く書かれており、自分の課題も再認識させられた。またソフト・ビジネスのあり方やキャリア形成の考え方などを考えさせられた。環境も大きく変化している今、経営者、エンジニアその他にも思考の転換を求められている。
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実にリアルな本ですw。
・エンジニアに優しくない会社
・国内エンジニアの競争力の低下
・下請け丸投げのゼネコン体質
・勘違いした顧客企業
いろいろな観点から、問題について切り込んでいます。
ただ、問題を解決するための提言という観点には、あまり触れられていないのが残念。
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日本のソフトウエア産業の「現場」で起きていることが書かれています。
有能な人ほどデスマーチプロジェクトに投入される現実。
国内のアプリケーションしか作れない技術水準。
日本のソフトウエア産業を復活させるには、会社の体質改善と技術力強化が必要です。
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若干古い本ではあるものの(2008年)書いてある内容は現状も変わっていないと感じられるものだったので買ってみた。
未熟かつ経験不足なりにIT業界の将来を憂えるものとして、業界の問題点を把握して改善のためにアクションを起こせるようにしたい。
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正直、あまり好きじゃないですね、この本の書き方。
書いてあること自体は、的を射ていて業界の末席ながら属している自分にも納得はできるんですが、問題を語るわりに問題をぜんぜん整理していないで書き散らかしている印象を受けました。
なので、問題を整理してこういう根本問題がある、ということを期待して読むのは間違えの本ですね。
また、正直ロジックに飛躍があるのは事実ですが、筆者の書いていることを疑ってはいけない、というスタンスを持ちながら読むにつきます。
ロジックがごちゃごちゃになっているのは、筆者が座談会を開いて数人の人と話した内容をそのまま構成せずに載せていたりすることに原因があると思いました。これがこの本の売りといえばそれまでですが、個人的には非常に残念な気がしました。
2010/12/31読了
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3年前の本、状況はいまも特に変わらず、、
問題点の指摘は合ってると思うけど、解決策の結論が”独立をすること”になってのは佐々木○○さんの受け売りかな?
まあ、初頭に酒が入った座談会っていてるから許すwwww
SEをめずすことはこういうことだ、、だからプログラマーになれ、、、って日本にはプログラマーがあるけど、プログラマーという職種がないのかっ!www
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とりあえず共感。
キャリアパスが事務的管理職しかないのは、技術バカにはつらいよね。
技術で飯を食う人だっていていいはず。
改善していきたいし、していかねば。
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ソフトウェア業界で働く筆者含む数名が座談会で語ったことを書き散らかした本。エンジニア、業界、ユーザーの観点から問題提起をしている。
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分かる。とてもよく分かる。
この本を読んで「分かる分かるほんとダメだよね」と共感することで、「何も分かってない」その他大勢よりも上を行っているような気がしてくるのだけど、気がするだけで、結局のところ何も変わらない。
それでもこんなダメっぷりをしっかりと意識することが大事なのだ、と何となくそれなりに収めてしまおうとするのが悪いクセで、それで終わらず本気で行動に移さなければ、自分たちの仕事はいつまでもダメなままなんだろう。
だいたい5年前に書かれたこの本が今頃になっても「よく分かる」ようじゃダメなのだ。
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日本の開発現場で働いている人なら誰でも頷けそうなダメな部分を対談形式で語る書籍。特に明確な解決策等を提示しているわけではないので、自らが似たような問題に直面した際に解決するための情報整理の資料、ぐらいの位置だと役に立つかもしれません。
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問題提起は納得できる。
しかし、まとめが個の話になっているため、単なる愚痴にも取れてしまう。
間違っていても良いので、もう少し高いレベルの解を出して欲しかった。
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刺激的なタイトルの割には若干肩すかしな感もないではないが・・・
現実の問題をかなり正確にとらえているのだろう。
どうすれば改善できるのかをもう少し突っ込んでくれれば良かったと思う反面、もしかしたらもうどうしようもないということなのかも知れない。
2回目:当時に比べユーザ企業側の経験もしたので、また別の視点で見ることができた。
10年経ってもあまり変わらないんだな・・・
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本書で、受注ソフトウエア開発販売のことを、日本のソフト産業と呼ぶ。すごく範囲が狭いが、そう定義したのだから仕方ないのでそれに従って読み進めた。 その狭い範囲での日本のソフト産業がダメな理由は、大きく言って以下の2つ。1)エンジニアのレベルが低い2)ユーザのレベルが低い。1)についての理由は、・労働環境が悪いので、人が集まらない・エンジニアのレベルにより給料が決まらないので、レベルの低いエンジニア自身が困ることはない。・エンジニアを組織的に育てる仕組みがない・昇給と昇格が連動している会社がほとんどなので、エンジニアのキャリアパスがマネージメントへ進むか、今の給料に甘んじてエンジニアを続ける以外の選択肢がない2)が引き起こす現象は、・システムで実現するものは本来ユーザが定義しなければならないが、それができないのでベンダーに丸投げ。これによりベンダーが甘える。・レベルが低いので大きなベンダーに頼る。これにより、元気のよいスタートアップ企業が育ちづらい。・ベンダーのレベルを推し量ることができないので、2重3重の下請けが発生し、まとまった知識が作り上げられない・などなど 言っていることは非常に正しいと思う。システム受注ソフトに限らずたのソフト開発産業においても似たようなものだろう。で、どうすりゃいいの?エンジニアはフリーランサーになるべきであるという提言以外、具体的は提言はなく、フリーランサーになるためのプランも書いていないようでは、単なる愚痴の本と切り捨てられても文句は言えまい。
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2008/6/30 〜 10/10 やっと読み終わった。
この本を知ったのは、電脳会議
⇒ URLは http://gihyo.jp/book/pickup/2008/0046 『「ITがダメ?もうあきらめているよ」という方にこそ読んでもらいたい1冊』 :
ITとは 【情報技術】 (Information Technology)
「日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由」・・・
え〜? ソフト業界って ダメなんだ? そんな興味で 読んでしまった。
IT業界の有能な7人が 4つの視点から問題を明らかにする。
海外では時代の寵児となっているIT、だが日本では 若い人には 「新3K」として嫌われている。
それは、日本の他の業界にも 共通する問題点であったり、ITならではの問題点だったりです。
どうすればいいのか? この本に書いてある問題が そう簡単に解決できるとは思えない。
自分のモチベーションを高く持つだけでは、業界の質を良くすることはできないよねぇ。
興味がある方は、読んでみて! 何かヒントがあるかも。
内容
熱心で有能な人間ばかりババを引かされる、エンジニアの理想像と会社が求める人材像が一致しない…。
日本のソフトウェア産業が抱える問題点や課題を、会社、エンジニア、業界、ユーザーという4つの視点で浮き彫りにする。
著者
米連邦政府機関、外資監査法人系コンサルティング会社を経て、独立。
金融等の業界に対してコンサルティング支援を行う。
著書に「ITエンジニアのための〈PMBOK2004〉がわかる本」等。
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”刺激的なタイトルにひかれて購入。
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T:
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O:
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<読書メモ>
・自分の殻なんてわりと簡単に捨ててしまってよい
自ら動いて多くの人と交わることで、殻が変わっても、変わらない芯が自分にあることも見えてくる(p.20)
・ソフトウェア会社側が喜んで引き受けてくれる議事録は、内容を確認すると、彼らからのお願い事項しか書かれていない。一生懸命に動いてくれているのは痛いほどわかるのだが、決して何かを一緒にやろうというスタンスにはなってくれない(p.50)
・庄司敏浩さん
「社会を豊かにするシステム作りについては日本に一日の長がある。マンガとアニメだけではなくてね。たとえば、視覚障害者のための情報デバイスなど、海外にも売れるようなシステムを作ることだってできるはずです。」(p.81)
・「好きだから技術力がある、そういう人たちをうまく使うシステムがあると、本当はいいですね」(田倉達夫さん)(p.89)
★人月計算
このことは残念ながら「開発者を用意します」というコミットにすぎない。実際の開発にどのくらいの工数がかかるか、という問いへの答えにはなっていない。(p.121)
★そのIT導入は投資になっている?(p.167)
その投資でいくら儲かる?→システム買いが目的のIT投資ではないか?
結果として仕事がどう改善する?→形だけ整えたいIT投資ではないか?
・たとえ乱暴な意見でも、多くの人が核心に触れずにグチだけ言ってきた問題を解決するヒントくらいになるのなら、口に出す人たちがいてもいい。(p.185)
・踊り場から転落せずに新しい発展の道を指向するのなら、技術で生きる人、技術者の仕事から実利を生み出す人、それぞれに求められるのは、その道のプロであることではないだろうか。(p.189)”