ヤマハ9さんのレビュー一覧
投稿者:ヤマハ9
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2001/03/26 01:41
21世紀にも輝きを失わない「20世紀の本」
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2000年はIT(情報技術)ブームだったせいか,20世紀はそれこそ,情報技術の発達の世紀だったという印象がある。
そういう時に,例えばこの本のなかで,「20世紀は限りなく裸に近づいていった時代」(三宅一生)といった一行に出会うと頭をガツンとやられた気になる。
そう,20世紀の「良品」を列挙したこの本には,軍手とクリップとか,普段は気にもとめないような,しかし,20世紀の人々の知恵が凝縮したような「もの」がたくさん詰まっているのだ。
音楽を再生する蓄音機は,限りなくスマートな「ウォークマン」に生まれ変わった。電話は携帯電話に,本も文庫本というハンディーなサイズに,そして着るものも,Tシャツとジーンズへ。
勿論,いろいろなものが溢れている現代だけれども,間違いなく一つの潮流として,こうした「そぎ落とされ,洗練された日用品」が出来上がったことに気付かされる。
そして,こうした雑多な思想の詰まった「良品」がコンパクトな一冊にまとまったことを喜びたい。それぞれの寄稿者の文章はシンプル且つ,含蓄に富み,時にユーモアがある。写真も丁寧に取られており,センスがいい。
20世紀の終わる前後に出版された幾多の「20世紀本」のなかでも,もっと読まれていい本だと思うし,21世紀の間本棚の中で輝きを失わない本だ。
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