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マルタの梟さんのレビュー一覧

投稿者:マルタの梟

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紙の本暗号 Back‐door

2000/10/13 20:00

ネットワーク社会の奥に横たわる巨大な闇の不気味さが、作者の想像力を通じてひしひしと伝わってくる。

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 実用書の世界ではコンピュータ関連書籍が売れまくり、ハッカーやコンピュータウィルスの話題がしばしばマスコミを賑わす昨今だが、日本の小説界では、本格的にコンピュータやネットワーク社会を取り上げた作品が意外に少ない(小道具として登場することは頻繁ではあるが)。小説作品にとって同時代性の追求は重要な要素のはずで、時代状況としてのコンピュータ社会が孕む本質的な問題に真正面から取り組んだ作品がそろそろ出ないものかと思っていた。阿由葉稜「暗号—Back-door—」は、ようやく私のそんな欲望を満たしてくれた。

 目の前で起こった親友の不可解な死に始まるストーリーは、コンピュータやネットワーク社会のベーシックな枠組をきっちりと押さえながら、展開はあくまで破天荒だ。平凡なサラリーマンである主人公の日常を襲った不可解な事件。そして次々仕掛けられる謎めいた罠。やがてスパイや巨大諜報機関が入り乱れ、物語は章を追うごとにスケールアップする。一介の市民と巨大な権力との壮絶な死闘——。テーマとして決して新しいものではないが、インターネット社会という国境もなければ統治する法もないサイバー空間が舞台となれば、そこには特異なリアリティが生まれる。

 現実の舞台は市川市国府台にある石黒悠太の自宅だ。平凡などこにでもある家庭が、アメリカ、ロシアといった超大国をも巻き込んだサイバーバトルの戦場となる。まさにインターネット時代の本質を捉えた設定といえよう。ネットワーク社会の奥に横たわる巨大な闇の不気味さが、作者の想像力を通じてひしひしと伝わってくる。

 「21世紀の門出を飾るにふさわしい大型新人の誕生」という森村誠一氏の賛辞に引かれて手に取り、最後まで一気に読まされてしまった。ノベルスとしては珍しい(といってはノベルス作家の皆さんに失礼か?)、スケールの大きいテーマを持った作品だが、絶妙のストーリーテリングで緊張の緩む箇所がない。確かに並みの新人の作品ではない。

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