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先月(2017年8月)

安斎あざみさんのレビュー一覧

投稿者:安斎あざみ

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本グーグーだって猫である 1

2000/11/05 05:52

動物と暮らすということ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 それにしても私はうかつでした。この名作が『本の旅人』の前に、『ヤングロゼ』で連載されていたことを、まったく知りませんでした。申し訳ありません。誰に何に謝っているんだかわかりませんが、ほんとうにそんなまずい気持ちです。
 この本の前半は『ヤングロゼ』連載分で、サバ(グーグーの前の愛猫)の話、それもサバの死の話から始まり、随所にサバが登場します。

 グーグーがやって来てからも、ついついサバのことを思い出して比べてしまいます。グーグーが泣いても、ウンチをしても、歯が生えてきても、いちいちサバの時は……、と記憶が戻り、気がつくと「サバ」と呼んでいたりします。我が家にも犬がいるのでまったく人ごとではなく、面白い話であるのに、いや面白い話だからこそ、涙なくしては読めません。

 そして、この前半を読んだ後に、『本の旅人』連載中の後半部を読むと、ただ楽しく騒がしい猫との生活だと感じられたものが、微妙な哀しさを基調としたものに変わります。

 大島家に猫が増えてゆくこともあって、サバが登場することはめったになくなりますが、サバの死に対する氏の自責とかなしみが、いつも頭と心のどこかにあります。ケガをした野良猫を見過ごせないとき。少しでも猫たちの様子がおかしいと病院にすっとんで行くとき。また猫たちのちょっとした仕草に一喜一憂し、じゃれ合ったりするとき。氏の行動の一つ一つに、サバの分の愛情もそそがれています。

 一人で勝手に哀しみにひたって涙してアホか、と言われそうで、またそんな読まれ方は著者も本望ではないと思いますが、一度でも動物と生活する素晴らしさを知った人ならば、やはり似たような感想を持つでしょう。

 動物と暮らす人間の普段の気持ちは、本書第16話の最後(P69)の詞 (願い)がとてもよく表しています。引用はあえてしません。

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ターシャ・テューダーの世界

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 きれいに歳をとりたい。特に女性なら、その思いは強いかもしれません。私も寿命の半分近くまで来て、自分はどういう婆さんになるか、なりたいか、なってしまうか、かなり頻繁に思い描くようになりました。
 きれいな婆さん、かっこいい婆さん、頑なな婆さん、静かな婆さん、賑やかな婆さん、意地悪な婆さん。どれもそれぞれ少しずつ魅力がありますが、どんな婆さんかというのは結局他人の評価にすぎません。自分の生活を楽しみつつ、自分はババアだという認識を失わないうちに無理のない寿命を全うできればよしと、今のところはしておきます。
 では後半生をどのように過ごすか。ターシャ・テューダーの生活は、ひとつの理想的なイメージを与えてくれます。八十五歳の女性が一人森の中で暮らすには様々な不都合や不安があるにもかかわらず、ターシャ・テューダーの暮らしぶりを羨ましいと思うのは、彼女が長いこと望んでようやく手に入れた生活に感謝し、毎日を変わることのない愛情をもって大切にし、心から楽しんでいることが感じられるからです。
 ターシャ・テューダーは二十五歳のときに、はじめての絵本『パンプキン・ムーンシャイン』を出版しました。今までに八十冊以上の本の挿絵、絵本を描き、仕事でなくとも紙を前にすれば手が動いてしまうかのようにスケッチをし続けています。しかも、よりよい作品のために常に新しい方法を模索しているというのですから、すごすぎて言葉で称えてしまうのはおこがましいほどです。
 私が好きな作品は、ターシャ・テューダー自身一番好きだという『コーギビルの村まつり』(1999年メディアファクトリー刊/食野雅子訳)【原題『Corgiville Fair』1971年crowell社】です。登場するのはすべてコーギ犬やウサギや猫やヤギや豚やアヒルなどの動物で、コーギ犬が村まつりの最大イベント「ヤギレース」に出場し、新記録で優勝するというかわいらしい話ですが、ここに描かれているコーギ犬が何とも言えずいい顔をしています。特に、八匹の笑顔のコーギ犬が正面をむいて並んでいる絵は涙が出てきます。ターシャ・テューダーがほんとうにコーギ犬が好きで好きでたまらないというのが、衒いなく伝わってきます。ふつう、同じ動物(作者にとっては同じではありませんが)を八匹も描こうとすれば、どれか一匹くらいは拗ねた表情にしてみたり、よそ見をさせてみたりして、いらぬバランスをとってしまうものですが、ターシャ・テューダーのコーギ犬たちは、どれもきちんとお座りをして、飾り気もなく、ふつうに笑っています。そしてどの犬も幸せそうです。こういう品と力を備えた絵は、犬を愛しているプロの画家にしか描けないものです。
 ターシャ・テューダーは自分が好きなものの愛し方をきちんと解っているのだと思います。相手が動物であれ植物であれ旧い鍋であれ一枚の布であれ、それぞれにふさわしい接し方を心得ていて、手を抜いた扱いを決してすることがない。自分に関わるものすべてにそれを貫き続けることは、並大抵のことではありません。しかし、それを少しも大変そうにでも忙しそうにでもなく、気づいたら楽しくやってしまっているのがターシャ・テューダーです。
 すごい婆さんになるには、やはり今から毎日を面倒くさがらずにきちんと過ごすしかないようです。

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