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  3. 日栄 章さんのレビュー一覧

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先月(2017年6月)

日栄 章さんのレビュー一覧

投稿者:日栄 章

6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本西洋事物起原 1

2001/07/14 16:19

翻訳者の仕事について

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 18世紀欧州の百科全書的風潮にあって、著者の仕事はリンネのような同時期の分類学の礎を築いた著名な研究者たちに圧されて永らく紹介される事はなかった。

 学術面でのみ垣間見える諸事物の分類と体系化の歴史の中で、博物を収集する試みとその真贋を見極める手法については、大英博物館開館に見る蒐集家たちの膨大なるコレクションが語るように実に多義多様である。
 それ故に、19世紀の発展思考においてはその結果のみを享受するといった安直な姿勢によって、蒐集家の仕事、それ自体が歴史の深遠へと埋没してしまう処であった。

 こう考えてみると、まずは著者の仕事の重要性に着目しそれを翻訳した訳者の仕事に敬服せねばなるまい。一面では事物の収集にかけた著者の熱意を、単に羨望と憧憬の眼差しで眺めるだけの骨董品好きな人物であったとしても、読み込んで行く内に、それが学術的に非常な価値のある仕事である事に気づくに違いない。

 こうした史上の逸材にスポットを当て、その紹介に辛辣な態度で臨む訳者の姿勢に賛辞を送ると共に、4巻あるこのシリーズがその驚嘆すべき内容から、決して興味本位で史実のみを追跡されるに留まるものではなく、学術的な価値のある事に注視せねばなるまい。

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科学って何?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 風変わりな本書の題名に、そのタイトルから興味を抱かれた方も多いでしょう。
あるいは、世界第一級の古生物学者グールドの著者名によって、本書を手にされる
方もきっと多いことでしょう。

 本書の著者であり、ダーウィニスト。映画『コンタクト』でもお馴染みの天文学
者、カール・セーガンの幼馴染みでもある、米国のスティーブン・J・グールドは
科学の殿堂『ナチュラルヒストリー』誌のコラムニストであり、20世紀を代表する
科学史家の一人です。

 さて、肝心の本書の感想としては、まず「面白い!」のひとことを抜きには語れ
ません。一体、その面白さはどこから生まれてくるのだろうか。そして、本書が月
刊で連載されたコラムの再版である事を知らされると、「すごい!」のひとことが
思わず、こぼれてしまうに違いありません。と言いますのは、本書に含まれる短編
エッセーの一つ一つが、まさに知の宝庫であるからであって、そのエッセーを裏付
ける科学的事実が、決して他所の文献からの受け売りではなく、必ず一次文献に則っ
て、著者の目を通して作品が描かれているからなのです。

 著者の作品としては他に『パンダの親指』がありますが、著者の姿勢は決して妥
協される事無く、一貫して事実に従っています。「だから」面白いのです。些細な
事実を更に捻じ曲げて面白くした作品とは、根本的に本書は異なっています。だっ
たらつまらないんじゃないの?と仰る向きもあるかもしれません。

 それは、単に事実という事柄だけに固執した読み物が、現実にはずいぶん多いと
いう事です。どうやってその事実が考えられたか? また、その時代のどんな風潮や
思想がその事実に貢献したか? 著者の目は、常にそこを見ています。裏を返せば、
人間は本当にハッとさせられる思考によって、長らくの時代を生き抜いてきたので
あって、そこが論じられるのが魅力的で、興味深い事なのはむしろ当然なのかもし
れません。

 僕らの科学は、一見なんだか固くて冷たそうで寄り付きがたい感じがしますが、
グールドの語る科学は、とても温かく、そして馴染み易く、親しみ易いものなのに
気付かされます。本書には「大リーグ」や「見世物」など身近でいろんなエピソー
ドが詰まってますが、科学って一体何だろう? そういった興味をお持ちの方に、是
非本書を読んでいただきたいと僕は思います。

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歴史読み物から、何を読むか?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 プラトンの「イデア」にあって、ルネサンス以後の大半の科学者が「物質と生命」に拠り所を見出してきたように、時間と時代を通じ、位相にこそ「イデア」を見い出し得た事が、この現代技術の礎を築いたのだと考える方はきっと少なくないに違いない。
 事物はあたかも連続写真の羅列でもあるかのように、それら全てにイデアが宿るとしたプラトンの哲学は、これ以後、運動や映像、更には進化論にも至る工学の時代を遂に実現した訳である。その過渡期とも呼べる時代に位置した百科全書派の代表的な人物、ビュフォンを通じて、本書はこの時代の知識人らが如何なる自然観を持ち、偉大なる古代の伝統的思想からの変貌を、如何にして成し遂げたのかを語る、実は極めて記念碑的な書物であると、まず私はこう評価している。
 何故、記念碑なのかとたずねられれば、こう答えるだろう。——長きに渡ったニュートン学徒とライプニッツの論争は、数学を始めとした古典論理の世界をある終着点へと誘引した。「無限」の問題を通じ、様相論理に代表されるライプニッツの理論が大勝を得るとビュフォンは数学を棄て、やがて事物の収集へと自らの関心の方向を定める。
 学術が形而上の領域へと進む中、古代から続く伝統的な命題。——大いなる自然とそのミクロコスモスである人間、あるいは地球についての論考において、彼は、時代と時間という永遠なる道に、ある数の里定石を置く唯一の方法(第23章 歴史と自然)として、その『博物誌』を位置付けている。
 緻密かつ正確に事物を観察し、実験し、網羅する事に「時相」という概念を持って望むのは、かつての単一イデアに固執した古い科学とは、また違った新たなる世界を想起させるものであったのだ。
 その『博物誌』の解説書として本書は充分にその役割を果たすが、前述してきたように、私は著者のこの仕事が、副題でもある文化誌、あるいは歴史読み物としての着眼点にこそ、その大いなる魅力を感じるのである。

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文学の新しい読み方

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 18世紀のプレ・ロマンからデカダンスまでの文学、そして芸術を活写した著述家はジャンルを超えて非常に多く、まるで眩暈がしそうな程である。日本においても、詩人の春山行夫や瀧口修造といったシュールレアリストたちは、特にロマン派文化の移植に熱心であり、中でも幻想文学は散文詩と並び、当時の文学活動における金字塔としての地位を獲得するに至った。
 本来幻想とは、稀なるが故に異彩を放ち、稀なるが故に深長であって、陰暗と欲情を主たる題材として語られたる事は、名著であるマリオ・プラーツの“肉体と死と悪魔 ロマンティック・アゴニー”によって詳細に紹介されている。それらが時として、酷なほど陰惨であり卑猥でもあるのは、言語の持つ活写力が読み手の持つ想像力の助けを得て、現実には「あり得ない情景」をまざまざと再現してみせるが故であり、「あり得ない情景」を介して、実は読者は自らの現実以上の現実を知るといったレトリックがあったからである。
 さて、本書の主題は先に述べた「あり得ない情景」にあるが、そういった意味で幻想文学との近似点を著者であるマックス・ミルネール氏は序文において告白している。この「あり得ない情景」を映し出す装置こそが、題名となる“ファンタスマゴリア”なのであるが、物語は発明者であるリェージュ生まれの男、エティエンヌ・G・ロベールの周辺からまず始まる。
 A・キルヒャーの魔術ランタンからW・ベンヤミンの「複製技術時代の芸術」に至るまで、本書は一貫して「情景」を追求するが、それはまさに前述のプラーツの著作が述べる「情念」が、本書による「情景」と一種のアンソロジーを形成している事をさし示すくだりで完結される。
 しかし、敢えて結論に際しては特筆するには当たらないと私は思う。何故ならば、我々は江戸川乱歩の作なる“押絵と旅する男”の主人公の兄が、遠眼鏡を介して押絵の女に恋情を抱く物語を知っているし、さらには泉鏡花が榴ヶ丘での咽るような香気による幻視を題材にした物語をしたためているからである。
 熱心な幻想文学の愛読者であれば、そんな事は先刻ご承知の事であろうし、仮に熱心ではなくとも、同時期の文学を今さら語る事に、好奇の目を向ける読者はいないだろう。ところが、本書は実はそんな読者をこそ待ち望んでいるのでいるのである。著者は「ファンタスマゴリア」という光学装置を介して「情景」を批評する事で、逆に読者は作品に流れる「情念」を得るといった幻想文学とはまったく逆のプロセスを目論んで、本書では題材とした文学作品を引用紹介している事にある。
 著者が如何にしてこういう着想を得たのかは定かではないが、啓蒙の世紀(光の世紀)と呼ばれ、文学作品や作品批評などは星の数ほどもありそうな時代を背景に、読者の知的好奇心を保ちつつ時代を縦貫する著者の博覧強記ぶりには、素直に脱帽せざるを得ないだろう。

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異教的中世

2002/09/28 18:38

歴史への扉

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 昨今の日本では「癒し」が密かな、いや結構なブームを呼んでいる。この科学の時代に
一体何を言ってるの?と言われかねませんが、しかし「ヒーリング効果」なんて迷信だよ
と言い切られる方ばかりであれば、たぶんこうしたブームは招来されなかった事でしょう。

 本書の舞台は西欧の中世。中世って言うと、キリスト教だとか、ギリシャ&ローマ時代
を再興したルネサンスだとかが西欧の歴史なんだと思っておられる方は存外多いと思いま
す。それもそのはず、かつての教養書の多くがそういったジャンルばかりを選んでいたの
ですから、よもや他があるなんて思いもしないな…というのが、妥当なんです。

 ところで、この「癒し」ブーム。それを裏付けるかのように、中世の一人の女性を描い
た本が、2002年には立て続けに出版されているのをご存知でしょうか。94年に出版された
種村 季弘著『ビンゲンのヒルデガルトの世界』が再版されたかと思うと、『聖ヒルデガル
トの医学と自然学』によって原典翻訳がされました。他にも『ビンゲンのヒルデガルト
中世女性神秘家の生涯と思想』など、ビンゲンのヒルデガルトは本邦でもスターになって
います。

 本書を構成する6人の著者も、概ねこの人物を中心に据えて論述しているのですが、本
書の目的は実は別にあります。後世、キリスト教や古典時代に彩られた中世が一般化する
中で、当時の文化形成に実は、土着信仰や民俗が大きく関わっていたというのが本書の言
わんとする事なのです。

 あたかも科学の時代に「癒し」などの代替医療が流行るように、本書は北欧の民俗を元
に西欧の中世を描き直します。もしも現代が後に未来社会から描かれたら一体、どうなる
事でしょう? 本書のような作品がなければ、きっと「癒し」は忘れ去られてしまうに違い
ありません。歴史は一義的なものとしてあるのではないと、言葉ではわかってはいても、
如何に社会的に大きな影響を誇ったビンゲンの癒しも、長らくの間、扉に閉ざされたまま
だったように。

 本書は、その扉を開いてくれる一書ですが、知的な女性にぜひ一読をお誘いしたい内容
に仕上がっていると思います。

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紙の本入浴の女王

2001/07/14 15:44

銭湯に見る表情の在り処

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 人間に表情があるように、銭湯にも表情がある。表情に受動的あるいは能動的といった区別を与えてみると、銭湯が自らの存在を能動的に表現してくれる要素の一つに“湯”がある事を知った。
 著者はそれを膳部に見立て“汁”と呼んではいるが、我々が近在の銭湯を語る時に安易に捉えがちなのが、多分に自らの期待感に寄せた銭湯の受動的な表情であり、著者の語る“具”の部分であった。
 さて“具”と“汁”なる料理の妙を著者は老舗の銭湯に探訪しているが、地理と歴史に彩られた銭湯の表情たる“具”と、人物を介した銭湯の表情たる“汁”の織り成す味覚を、著者は十二分に引き出しているではないか。
 通の分析眼に叶うだけの銭湯の在りかを、どうやらここで見つけられそうな気がしてきた。

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