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先月(2017年6月)

サスケさんのレビュー一覧

投稿者:サスケ

2 件中 1 件~ 2 件を表示

ガンにかかると人生が変わる

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 一年半前に末期食道癌の手術を成功して、ほぼ普通の生活を送っていた父親は背骨の痛みを訴えて検査入院した。しかし入院したときから何かが異なっていた。前回の入院では明日をもしれぬ命と言われた状況の中で、気丈にも新たな研究書を読み、ベッドで私に最後の講義をしようとした父親は、今回、病室に何も持ち込んでいなかった。ただ検査ということだけだったのに。

 結果として癌の再発が見つかり父はあっというまに死を迎えることになった。もちろん父親は本も読まなかったし講義もしてくれなかった。病院の対応も前回とは異なっていた。再発の癌は、凶悪な顔をしていることが多い、担当医はそう教えてくれた。治療は不可能だと医師は最初から匙を投げた。刻々癌が広がっていくのを目の当たりにしてそれもしかたがないと思った。

 一度手術した後の患者の世界はまったく異なるものなのだ。それを明確に教えてくれたのが、『わたし、ガンです ある精神医科医の耐病記』だ。父親が入院しているときにこの本を読んでいたらなぁとつくづく思った。

 癌にかかり、手術をし、予後の治療をする。そして再発したらまた治療する。という癌の治療は、一連の流れをもっていると思っていた。そうではなく癌の手術をするとそこで人生が一回切れるぐらいの変化が訪れるのだ。

 この本が貴重なのは、癌の手術をして、次の発病までの間に書かれていることである。そして、患者でありながら冷徹に癌と自分と治療を見ていることだ。再発することを前提にこの本は書かれている。そして癌にかかって手術した後は、違う人生をいきるのだということが何度も語っている。そこがポイントだ。家族には患者のそこまでの気持ちまで分からないからだ。僕も父親の気持ちを汲めなかった。この本を読んではじめてそうしたことが分かったのだ。

 他の記述、たとえば『患者よ、がんと闘うな』近藤誠への著作に対しての疑問も興味深いし、民間治療やインフォームド・コンセントに対する意見も明確で共感できる。告知のこともある。発生の研究からどう対処するかに癌研究が移っている現状も描かれている。癌と現在の治療、そして患者がどうそれを受け止めるかについて書かれている。癌治療は刻々進化している。『わたし、ガンです ある精神医科医の耐病記』は、2001年の貴重な癌耐病のドキュメントにもなっている。

『サスケの文章が読めるサイトはsasukeです。』

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がんにかかったらまず読む本

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 誰もが、関原さんのようにガン六回の手術と心臓バイパス手術から生還できるわけではない。それだけの資力とガンセンターのジャンルを越えた連携が成立したからなしえたことだ。しかし、その奇跡を引きだしたのは、関原健夫というバンカーの知性と諦めない気持ちである。
 諦めない気持ちと言うのは簡単だが、現実にガン闘病となるとなかなかむずかしい。大きな手術が終わってしばらく再発しないと、どこかで安心したくなる。その気持ちに鞭打って、再発するかもしれない、大丈夫かもしれないと、検査を続けていくのは並大抵ではない。
 ガン再発は間髪入れず関原を襲い続けた。それは、本を読んでいてすら、少し間を置いてよと言いたくなるほどの過酷な状況だ。ガンの手術もそうだが、この連続の再発というストレスに果たして自分は耐えることができるだろうかと思ってしまう。関原は強い。再発という病状を一つ一つ見つめながら対応している。
 5年後、生存率20%というほぼ死の宣告を受けながら、6回の手術を乗り越えてきた関原の文章に、生存したというヒロイックなところはまるでない。精緻でたんたんとした美しい文章である。全体を通して、ネガティブなところがなく、また気負ったポジティブなところもない。この本はノンフィクションとしても優れている。関原の闘病記録の向こうには、インフォームドコンセントから、現在の日本のガン治療の最前線の状況がリアルに浮かび上がってくる。ガンに立ち向かおうとする人たちに勇気と正確な知識を与えてくれる。
 関原のしてきたことは、日本ではなかなか難しいことだ。患者への告知すらまだまだためらいがちなのに、自らガンのデータを見据えて、手術可能かどうか判断していくということは稀なことだろう。西欧化しているようでしていない、擬似的な近代的自我しかもてていない日本においては、生きかたの挑戦ですらあると思う。
 ガンは、以前と比べて治療が進歩してきているが、まだまだガンが即刻死を意味するイメージは大きい。そのために患者や家族は極端になる。ガンと闘うなというのも極端であるし、また手術が万能なわけでも、ガンにかかったときの最適でもない。クオリティオフライフを良く考えた上での選択をしていくということが大切だろう。そのバランスが、ガンにかかった時の現実というものだ。関原は、知識をもって医者にぶつかり、そこでさらに自分の病気に対する情報を得て、バランスの良い選択をしたきた。本で読んだ知識を振りかざしたりはしない。それはまさにどう動くか分からないそして生き物のような経済を相手にしてきたバンカーの真骨頂なのだろう。関原もそうだが、ガンという病については知らないことが多すぎる。かかってその場で対応しなければならない。たまたま知識が得られば良いが、緊急な状況の中で、民間療法を含めた多くの情報の中から、現実的に有効な知識や態度を手に入れるのは難しい。ガンにかかったらまずこの本を読むことを勧めたい。

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