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先月(2017年1月)

jetbladeさんのレビュー一覧

投稿者:jetblade

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紙の本さいごの戦い 新版

2003/03/30 18:58

神秘の極み

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「さいごの戦い」というだけに、大冒険の最後の幕を飾る大スペクタクル・ラストバトルを期待していましたが、戦争というような大規模な戦いは行われず、少人数による特殊作戦といった感じだったので、少し拍子抜けした感もありました。そういう期待さえしなければ、むしろスリリングな政治的駆け引きを中心とした、巧みなストーリー展開が楽しめ、最終話として十分に盛り上がります。

優れたストーリーもさることながら、ナルニア国物語は全体を通して、私たちの現実世界にも関係する一つの超越的世界観を描いている点にも大きな重要性が込められています。この最終話は、その世界観の壮大なる完結編としての意義の方が大きいのかも知れません。

終盤におけるナルニアの終末および“ほんとうの世界”の描写はまさに圧巻です。「終わりの日に“時”が目を覚ます」など神秘に満ちた事象の連続に加え、ルイスが他の宗教著作の中でもたびたび言及している“イデア的天国”が、ストーリーならではの活き活きとしたリアルさで繰り広げられ、戦闘シーンに期待していた分を補って余りある大スペクタクルとなっています。おなじみの仲間たちやナルニアの大地、こちら側の現実世界までも含み、これまでの冒険が単なる表紙に過ぎないほどの壮大な物語が始まるという“ほんとうの世界”は、よくある天国についての誤解—“永久に雲の上でハープを弾いて過ごす”というような退屈なイメージを払拭するものです。

結末(というかキリスト教的天国思想)については、“死の悲しみに対する安直な慰め”と捉える方もおられるようで、さすがのルイスも、こうした誤解を与える余地を残してしまった事は手ぬかりだったのかも知れません。そこで、ぜひルイスの本意を知っておいて頂きたいと思います。
「わたしたちは、この世の慰めを天に求めても何にもならないということを経験によって悟る。天は天の与えうる慰めだけを与える。そしてこの世はこの世の慰めすら与えない。結局のところ、この世には慰めなど存在しないのである」—『四つの愛』より。

もしこの結末を慰めと見るなら、それは“天の慰め”であり、決して、地上の悲しみを消し去るためのものではありません。それゆえに、深刻な悲しみと神聖な喜びとが渾然一体となった、単純な慰めともカタルシスともつかない、極めて真剣な感情—ある種の超越的感情を起こさせるのです。

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