ふわふわさんのレビュー一覧
投稿者:ふわふわ
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2002/03/27 22:56
十の蜜のような愛の瞬間
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1998年の『すいかの匂い』から4年ぶり、江國さんの書き下ろし愛の短編集。十二分に楽しめました。
「私もまた、考えるまでもなく、彼女たちの一人なのでした」とうかがうまでもなく、鎌倉の病院の「ばばちゃん」1987年デラウエア大学のルームメイト、フランスにいて米英語をしゃべるマーク、肉汁がしたたるみたいな裕也の肉体と果汁がしたたるみたいな私の肉体、待ちきれずに抱き合う毎月曜日の逢引…、「江國さん」のいろんなかたちのそれぞれの蜜のような瞬間をかいま見る事ができて幸せです。
紫式部文学賞のトークで来年は短編の年にしますと宣言して一年余り、愛の感性を益々研ぎ澄ませた江國さんが書きたいと思ってその作品のために仕上げた『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』読む度に応えてくれます。松尾たいこさんの果てしなくつづく歩道のポプラ並木の装画とともに、果てしない生活のお供にぴったりです。
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