小林はなさんのレビュー一覧
投稿者:小林はな
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紙の本オープンハウス
2002/06/16 19:18
ヒトナリな世界
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学生の頃、辻仁成のファンになった。
辻仁成というよりも、エコーズの曲が好きだった。
残念なことに、その頃エコーズは既に解散していて
もう新しい曲は出ないんだ、と思えば思うほど
今出ている曲たちが貴重な存在のような気がして
何度も繰り返し聴いていた。
エコーズ時代の辻仁成をリアルタイムで知らなかった私は
突如、作家となって現れた彼に非常に戸惑いを覚えた。
メロディとともに、彼の書く詞がとても好きだった。
ただの言葉なのに、並べようによってこんなにも
人の心にぐっと入ってくるものなのかと。
でも、それは歌という短い詞の中だからこそ、かもしれない。
長編の物語になると、彼の言葉は魅力が無くなってしまうのでは…。
そういう不安な心から、なかなか作家としての彼の作品を
手に取ることができなかった。
そんな私がこの「オープンハウス」を手にしたのは、
装丁があまりにも魅力的だったから。
なんと説明したらいいのかわからないような絵柄と
字体、色合い、全てが私の心を奪った。
迷うことなんて無かった…。読み終えた後、そう思った。
いや、読んでいる最中からずっとそう思っていた。
彼は、ミュージシャンのときと作家のときと
名前の呼び方を微妙に変化させている。
私は初めて「ヒトナリ」な彼の言葉を目にし、
また深く彼のファンになった。
紙の本どすこい〈仮〉
2002/06/02 16:51
読み終わる頃には…
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一粒で2倍おいしい、なんてメじゃない本。
これは一冊で3倍も4倍も、いや、読みようによっては10倍くらいおもしろくなってしまう本なのだ。
私にとっての京極本はなんとこれが2冊目。
「姑獲女の夏」を読み上げ、独特の京極世界に足をふみいれつつあった私だが、どうしても次の本へと手が出ない。
だって…。
京極本、怖いんだもの。夢に出てくるんだもの。
現実離れしているようなのに、妙なリアルさが心に残る。
栞なんて必要ないほど一気に読み上げなくちゃいけなかった京極本の恐ろしさと自分の体力を考えて、小休止せずにはいられなかった。
そんな私が待ちに待っていたのが、この「どすこい(仮)」。
ホラーじゃない京極本と知り、喜んで飛びついた。
忘れられない、京極本の不思議なあの味を、また味わえることができるなんて! しかも怖くないだなんて、より素敵!
優雅に窓辺でくつろぎながら少しずつ読んじゃおうかしら。
そんな思いで本を開いちゃったんだけど。
あー、今までのものとジャンルは全然違うのに、
構成だって文章だって違ってるはずなのに。
やっぱり栞いらずで一気に読み通さずにはいられなかった。
なんなんでしょう、この魅力。
正直なところ、この本でパロディをしている元ネタ本の中には、まだ未読のものもあったのだけれど、そんなこと全く関係ないわっていうようなおもしろさ。
あー、ホラーじゃないから安心だなんて思っていた私が甘かったのね。
怖くないからリラックスしてバクバクお菓子食べながら読んじゃったおかげで、読み終わる頃には自分の顔の方が「どすこい」になりかけ。しかも、この場合は(仮)なんてついてはくれない。
ある意味、これって他の京極本よりも怖くない?
京極本の中で最も恐ろしい本、それが「どすこい(仮)」。
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