huyuさんのレビュー一覧
投稿者:huyu
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紙の本解放
2003/01/11 00:35
読後感が私達にあたえてくれるもの。
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「本の探偵」である赤木かん子さんの編集による、短・中編のアンソロジーシリーズです。セレクトされたテーマも、「読んでみたい」という気持ちをおこさせるものですし、中に納められた作品もしっかりと基本をおさえるところはおさえ、楽しいセレクトになっています。ここで出会った作家の他作品も読んでみたいと思われることでしょう。
この巻のテーマは「解放」です。自然体のまま、自分を解き放って生きてゆく。今の世の中で一番難しいことかもしれません。心に鎧をまとい、どこかをねじ曲げて日々生活を続けている…それが自分で自覚もなく行っているものだから、自分でも気がつかないストレスとなって苦しんでいるのかもしれません。
また、大人になればなるほど、自分で思っているよりずっと頭が固くなっていることに愕然とすることも少なくありません。
4つのお話が納められていますが、どの人々も、後悔、あきらめ、逃げ、寂しさ、不安、といった感情。また家族、信仰、社会、能力などの環境の中で、苦しみ悩みます。それは私達にも言えることですし、またそれ以上かもしれません。
しかし、彼らはまっすぐに前を向いて生きていきます。決意、自信、優しさ、愛情、勇気。それが、このお話たちの読後感の良さになっているのは間違いありません。
人間の弱さと強さ。このシリーズは児童書扱いとなっていますが、子供たちはもちろん、自分を縛り付けている大人たちこそ読んで頂きたいと思います。また、今現在大人に限らず、自分をがんじがらめにしている多くの空虚な中高生たちにも気がついて欲しいことですね。
こんなにまっすぐに生きられないとしても、このストーリーを読んだ後のすがすがしい「開放感」を感じ、ちょっと立ち止まって、今の自分に気がつき、見つめ直すことも大切なのではないでしょうか。
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