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成毛眞さんのレビュー一覧

投稿者:成毛眞

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本T.R.Y.

2002/07/22 13:50

bk1連載コラム「成毛眞からの手紙」第一信(2000年08月15日UP)より

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

成毛眞からの手紙 第一信

 経済・経営本の書評の約束だったけれど、このところ仕事が忙しくて読んでいない。その代わり溜めておいたミステリー本4連発を読んでしまったので、今回はそれで勘弁してもらいたい。それにしても言い訳がへんだ。古い本もあるけれど、いいか。

■『スピカ』(高嶋哲夫、宝島社)はいわゆる原発占拠物。テロリストによる原発を人質にした犯罪ミステリーだ。原発やダムなどの巨大科学危険建造物占拠ものは年に何冊も出るけれど、なぜか買ってしまう。しかし、この本どこかが違う。警察がバカすぎる。登場人物の名前がありふれている。テロリストの狙いがマンガだ。などの理由で却下。同じ占拠ものなら麻生幾の『宣戦布告』(講談社)か真保裕一の『ホワイトアウト』(新潮文庫)がお勧めだ。『ホワイトアウト』はダム占拠もので主人公がいい。寒そうだ。痛そうだ。で、日本ダイハード大賞を差し上げたい。

■『午前三時のルースター』(垣根涼介、文藝春秋)はいわゆるアジア自動車冒険ものだ。ん、そんなジャンルがあるのか。ベトナムを舞台にした自動車マニア追っかけっこ。しかし、こんなにいい登場人物たちばかりではジュブナイル冒険物として少年少女文庫に収めるべきものだろう。まあ、ベトナムに行って見たい気にはさせるけれどね。この分野では圧倒的に景山民夫の『虎口からの脱出』(新潮社)がいい。若いころこれを読んで中国を旅行したくなった。それにしてもこのジャンルの本はツアー企画の目玉になるかも。

■『DZ』(小笠原慧、角川書店)は遺伝子物だ。うーん、このジャンルは成立するね。この本もベトナムが絡む。流行なんだろうか。三冊のなかでは最高点を付けれるけれど、落ちには呆れた。横溝正史賞応募作だから仕方がないが、優秀な編集者がついていたらもっと完成度は上がったんだろう。惜しい。このジャンル、遺伝子工学以前に書かれた本でアイラ・レヴィンの『ブラジルから来た少年』(ハヤカワ文庫)が金字塔だと思っている。25年前の本だけれど全く色あせていない。

■『T.R.Y.』(井上尚登、角川書店)は明治大陸諜報物だ。これはお勧め。コンノベルとしても、冒険物としても、歴史物としても完成度は高い。明石元二郎が朝鮮半島に着任してからの物語だから現実味が増す。ところで『明石元二郎』(江宮隆之、PHP研究所)は小説ではなく簡単伝記もの。女スパイは登場するは、レーニンは出てくるはで小説より面白いかもしれない。それにしても現代の日本にはなんでこんな人が現れないのだろう。外交官、政治家などにいわゆるカッコいいひとが少なすぎる。戦後の万人平等教育でヒーローを嫌う社会になってしまった。出る杭は打たれるとは現代についてのみ言えること。明治期にはヒーローだらけだったんだから。


★成毛 眞(なるけ・まこと)
1955年、札幌市生まれ。中央大学商学部卒業後、大金アールエム(現ダイナックス)を経てアスキー入社。1986年、マイクロソフト株式会社に移り、1991年に社長就任。2000年5月、同社社長を辞し、投資コンサルティング会社インスパイアを設立し、社長に就任。

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紙の本DZ

2002/07/22 13:44

bk1連載コラム「成毛眞からの手紙」第一信(2000年08月15日UP)より

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成毛眞からの手紙 第一信

 経済・経営本の書評の約束だったけれど、このところ仕事が忙しくて読んでいない。その代わり溜めておいたミステリー本4連発を読んでしまったので、今回はそれで勘弁してもらいたい。それにしても言い訳がへんだ。古い本もあるけれど、いいか。

■『スピカ』(高嶋哲夫、宝島社)はいわゆる原発占拠物。テロリストによる原発を人質にした犯罪ミステリーだ。原発やダムなどの巨大科学危険建造物占拠ものは年に何冊も出るけれど、なぜか買ってしまう。しかし、この本どこかが違う。警察がバカすぎる。登場人物の名前がありふれている。テロリストの狙いがマンガだ。などの理由で却下。同じ占拠ものなら麻生幾の『宣戦布告』(講談社)か真保裕一の『ホワイトアウト』(新潮文庫)がお勧めだ。『ホワイトアウト』はダム占拠もので主人公がいい。寒そうだ。痛そうだ。で、日本ダイハード大賞を差し上げたい。

■『午前三時のルースター』(垣根涼介、文藝春秋)はいわゆるアジア自動車冒険ものだ。ん、そんなジャンルがあるのか。ベトナムを舞台にした自動車マニア追っかけっこ。しかし、こんなにいい登場人物たちばかりではジュブナイル冒険物として少年少女文庫に収めるべきものだろう。まあ、ベトナムに行って見たい気にはさせるけれどね。この分野では圧倒的に景山民夫の『虎口からの脱出』(新潮社)がいい。若いころこれを読んで中国を旅行したくなった。それにしてもこのジャンルの本はツアー企画の目玉になるかも。

■『DZ』(小笠原慧、角川書店)は遺伝子物だ。うーん、このジャンルは成立するね。この本もベトナムが絡む。流行なんだろうか。三冊のなかでは最高点を付けれるけれど、落ちには呆れた。横溝正史賞応募作だから仕方がないが、優秀な編集者がついていたらもっと完成度は上がったんだろう。惜しい。このジャンル、遺伝子工学以前に書かれた本でアイラ・レヴィンの『ブラジルから来た少年』(ハヤカワ文庫)が金字塔だと思っている。25年前の本だけれど全く色あせていない。

■『T.R.Y.』(井上尚登、角川書店)は明治大陸諜報物だ。これはお勧め。コンノベルとしても、冒険物としても、歴史物としても完成度は高い。明石元二郎が朝鮮半島に着任してからの物語だから現実味が増す。ところで『明石元二郎』(江宮隆之、PHP研究所)は小説ではなく簡単伝記もの。女スパイは登場するは、レーニンは出てくるはで小説より面白いかもしれない。それにしても現代の日本にはなんでこんな人が現れないのだろう。外交官、政治家などにいわゆるカッコいいひとが少なすぎる。戦後の万人平等教育でヒーローを嫌う社会になってしまった。出る杭は打たれるとは現代についてのみ言えること。明治期にはヒーローだらけだったんだから。


★成毛 眞(なるけ・まこと)
1955年、札幌市生まれ。中央大学商学部卒業後、大金アールエム(現ダイナックス)を経てアスキー入社。1986年、マイクロソフト株式会社に移り、1991年に社長就任。2000年5月、同社社長を辞し、投資コンサルティング会社インスパイアを設立し、社長に就任。

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