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西村 吉雄さんのレビュー一覧

投稿者:西村 吉雄

4 件中 1 件~ 4 件を表示

デファクト・スタンダードを,主として企業経営戦略の視点から,多数の著者が論じている

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 「ネットワーク外部性」からくる「ひとり勝ち現象」,これはネットワーク経済では避けられない。本書にはネットワーク外部性という概念が繰り返し登場する。自分の持っている製品の価値が他者に左右される──これが広義のネットワーク外部性である。2つの電話規格が争っていて,異なる規格間では通話ができないとしよう。このときは加入者の多い電話網に加入したほうが得だ。話せる相手が多いからである。あるいはまた,ゲーム・ソフト業者は,シェアの高いゲーム機に向けてソフトを開発するだろう。自分の持っているゲーム機をほかの人も選べば,自分の持っているゲーム機のシェアが上がり,遊べるゲーム・ソフトが増える。これからゲーム機を買う人は,遊べるソフトの多いゲーム機を選ぶだろう。つまりシェア争いに1度勝つと,ますます勝ちやすくなる。ネットワーク外部性があるところではひとり勝ち現象が起こりやすいということである。こうしてデファクト・スタンダード(市場競争で決まる,事実上の標準規格)が形成される。
 通信ネットワークにつながる機器に互換性が要求されるとき,あるいはハードとソフトが補完関係にあるとき,ネットワーク外部性とひとり勝ち現象がしばしば生じ,デファクト・スタンダードへの対処が企業経営戦略上,大きな意味を持ってくる。いわゆるオープン化に伴い,囲い込み戦略よりプラットフォーム戦略が重要になるという,言い方もできよう。本書は多数の著者がさまざまな角度から,この問題の本質を論じる。著者の多い本の常として多少の重複感はあるが,編者のテーマ選択は的確である。ケース・スタディーも豊富だ。
 「ひとり勝ち現象」と独占禁止法や知的財産権の関係など,法的な問題を扱っている章も何章かあり,評者には参考になった。1社が独占している施設を,他社が利用させてもらえないと新サービスが実現しない状況,これを法律はどう考えるか。こんな生臭い問題も論じられている。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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半導体立国ふたたび

2001/01/07 18:15

物理限界,装置限界,実行限界という技術の3階層をキーに,半導体製造の方向と研究開発のあり方を提案

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 迫力のある本である。著者の強い危機感が伝わってくる。だが読み進むほどに著者の絶望感も伝わってくる。日本の半導体業界や大学,政府への著者の提言は,ほとんど「ないものねだり」なのだ。それを著者自身が十分に自覚している。
 物理限界,装置限界,実行限界という三つに,半導体製造技術を著者は階層化する。これはみごとである。特に感心するのは,この限界の議論に横軸を導入したことだ。この横軸は,たとえば装置の動作環境のようなものである。特定装置のために環境を最適化すればその装置の性能は上がるが,次の工程で使う装置との折り合いは難しくなる。こういった問題を議論するうえで,著者の導入した3階層は実にうまく働く。またこの3階層の議論から,本書のもう一つのキーワードである「機能モジュール」概念が自然に導かれ,半導体製造技術や製造装置の向かう方向が明確になる。
 同時にこの3階層は,個々の企業,産業界,大学といった組織の,研究開発における役割を議論するのにもうまく働く。もともと研究開発には未来の先取りという役割がある。その「未来」を白紙の未来,コントロール可能な未来,決まった未来に著者は分類し,先の技術の3階層と連動させながら,それぞれの組織の役割分担と連携のあり方を提案する。
 本書は半導体のうちでも集積回路を扱う。ただし半導体集積回路産業全般を論じてはいない。半導体集積回路の製造技術の本と言うべきだろう。半導体集積回路には,集積回路チップの機能設計(何を作るか)と,その集積回路の製造(いかに作るか)という仕事がある。後者の技術が進歩すればするほど前者が重要になる,というのが評者年来の主張である。本書はこの問題には言及しない。すなわち集積回路の機能設計(何を作るか)には記述がない。これは集積回路を使うシステム側の問題であって,半導体側の問題ではないと考えているのかも知れない。そうなら,はっきりことわるべきだろう。
 経済的側面を軽視しすぎているきらいもある。シリコン・ファウンドリというビジネス・モデルは,高騰する生産ライン投資の償却への対処でもある。この償却問題を抜きにして,ファブレス−ファウウンドリ分業か,設計製造統合かを議論するのは無意味だと評者は考える。統合に傾斜する著者の主張に,償却問題への言及はない。
 もっともこの問題への著者の主張は,これからでは分業にも向かえなくなってしまった日本の半導体業界への,深い絶望が反映しているのかも知れない。
 半導体産業を論じるうえで,評者に気になる本書の不完全さをあえて挙げたが,本書は半導体関係者には必読の本である。また研究開発体制のあり方を議論したり科学技術政策を立案したりする方々も,ぜひ本書を読んで欲しい。これからの研究開発のあり方を考えるうえで,本書が提起している問題を避けては通れないからである。
(C) ブッククレビュー社 2000

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「研究」と「開発」を区別し,研究をストック,開発をフローに対応させる。言葉へのこだわりが新鮮

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 「企業にとって研究開発とは何だろうか」という設問から著者は出発する。本書全編がこの設問への著者の見解と要約できよう。「言葉に関する概念規定へのこだわり」,これが本書のもう一つの特徴だ。その成果が,研究と開発の差異の明示である。著者は,研究を企業活動のストック機能に対応させ,開発をフロー機能に対応させる。そして研究開発モデルと企業活動モデルをきれいに結びつける。
 著者はまた,創造性と独創性を区別し,「独創性パラダイムは世界共通のパラダイムではなくて,日本固有のスローガン」だと喝破する。痛快である。
 著者の指摘のように,ソフトウエアやシステムには本書の考えは適用しにくいかもしれない。ネットワーク環境下の研究開発モデル構築も今後の課題だろう。各章末に参考文献が挙げられているのに,原典に当たれない引用がある。評者には気になった。
(C) ブッククレビュー社 2000

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元気の出る本だ。ディジタル家電がパソコンの座を奪う,いよいよ日本復活のとき,と説く。ほとんど革命だ

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 あらゆる技術は最後は家庭で大きな花を開き,最後に笑う者はコモディティの覇者だ。著者年来の持論である。1990年代(日本の失われた10年)を支配したパソコンの時代が終わり,ディジタル技術がコモディティ製品として今まさに家庭に入ろうとしている。さあ,日本の出番だ。元気の出る本である。
 「ひとつの時代が終わろうとしている。情報というものを軸にし,新しい時代を創造しようという人類の新しい活動がいまや燎原の火のごとく世界に拡がりつつある」と著者は高らかに宣言する。問題は構想力をいかに養うかだ。構想力とは著者によれば「既存のものを結合することによって創造的破壊をもたらす力」であり,「未来を現実のものとして構成する力」である。これこそが,実は現在の資本主義の本質らしい。ポスト産業主義的な形態の資本主義は,未来の価格体系を先取りし,それと現在の価格体系の差異を媒介して利潤を得る(岩井克人,『ヴエニスの商人の資本論』,筑摩書房,1985年)。著者得意のシュンペーターのイノベーション論の主張も,本質は同じだろう。
 さて,日本である。情報化社会は「先覚者のみが笑い,追従者は笑うことのできない社会」であり,「キャッチアップは本質的に不可能なのに,かつての成功の夢が忘れられず,米国的情報化社会のキャッチアップが現在の日本の目標になっている」。
 規制緩和がなにより大切なのに,日本では「既成のエスタブリッシュメントが自らの防衛のために,〔新しい結合〕〔新しい活力〕の生まれるのを規制している」。「改革は過ちを認めるところから始まる」。創造的破壊から最も遠い政府と大学,ナンセンスなベンチャー育成法,・・・。なすべきことは,ほとんど革命である。さあ,元気を出そう。
 ところどころに挿入されている「余話」が楽しい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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