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泉沢 勉さんのレビュー一覧

投稿者:泉沢 勉

3 件中 1 件~ 3 件を表示

日本の大企業の経営改革,労務の実態と目指す方向を浮き彫りにする。調査結果は示唆に富むが分析がやや平板

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 世の中,変われば変わるものである。1980年代の半ば頃まで,年功序列と終身雇用を柱とした日本的な経営が最も優れたものと多くの日本人が認め,米国でも見習おうとする企業がかなり見受けられた。それが,今やアングロサクソン流,とりわけ米国流の経営手法が幅を利かせ,日本企業は先を争うようにそれを採用しようとしている。
 マーケットの時代と言われて久しいが,その落し子である経済・産業のグローバル化,規制緩和と大競争時代の到来などに加え,日本経済の低迷や企業の国際競争力の後退,米国経済の繁栄などが,米国流の経営手法へと走らせる背景にある。深い吟味もしないままの,拙速とも受け取れる産業界の動きからは,経営にすっかり自信をなくし,高い志をもてないでいる経営者の姿が本書の行間からも浮き彫りとなる。
 本書は,過渡期にある,換言すれば包括的な改革の途上にある日本的な経営手法や人事・雇用慣行の実態を把握するために大企業を対象に実施したアンケート調査の結果をまとめたものである。今,マーケットを牛耳っているのは,疑いもなくアングロサクソン。その勢いが,経営・人事戦略,コーポレート・ガバナンスにも明確な形で及んでいることを調査結果は示している。企業会計基準を国際標準に合わせていこうとする計画が進んでいるが,経営も国際標準のようなものが形成されようとしていると言っていいだろう。
 半面,調査結果からは経営陣のスリム化と意思決定の迅速化,財務体質の強化,終身雇用の見直しをはじめとする経営改革も,なお色濃く残る日本的な経営風土との兼ね合いで徹底しにくい実態も読み取れる。本書は調査結果の数値の紹介にスペースの多くを割いており,それをどう読むかの分析が浅い。これからの経営に活用しようとするなら,読者自らの分析力が求められる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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IRの解説書としては平均以上の水準。実務担当者だけでなく,経営者にもお薦め

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 わが国産業界でも,IR(インベスター・リレーションズ)は完全に市民権を得た。経済発展段階説的にIRの足取りをとらえれば,離陸期を過ぎ,本格的な発展期に入ったと言っていい。企業は単にIR活動を手掛けているといっただけで評価される時期は終わり,今や質を問われる時代を迎えた。活動手法に工夫を凝らす企業が増えてきたのもこのためである。
 IRに寄せる産業界に関心が高まるにつれ,関連書籍の出版が目立ってきているが,この本の最大の特徴は,IRとは何かから始まり,目的やツール,経営とのかかわり,コーポレート・ガバナンス,格付け会社,株式公開,コーポレート・ブランドに至るまで,IR活動を展開するに当たって身に付けておくべき基礎的な知識をほとんど網羅している点である。その分,内容が広く,浅くなっているのは否めない。IRの実務に携わったばかりの人,多少の経験を積んだ後に基本に立ち返ってみたいと考えている人に最適である。
 IRの定義は人により,国によって微妙な違いがみられるが,活動の最終的な目的が企業価値を高めることにあるのは依存のないところだろう。本書の意図も,そのためにどうすべきかを論ずることにありそうだ。ただそれが成功したとはいえないだろう。全編が一般論・解説に終始し,企業価値についても突っ込み不足の感がまぬがれない。企業価値とは何かについては,学者間でも幾多の説があり,新しい説が日々出ている状況にある。IRと企業価値とを真っ正面からとらえてほしいところだ。
 筆者は長年,企業で広報関係の仕事に従事してきた。いわば生きた経済・経営を熟知しているはずである。本書では5社のIR活動の実態を紹介しているが,教科書的な記述の域にとどまる。経験を生かした書を次に期待したい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本コーポレート・ガバナンス

2000/07/10 09:16

コーポレート・ガバナンス論の教科書としては最高水準。事例も豊富で,生きた経営も学べる

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 わが国でも米国流のコーポレート・ガバナンスを採用する企業が増え,その種の解説書も目立ってきたが,本書は関連書籍の中で最高の教科書との評価が定着した。コーポレート・ガバナンスの背景や歴史,仕組み,意義などを包括的に説明しているうえ,事例も豊富である。経営者や会社幹部,株主だけでなく,一般ビジネスマンも企業経営の教養書として一読されるようお奨めしたい。
 コーポレート・ガバナンスという概念は,1970年代に米国で芽生え,育ってきたとされる。本書は,この分野の研究に長年取り組んできた世界的な権威であるロバート・G・モンクス氏とネル・ミノウ女史の共著(原著=Corporate Governance,95年出版)。モンクス氏は実業にも携わっている。当然のことながら,内容は米国を中心としたもので,企業の実例や法体系,慣行を基に,コーポレート・ガバナンスに直接かかわるすべての利害関係者(ステークホルダー)の権利,義務,影響力などを論じている。日本,ドイツ,フランス,英国のガバナンス論は参考資料程度である。
 コーポレート・ガバナンスの核心は「企業とは何か」「誰が何を決めるのか」にあるが,企業の定義や目的については,適正利潤より最大利潤を追求するといった点など随所に米国人らしい発想と考え方がうかがえる。コーポレート・ガバナンスの主役は株主,経営陣および取締役会だが,本書は従業員の役割についても触れており,中身をいっそう濃いものにしている。なかでも,米国での取締役会の実態や著者が評価する社外取締役,機関投資家のコーポレート・ガバナンスに与える影響などは,わが国企業にとっても今日的な課題であり,両国との違いを比べながら読めばおもしろい。
 コーポレート・ガバナンスは「大きいことはいいことだ」とばかり,規模の拡大に走ったコングロマリットの時代,70年代の企業行動に対する反省が論議・実践のひとつの契機になったとされる。規模の拡大は,えてして効率を阻害し,業績悪化につながる。株主には報いられない。不満も高まる。90年代に入って巨大企業のトップが相次ぎ更迭されたのは,「会社は誰のものか」との問いに対する答えだったともいえる。コーポレート・ガバナンスを発展段階的にとらえれば,現在は外部からの助言と話し合いとで遺憾なきを期すという第3段階を迎えたとみられている。
バブル経済の崩壊以降,日本の経営者はすっかり自信をなくし,その反動もあって米国流の経営手法を競って採用し始めた。だが,米国流が必ずしも健全に機能しているわけではない。ストックオプションにみられる,借金しても自社株を買うといった弊害もでている。本書は数多くの失敗例を取り上げており,それを反面教師とすれば大いに役立つことだろう。
(C) ブックレビュー社 2000

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