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エリック・ケイさんのレビュー一覧

投稿者:エリック・ケイ

3 件中 1 件~ 3 件を表示

元気のない日本人。その元は経済の低迷。なぜか。どうすればよいのか。経済解説に定評のある本書が答える

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 本書は1985年の発刊以来,毎年改定を加えて継続出版され,すでに60万部を超えるロングセラーになっている日本経済の概説書である。これはその2001年度版。本書がデビューした85年は,バブルの端緒となったプラザ合意成立の年であり,本書は平成バブルの生成と崩壊,それに続く停滞の10年をつぶさに見届けてきた。
 発刊以来15年,本書はグローバルな流れのなかでの日本経済の基本的な問題を見据え,それを平易に解説し,今後の方向を示唆してきたが,それにとどまらず歴史的,理論的背景を学びたい者にもこたえ,さらに奥を極めたい人のための手がかりをも提供してきた。全国の大学で日本経済論のテキストに採用されているというのももっともと思われる。変化の速い時代にあって,生きている経済の現場,歴史,理論の3者を踏まえて現状を解明するのは容易な技ではないが,執筆者たちはよくこの難題に応えている。
 構成,文章に工夫があって読みやすいし,「米国経済のマイナス貯蓄」など,われわれの見過ごしがちな現象の意義についての指摘も興味深い。かつて,鋭い問題意識と徹底した取材で名をはせた第一線記者としての執筆者たちの姿が彷彿と浮かぶ。
 2001年度版では,日本経済が有り余るカネ,モノを持ちながらこの10年,沈滞から抜け出せないでいる大きな要因として,われわれの思考,行動様式が新たに取り上げられている。多くの日本人は変化を好まず,ソフトランディングや微調整を続ける間に何時か時が問題を解決してくれることを期待するが,それを脱却できない限り構造改革はできず,現在の停滞から抜け出せないという見方には賛成だ。また,今後の方向として環境を重視した循環型社会の構築をめざすべきだという主張にも異議はない。あえていくつかの論点の中から1つ賛意を表しがたい点をあげるとすれば,本書がインフレ容認に傾いてきたように見受けられる点だが,異論を呼び起こすのも本書の重要な役割だろう。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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新世紀初年度の展望。不確実性の高まる中でプロは日本産業をどう見るか?注目企業はどこか?

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 1998年以来,毎年日本経済新聞社によって実施されているトップアナリストによる主要業界の展望と注目企業の披露2001年版である。さすがに企業の株式担当者というプロたちに人気の高いアナリストの手になるだけに,そつのない記述の中にもなるほどと思わされる指摘は少なくない。
 日本経済の構造転換とはバブル崩壊後叫ばれ続けてきた命題だが,本書を一読してこの課題が未だ途半ばにも達していないことを再認識させられる。改革はなぜ進まないのか?ストラテジストの芳賀沼氏があげる負債が企業経営に圧力をかけられなくなっているため(かってオーバーローン時代に銀行の果たしていた企業の監視役機能がバブル期以降顕著に弱まり,それに代わるべき市場の警告もまだ十分な力を持たないため)とする指摘は重要な点を突いている。
 いずれにしても多くの執筆者によって,相変わらず「再編成」「選択と集中」「グローバルな提携」の必要性が説かれ,「経営戦略」を「スピーディに実行」することにより「独自のビジネスモデル」を確立することが望まれている。近年,大規模な合併,業務提携が報じられてはいるものの,オールドエコノミー型の企業での過去のしがらみと負の資産からの脱出はいまだ不十分であり,他方,情報を中心とする新しい分野に誕生してきたニューエコノミー型の企業では盛衰が激しく,少数の例外を除けば基盤の確立には至っていない。
 日本産業全体が過渡期の混沌の渦中にあるためか,多様化,個別化の時代に入ってカオス的状況が当たり前になったためかは知らず,業界をまとめてとらえることが難しくなっている状況の中で,本書の各執筆者は主要業界の基本動向と問題点を簡潔に示しており,投資家に対する良き手引書となるにとどまらず,日本産業界の現段階を概観するための格好の書ともなっている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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後ろ向きに長い消耗戦を戦ってきた金融界。その総決算としてのペイオフ実施が迫っている

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 「金融未来図— 21世紀へのあたらしいかたち」は,日経金融新聞に98〜99年の1年間連載された。本書はそれに大幅な加筆のうえ99年8月出版。あら筋は次の通り。
 経済の国境がなくなった。巨大なシルバー資金が電脳技術の水先案内で世界を駆けめぐり,それを取り込もうと世界中の有力金融機関が血眼になっている。その中で,日本の金融界はバブル前後に発生させた大量の不良債権の始末に忙殺され,この米欧金融機関の動向から完全に取り残されてしまった。
 バブル崩壊後,処理を先送りされてきた不良債権は,97〜98年に金融危機となって爆発した。変遷を経て,ついに公的資金が投入され,危機は辛うじて乗り越えられたかにみえる。しかし,収益力,体力を超える大量の負債を抱えたままの企業,業界から時折火の手が上がり,地価もまだ安定したとは言い難い。峠は越えたのか。まだ高い尾根を走り続けているのか。
 そこにやってくるペイオフ実施。顧客が安全面から銀行を選別する時代となる。信用面で顧客に不安を与えた金融機関はあっという間に取り付けに襲われる。「最大の試練はこれからやってくる」と本書はいう。
 体力強化をめざす再編成の動きは一見活発だが,先への展望を明確に示している例は少なく,多くはし烈な内部の勢力争いに終始している。金融当局はペイオフ開始までに金融機関の健全化を実現したいと躍起になっているが,市場の目に戦々恐々の日が続く。官製金融機関である郵貯の存在が金融界の不安定性を増幅する。国の信用を背景とする郵貯への大量の資金移動は今後も起き得るし,逆に,国の財政破たん,財投の抱える巨額の不良債権などで国の信用までもが揺らぎ,郵貯資金が流出する可能性もある。
 資料として掲載されているインタビューで,識者の方々はいずれもさらなる思い切った改革を金融界に要求している。ペイオフ実施は避けて通れない経過点の1つであろうが,いざの時システム保全に要する負担は予測しがたい。
 日経の第一線で活躍する記者たちが広範な取材をもとにして,日本の金融界の現状に迫り,未来図を描こうとしたのが本書。新しい動きとして長崎県の信用組合が紹介され,他業種からの参入も取り上げられている。いずれも意義ある芽ではあっても育つまでには時間がかかる。不整形の石が危うい形に積み上げられた表紙の絵に執筆陣のもどかしさが透けて見える。
 今年初,地元金融機関の不安感を背にした代議士方はペイオフ開始を1年間延期した。いかなる成算に基づくものか。軟着陸への糸口は見えて来ない(本書は昨年上梓されたため2001年4月ペイオフ開始となっている)。 
(C) ブックレビュー社 2000

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