松原仁さんのレビュー一覧
投稿者:松原仁
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2001/05/22 20:53
UNIXという筋の通ったOSを理解するために
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本書のオビに「UNIXは『OS』ではない」とあるが,UNIXは1969年に開発されたOS(コンピュータを動かすための基本プログラム)である。おそらくオビは「UNIXは単なる『OS』ではない」と言いたいのだろう。一般にはまったく無名のOSだったが,コンピュータ専門家の間で支持を広げ,いまやLinux(というUNIXの発展形)として花開いている。
メジャーなOSといえば当然Windowsである。コンピュータ初心者のユーザにとって,Windowsは(ときによってはくどいと感じるほど)応答が詳しく,アプリケーションソフトも多く,利用者も多く,解説書も多いので,比較的楽にコンピュータを操作することができる。しかし,はっきり意識しておかなければならないのは,いい意味でも悪い意味でもWindowsには明確な哲学というものがないことである。
世の中に完璧なOSは存在しないが,UNIXは存在する最も優れたものの一つである。なんといっても明確な哲学がある。たとえば,「小さいことはいいことだ」,「詳細版をゆっくり作るより簡略版を早く作ろう」,「効率より読みやすさや移植しやすさを優先しよう」,「ファイルはフラットに統一しよう」などである。応答が不親切とかの批判はあるものの,UNIXのように寡黙なOSの方がWIndowsのような多弁のOSよりも慣れてしまえば哲学が明確な分だけはるかに使いやすいのである。本書はUNIXの哲学をとても読みやすい形で解説したものである。
いやいやWindowsを使っている人はもちろん,何の疑問も持たずにWindowsを使っている人にも,UNIXという一本筋の通ったOSがあることを本書を読んでぜひ知っていてほしい。
(松原仁,公立はこだて未来大学)
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