みずもとゆいさんのレビュー一覧
投稿者:みずもとゆい
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紙の本ラーラはただのデブ
2003/06/09 22:27
わたしがわたしでいること
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別の本を探していた途中、ふと書架に並んだこの本のタイトルにひきつけられた。
ふらふらと手に取り、そのままこの本は手を離れなかった。いや、万引きしたわけではない、念のため。
なにがそんなにもわたしをひきつけたのか、今もってわからない。内容は充分にいまのわたしに必要なものではあったけれど、そういうものを見出す嗅覚というか直感というか、そういうものをわたしは持ち合わせないはずなのだ。
オフライン書店にはこんな出会いもある。
議事進行。
主人公ラーラは十六歳。幼いころから数々のミスコンで優勝してきた美人で成績優秀、ピアノも弾く。勿論美人だということを鼻にかけない優しい女性でもある。広告代理店の重役を勤めるパパと美人のママ、やんちゃな弟を家族に持ち、お金持ちのおじいちゃまがいる、人もうらやむ「完璧な」お姫さまだ。
ところが、原因不明の奇病で太り始めたのをきっかけに、彼女の世界は崩壊を始める。とりまき連中は離れてゆき、ボーイフレンドとはギクシャクしてしまい、仲睦まじいはずの両親はとっくに家庭内離婚状態。彼女自身も絶望にさいなまされる。
物語のみどころは太ったことによって彼女が失ったものと、あとに残ったたからものの価値を作者がいかに素晴らしく輝かせてみせるかなのだが、それはミステリの犯人のようなもので、言わぬが花としたほうがいいだろう。ただ、ここでは、わたし自身の感想だけを述べさせてもらえたらと思う。
人は結局、自分でいるよりほかに仕方がないのだ。それが自分の望んだ自分であろうと、望まない自分であろうと、自分で作り上げた理想どおりの姿であろうと、自堕落に落ちてきた結果の体たらくであろうと。そして、そんな自身を、みんな愛してやまないのだ。
少なくともわたしは、理想のわたし2、そうでもないわたし4、認めたくないわたし4ぐらいだが、けっこうそんな自分が気に入って、いる。
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