ぎっちょさんのレビュー一覧
投稿者:ぎっちょ
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紙の本痴人の愛 改版
2003/10/25 02:23
耽美主義の勾玉的作品
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
待ってました。
という言い方はおかしいけれど、読書暦の浅い私にとってこれほどセンセーショナルな作品はありませんでした。
『恋愛』や『性欲』『嫉妬』といった数知れない男女間の感情を歪ませながら、一人称で語られる主人公・譲治の狂おしい愛欲の世界。
そこにある種の美しさすら感じてしまった私は谷崎マジックに完全に魅了された一人なのでしょう。
けど、この作品って女性に理解できるんですかね?(と、いうか今まで聞いた女性の感想は『譲治って馬鹿じゃないの?』の一点張りでした…)
私自身は譲治の世界に近い感覚というのを覚えます。この本を読んでいる最中もそうでしたが、自分の理性の一線を画す女性の存在がこの世に存在するということ。自分の今までの『生』を否定するかのごとく現れる絶対なる『性』の存在。貪りながらどこまでも溺れゆく。
まさに馬鹿、まさに痴人ですね。破滅的といわれりゃそれまでなんですけどね…
それほどの魅力を持った女性『ナオミ』。もうそんな女には出会いたくないです。
さて、この作品はいくつか映画化されていますが、オススメは1967年大映株式会社からでている
『痴人の愛』
監督 増村保造
ナオミ 安田道代
譲治 小沢昭一
です。それでなんと慶應ボーイの浜田が田村正和です。若っ!!!
ただ、自分の『ナオミ』像を満たすことには映画では限界があると思いますのであしからず。けど譲治の異常さはよく表現できていると思います。
紙の本ミツバ学園中等部入学案内
2003/10/13 15:49
本当にくだらない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本当にくだらなく、本当に笑える一冊です。
ミツバ学園という架空の学校の入学案内というかたちで見事なまでにギャグがちりばめられています。
ふかわりょう、あなどれないです。
紙の本堕落論
2003/12/25 06:44
堕落?とんでもない
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この坂口安吾の堕落論、発表されたのは昭和21年(1946年)。
共産思想や全体主義、コスモポリタニズムまで否定する絶対的な個人主義を終戦直後に唱える彼の先見の明には脱帽するばかりです。
しかし、しかしですよ、現代の日本は彼の言う『堕落』を忠実に享受しすぎているのではないでしょうか。
この堕落論、五十年前には薬かもしれませんが現代には毒にしかならない気がします。彼の言う『曠野のひとり道』を歩ける人は別としてですが。
初めからクラシックだと思って読めばもっと楽しめたのでしょう。
紙の本異邦人 改版
2003/10/13 00:49
ウワサに名高い異邦人を読んだけど
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ごめんなさい。
私には『異邦人』のおもしろさが全くわからない。
主人公であるムルソ—の軌跡になんら異常性や不条理を感じないのだ。
アルジェの慣習がどうもしっくりこないのも大きな原因の一つだ。
母の葬式で泣かないのはあちらの文化としては異常であるようだが、日本だとそんな珍しいことでもないからねぇ。
そしてなによりもムルソーのサイコな部分を全然サイコに感じられない。サイコという言葉ではおかしいかもしれない。情熱的な渇きというか純潔がゆえにというか、上手く表現できないがそういった感覚は今の私にとって日常的すぎてつまらないのだ。
また時代や文化はちがえど若者は同じようなところがあるが、やはり微妙なちがいがあるはずだ。そこが妙に鼻についてしまった。
だがきっとこの作品は十年後、私が三十歳になる頃に哀愁と共に感じることができるはずだ。
あぁ、こんな気持ちもあったんだと。
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