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やまもとさんのレビュー一覧

投稿者:やまもと

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出版社からのオススメ

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 社会的に共有された「事実」とはなんだろうか。あるできごとについて目撃者が複数いて、その目撃者にそれぞれ別々に尋ねたら同じ答えが返ってきたとする。そうすると聞いた方は当然それを「事実」と思うだろう。
 私たちの実験では、複数の子どもに彼らが集団して体験したできごとを別々に繰り返し尋ねたら、答えた子ども全ての証言が最後に一致した。その聴取はひとりひとり別々の部屋で行われ、お互いに示し合わせることもないにもかかわらず証言はみごとに一致した。ところがその一致した証言が「事実」ではなかったのである。
 検察役の聴取者も、もともとの事実を知らないで聴取に臨んでおり、意図的に子ども達の証言を一つの方向に誘導することはできなかった。ただ「事実を明らかにする」という目標を持って繰り返し聴取しただけである。当然聴取者たちも一致した証言を「客観的な事実」として確信した。そうやって「虚構の物語」が集団的に「客観的な事実」として確定していった。
 なぜこのような奇妙な現象が起こってしまったのかを分析していくと、人間の誰もが持っている普通の記憶の仕組み、そして、過去の記憶を人々が語り合うメカニズムが見えてくる。つまり、この一見不思議な現象は、ある条件さえあれば実はどこにでも起こりうる普通のできごだということが分かってくる。実際、冤罪甲山事件における子どもの目撃証言も、同じメカニズムで理解できるのである。
 本書ではこの現象を認知心理学的観点とコミュニケーションの観点から多角的に分析し、さらに3年後に同じ子ども達に対して行った再度のインタビューをふまえて発達心理学的にこの集団的な記憶の問題を検討した。
 また最後には「客観的事実」と「社会的物語」に関する多少の議論も試みている。冤罪の問題は、「社会的物語」にならないように「客観的」に「事実」をさぐろうということだけでは解決されない。両者の間にはもっと本質的に切り離せない関係があり、そもそも社会的に問題になる「客観的事実」とは何なのかということ自体が問い直されると考えられるからである。
 「冤罪」の問題に興味を持たれる方はもちろん、記憶に関する新しいタイプの心理学的フィールド実験とその分析、「物語」の形成と「事実」の関係などに関心のある方にもお読みいただきたいと思っている。

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