米澤穂信さんのレビュー一覧
投稿者:米澤穂信
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紙の本さよなら妖精
2004/02/25 15:51
著者コメント
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何か再読しようと思って本棚に手を伸ばしたところ、指が触れたので『戦闘妖精・雪風』(神林長平・ハヤカワ文庫JA)を選びました。
私はこの本を一種の恋愛小説として読んでいます。作中に何度も現れる「妖精」というキーワードは全く意味深です。妖精への思慕を幸せに成就させた人間の話は、あまり聞いたことがありません。
さて、拙著『さよなら妖精』の題名は、ミステリーとしてはやや柔らかな気がしています。しかし、突然現れこちらの生活をかき乱すだけかき乱して帰っていく存在に喩えられるものとして、私は「妖精」以上のものを思いつけませんでした。
ただ、拙作の「妖精」には「私は妖精なんかじゃない」といった言い分が残ります。この擬制は、あくまで主人公の視点に立ったものなのです。
読者の皆様には、彼女が何に見えるでしょう。そして、彼女が残した謎かけとその結末は、皆様に何らかの印象を残すのでしょうか。
少しの不安を感じつつ、『さよなら妖精』、どうぞよろしくお願いします。
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