水原紫苑さんのレビュー一覧

著者コメント

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　京都は限りない魅力をもった、こわい土地だ。横浜の外れに生まれ育った関東者の私には、ひたすら憧れとおそれが渦巻いている。
　初めて京都に行ったのは修学旅行だったが、自分の意志ではっきり京都を意識して出かけたのは二十七、八の時だった。……
　最初の京都の一人旅のあと、私は歌集を出し、うたのことを本気で考えるようになっていた。うたといえば、いにしえのうたびとの多くは京都を中心に生きていた。そして、うたとほぼ同時に親しむようになった能もまた、京都には関わりが深かった。私がわけもわからず京都に惹きつけられて行ったのは、うたと能という大切な二つのものを結びつける場所だったからかも知れないと思った。
　こうして私は〈うたものがたり〉の取材に京都へ出かけることになった……（「はじめに」より）