お芋さんのレビュー一覧
投稿者:お芋
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2008/01/28 21:42
キラリと光る個性
20人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
嬉しいことに、大型新人の匂いがぷんぷんしてきます。
まるで一滴の朝露がぽろんと心に落ち、潤いを与えてくれるような叙情的な雰囲気が素敵。
主人公は、生まれつき林檎のような真っ赤な髪を持つ薬剤師の少女・白雪。
赤髪が珍しいという理由だけで王子に見初められてしまい、逆らえない状況に追い込まれた彼女は国外逃亡を決行する。
その逃亡の途中で出会い、力を貸してくれたのは、隣国の第二王子。
この出会いによって白雪の運命が大きく動き出すことになります。
背景や小物などもきちんと描き込まれているし、多少気になる線の細さはかえって柔らかな印象を与えてくれていて、童話要素を取り入れた本書にはよく似合っていると思う。
何よりも、全体的な雰囲気からキラリと光る個性を感じます。
ただの薬剤師だった少女が見つけた新しい夢は、逃亡を手助けしてくれた第二王子の役に立つために宮廷薬剤師になること。
自分のためではない、誰かのためにがんばれる夢があるということは、きっと何よりも強い生きる力になるはず。
今は友人として隣に立つ二人。今後恋に発展するのかは分からないけれど、この微妙なくすぐったい距離感をしばらくは続けて欲しいなと思います。
厄介な赤髪がもたらした出会いは、きっといいものにつながっている──
着飾らないその姿に、思わず応援したくなるような主人公だ。
そしてこれからも、その個性を存分に見せつけて欲しい作品です。
2008/01/15 18:42
工業高校舞台。主人公はほんわか女の子(でも番長)。そんな少女漫画です。
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
思わず「ぶはっ!」っと下品に笑ってしまうこと必至の最強の少女漫画。
経済的な理由から、男子だらけの工業高校に転校してきたごく普通の女の子が、ひょんなことから「番長」となってしまい、周りに巻き込まれたり巻き込んだりを繰り広げていく物語です。
今時、「番長」が存在する学校が舞台で、しかも少女漫画ですよ・・・すごい組み合わせ。
でもその番長という古臭さをあえてネタにしていて、もう面白いのなんの。
ほんわかした女の子が番長ってところもおいしいですね。
今回で、番長の子分も2539人にもなりました(笑)
笑える場面ばかりでなく、じーんと感動したり、くすぐったいような気持ちになったり、作品全体に喜怒哀楽がとてもうまく行き渡っている感じがします。
そして、この作品を読んでいると工業高校に興味津々になってきます。
作者の弟さんが通っていた工業高校の実話を織り交ぜながら、描かれているそうですが、普通高校しか知らない私には驚きの連続です。
朝、窓から教室に入る生徒もいたって本当ですか?工業出身の皆さん。
最近の少女漫画はエロさが蔓延して、子供たちに読ませたくないものも多いだけに、安心して読める少女漫画・・・今の時代に貴重です。
紙の本封印のエスメラルダ
2008/01/20 23:32
期待が持てる新シリーズ
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
うん、これは面白い。期待が持てる新シリーズ1作目です。
次期皇帝の青年と、森で育った少女の可愛らしいラブロマンスかと思ったのも最初のうちだけ。
幸福な日々が、ある日ぷっつりと断ち切られる・・・自分だったらと想像することさえ怖くなるような、ショッキングであり、胸にずんっとくる結構骨太さが見える作品だった。
そして、ストーリーもさることながら、登場人物たちが素晴らしい。
それぞれの事情や立場、腹黒い部分、まだ隠された謎の部分も多いが、一人一人が際立ち、生きている感じがするところに魅力を感じた。
冒頭のページに”わたしが愛するもの”として、主人公の愛するものが幾つか列挙されてある。主人公の少女は、その愛するもの全てを一度に失ってしまう。
絶望の谷底に突き落とされ、悩み苦しみ、そこから再び気持ちを這い上がらせ、最後には”強欲に生きてやる”と決心する主人公。
臆病な彼女が少しずつ心の強さを身につけ、悲しみから立ち直っていく姿はとても気持ちがよかった。
次巻から、どこまでの強欲さを見せてくれるのかわくわくする気持ち半分、怖さ半分。
嫌なタイプの女の子になりすぎないことを願いつつ、綺麗ごとばかりではないヒロインが見られそうで楽しみでもある。
また、次期皇帝青年とその側近の青年の主人公をめぐる争奪戦(?)も、女の子向け小説らしく乙女心をくすぐってくれそうな予感。
話がどういう風に転がっていくのか、続きがおおいに楽しみだ。
紙の本真夜中のアリアドネ 4
2007/10/31 10:43
新鮮味のあるサスペンス風味の少女漫画
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
まだ4巻目なのに、なんて早い完結。まだまだ続くとばかり思っていたので、この不意打ちにはとてもショックだし、もったいないと思わずにはいられない。
迷宮、地下、生贄、糸、脱出、「アリアドネの糸」の神話を材としたサスペンス風味の作品。
現実の中に隠されている非現実な世界。でも自分の知らないところでこんな事件が実際に起きていても不思議ではないと感じるリアルさが怖い。
ストーリーと絵柄も合っていて、サスペンスとしての臨場感がひしひしと伝わってくる。
巻き込まれるのはごめんな黒々とした世界が描かれているけれど、主人公・ちょこの天然ボケや、”しばわんこ”にも負けない愛くるしさを発揮している豆柴の「おこげ」と「おかか」がクッション材となり、どこか柔らかな雰囲気をも併せ持つ不思議な感触を持つ作品となっている。
少女漫画っぽくないのに、やっぱりちゃんと少女漫画だと思わせられる部分もあり、新しい分岐の枝を伸ばした少女漫画という感じである。
今回は最初からハラハラドキドキの緊迫感。迷宮からの命がけの脱出・・・気がついたら涙ぐんでいる自分がいた。
絶望と隣り合わせのなか、最後の最後につかみ取る希望の光。最後に温かな光が見える作品というのはやっぱり気持ちいい。
まだ新人に近い作者なので作品数は少ないけれど、もっと読んでみたくなる。できれば続編が読みたいと切実に思う。
男女問わずに読むことのできる作品なので、多くの人にお薦めしたい。ちなみに表紙の美人さんは男です(笑)
紙の本約束 遠い空から降る星
2008/01/20 23:20
意外な結末
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
普通の女子高生が、幼なじみの少年と共に異世界へ連れ去られる話・・・いわゆる異世迷い込み系なのですが、正直、これで「満足満足♪」と納得できる読者がいるとは私には思えない。
もし、読者層を低年齢と考えての作品としているなら、分かるような気もしないではないけれど、他のX文庫作品に比べると、どうしても淡白さが目立ってしまい、読み応えを感じることができなくて残念。
もう少し奥行きを持たせ、練って書いたらもっといい作品になっただろうに。
美形キャラなど、パーツとしてはいい材料が揃っているだけに、上手に料理仕切れていない感じがして、実にもったいなく感じる。
また、意外や意外な結末にも賛否両論ありそうだ。自分としては乙女心がくすぐられなかったので、ちょっとがっかりだった。
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