ペンギンさんのレビュー一覧
投稿者:ペンギン
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2010/03/27 00:38
意地悪で面白い講義
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著者特有の「意地悪で面白い講義」が、そのまま活字になったテキストである。話題のネタからトピックへ、冗談混じりのクイズなど私たちを驚かす仕掛けがいっぱい詰まっている。例え話に惹き込まれ、気が付けば自分の中に「新しい視点」が生まれている。この一連をリアルに体感出来るのが、本書である。
扱っているトピックは、どれも社会学の基本である。しかし、それらが実に面白い。アニメ「ブラックジャック」から学ぶジェンダーとセックスや、トマスの公理を応用した「天才・秀才の作り方」。「寝たきり老人は存在しない」というラベリング論に、暴走族の騒音による受苦・受益など。次々挙げられるトピックで、最後まで飽きない構成となっている。自身のアンテナに少しでも反応があった方は、是非本書を読んでみて欲しい。展開に驚いたり眉をしかめながらも、最後にはきっと「なるほど」と頷いてもらえるはずである。
著者がテーマとしているのは「意外性の社会学」だ。「世の中ってこんなもんだろう」と退屈な日々を過ごしている人々の、日常を“溶かす”ねらいを持っている。人々は「常識=自分自身の思い込み」という色メガネをかけて生活していることが多い。しかし、ある素朴な疑問や出来事が、その色メガネを壊してくれることがある。本書はそのきっかけとなり、お手伝いをしてくれることと思う。新しい眼で見る社会がどんな色彩をしているか、是非多くの人に試してみてもらいたい。
最後に、本書から抜き出した言葉を。
「日常生活の中に、ふいに現れる非日常の扉。それが社会学である。」
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