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JN.YKさんのレビュー一覧

投稿者:JN.YK

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易しい文体ですが、重い内容です。開港当時のイギリス外交官と現代の著者の情報収集・伝達に懸ける行動力と誠実さに胸を打たれました。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

  資料館や博物館に出向くこともなく、このような本格的な歴史資料に触れられることはありがたい。内容は厳しい時代から来た出来事であるにもかかわらず、全体的に平易な文体で読みやすかった。
 ペリー来航後、諸外国と修好通商条約が締結され、横浜、神戸、長崎、函館とともに、日本海側唯一の開港場(かいこうじょう)として新潟が選ばれていた。他の開港場に遅れること約10年、戊辰戦争終了後明治元年にようやく開港に至った。初年度、大型船が新潟港まで入れず、佐渡島で小舟に積み替えて新潟港まで向かったところ、6隻のうち4隻が難破したという、厳しい状況で貿易が始まった。・・・開港10年目まで、本国に年次報告書が送られた。貿易の進捗状況とともに、海運・港湾施設、農業・鉱工業・漁業などの産業をはじめ、街の様子、行政・学校(教員の給与から慈善学校の教育支援制度に至るまで細かい)、監獄の中のこと(こん棒の直径や長さも記述)、病院、梅毒対策、コレラ騒ぎなどに関しても報告された。開港によって地域がどのように変化したかを、項目ごとに区切って詳しく報告されている。貿易成功という目的達成のためにイギリス外交官が調査して本国に送った文書がまとめられて、現代と後世に“日本の文明開化”の一歴史資料を提供することになった。
 著者は在外副領事の経験を持つ、新潟県庁職員である。本書の大部分は横浜開港資料館に保管されていたマイクロフィルム版の外交文書を翻訳したものである。他の多くの関係資料を参考にしながら、原文を忠実に翻訳しつつ、著者の調査の目的の『明治初期の新潟開港からの実情』を明らかにしようとした。冒頭に、開港に至る略史と当時の年表、また、商品取引に使われた単位の換算表や主な交易品目が配置されていて役に立つ。表紙の「新潟湊真景」の挿絵を除くと、中には写真も図も一つもない。新天地の状況を体験できない本国の人たちに伝えるために、外交官たちは広い範囲で活動して情報を収集し、生の数値を多用した丁寧な表現から文章を構成した。その貴重な資料を見出した著者が、読者に可能な限り正確にわかりやすく伝えようと、遠路を往き来して本を作成した様子が窺われる。両時代の外交官の情報収集・伝達に懸ける行動力と誠実さに胸を打たれた。

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