イザベルさんのレビュー一覧
投稿者:イザベル
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紙の本ガーデンレタスの種を蒔きながら 人生のハードルをポジティブに乗り越える
2013/02/19 12:51
人生という旅に、あらたな喜びを感じて…
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「わたしたち人間は誰でも、ある特別な瞬間に、この世界に生をうけたときから、達成すべき課題、使命をたずさえ…おそらく、すでにそれは原始の時代から用意されていたことなのでしょう…さまざまなフェイズからなる、ひとつの大きなサークルを順繰りに辿るのだということを前提に、人生の変化、変容をよりポジティブに捉え、対峙しているハードルを乗り越えていくためのヒントを、わたし自身の人生経験をもとにまとめたものです」
どんな人生の試練にも、それぞれ意義があって、「創造的な挑戦」なのだと、読者に問いかける著者は、26歳のときと、40歳のときに最愛の人生のパートナーを失ったという、波乱に富んだ人生経験をもつ女性。
5年の歳月をかけて、自分自身の過去を振り返り、その思索の積み重ねを、未来への夢へと繋げていく大切な営みだと、語っています。
つまり、「人が自分の人生の、ある一定の時期をなつかしくおもいおこすとき、それは多くのばあい、彼あるいは彼女が自分の人生の大きなサイクルを一つ終えて、次のサイクルに移行しているときなのであり、想起される時期と同じ段階(phase)に直面しているときなのである」
とはいえ、「わたしたちが、未来の種を手中におさめたときには、とっくにわたしたちの人生には変化が訪れていて、新しいサイクルがはじまっている。だから、ただ過去の幸せやよろこびをなつかしむのではなく、自分自身の内部に新しい変容、変化をもたらすために、束の間、記憶の海を漂うことで、きっとふたたび自分の心のなかに、信頼というよろこびの花を咲かせ、ゆたかな知識や経験という果実を収穫することができるにちがいない」と、必要以上に過去にこだわることをいさめてもいるのです。
本書の構成は、第一章「創造的なブレイク・スルー」
第二章「自己からの脱却と精神の変容」、第三章「愛を自分自身の夢へと紡ぎこむ」からなり、あとがきには、「かなしみを共有して」と題して、「3.11」によって、著者が「自分にできることはただひとつ」、「3.11」で最愛の人たちを失った方々と、かなしみを共有するために、自分自身の喪失体験と、いかにその苦悩とかなしみ、絶望の淵から立ちあがったかを、一冊の本にまとめるべく「書き綴ることだ」と考えたのだとあります。
そして、本書を誰よりも、「3.11」によって、多くのかなしみや絶望を自分の内に抱えた方々に捧げるのだとまとめているのです。つまり、本文には直接、触れられることはないものの、わたしたち日本人すべてが、多かれ少なかれ体験した「喪失感」に応える一冊として、この『ガーデンレタスの種を蒔きながら』の存在意義は、大きいかもしれません。
「愛と自然とともに生きる」をテーマにした人生論の本ではありますが、ひとりの女性の生きかたを綴った「物語」としても、読み解くことができます…
女性の方々はもちろん、男性にも一読をオススメします。
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