まささんさんのレビュー一覧
投稿者:まささん
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紙の本勘定奉行荻原重秀の生涯 新井白石が嫉妬した天才経済官僚
2013/05/19 11:12
勘定奉行 荻原重秀の生涯
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かの新井白石が異様とも思える執念で、公職から失脚に追いやり、さらに死に追いやった勘定奉行荻原重秀。
歴史の通説では、荻原の貨幣改鋳によって狂乱物価を招き、同時代の経済を疲弊
させた張本人とされていたが、本書によってそれが全く根拠のない虚構であることが
論証されている。
それどころか、G.F.クナップの最大の業績と言われる『貨幣国定学説』(1905年)を、200年余り先取りした貨幣観、財政理論の持ち主であった。
死人に口無しとはよく言ったもので、死後新井白石の日記によって、あらゆる悪事の張本人に仕立て上げられた荻原。
本書のさらなる読者によって、荻原の業績が正しく評価されることを願うばかりである。
2013/05/18 18:46
ツァラトゥストラ
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『いつの日か飛ぶことを学ぼうと欲する者は、立つこと、歩むこと、走ること、よじ登ること、舞踏することを、まず学ばなくてはならない・・・・』
格調高い詩篇を幾重にも織り込んだような第三部は、ニーチェ思想の核心「永劫回帰(永遠回帰)の思想」へとわれわれを誘う。
『おお永遠よ! わたしはそなたを愛するからだ、おお、永遠よ!』
永劫回帰の思想は、各瞬間を永遠に回帰するものとして受け取る。故にあらゆる瞬間に全責任をかけてそれを生き抜くことが導かれる。
永遠を愛し、永遠を求めたからこそ、永劫回帰の思想が生まれたのであろう。
しかし、ニーチェの人生からは必ずしも永劫回帰の思想が、必然的に導かれたとは考えにくい。
バーゼル大学で古典文献学教授失格の烙印を押されたのを始め、彼に覆いかぶさり、責めさいなんだ肉体的、精神的な苦痛は凄まじいものであったようだ。
なのに何故?
『人間の偉大さを言いあらわすためのわたしの慣用の言葉は運命愛である。何ごとも、それがいまあるあり方とは違ったあり方であれと思わぬこと、未来に対しても、過去に対しても、永遠全体にわたってけっして。
必然的なことを耐え忍ぶだけではない、それを隠蔽もしないのだ、-あらゆる理想主義は、必然的なことを隠し立てしている虚偽だー、そうでは
なくて必然的なことを愛すること・・・・・・・・。』(「この人を見よ」岩波文庫版73頁)
ニーチェ思想を知るには、その散りばめられた言葉を丹念に拾い上げ
その意味を紡いでいく作業が求められよう。
本書は、その作業の心強い味方となってくれる。
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