カレルレンさんのレビュー一覧
投稿者:カレルレン
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紙の本先生とわたし
2015/08/25 14:56
四方田犬彦(と高山宏)が由良君美の弟子だとは知らなかった
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本書はその由良君美と四方田の邂逅と別れを軸に、由良の両親の家系なども合わせ、由良君美の人間像を描写する。
面白い。
初めての授業(選抜ゼミ)とその後の研究室での延長の様子はわくわくするし、80年代以降に壊れていく悲惨さも読ませるものがある。
両親の家系をめぐるところも退屈しない。
円地文子が上田万年の娘だとは知らなかった。
おそらく細部には誤りも存するだろうし、様々な私的配慮によりあえて書かなかったところがあるだろうから、そうした点について批判も存するだろう。
特に関係者がそうした点について不満を持つことは否定すべきでないが、一読者としてはそういうことがあったとしても、これで十分に面白く読める。
由良君美の名を知ったのはたぶん『世界のオカルト文学 幻想文学 総解説』(由良君美監修、自由国民社、1983年)とか『ポスト構造主義のキーワード(別冊・國文學)』(由良君美編、学燈社、1986年)あたりのことだろう。で、『ポスト構造主義の~』を購入しなかったのは書名の割に目次が今ひとつそそらなかったからだと思うのだが、その理由も由良君美の専門を知るとわかる気がする。
とはいえ、extraterritorialを「脱領域」と訳し、deconstructionを「脱構築」と訳したのは重要な業績だ。
それ一つとっても『ポスト構造主義のキーワード』の編者たるに十分すぎるほどの資格が認められる。
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