桂木いみじさんのレビュー一覧
投稿者:桂木いみじ
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紙の本九月病 上
2015/12/24 10:18
問題作。そして傑作。
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好みが分かれる作品であることは間違いない。
「同人作品」感を漂わせるコマ外の注釈。
作品内に挿入される詩的センテンス。いかにも同人。
けれど、この作品には「よくある同人」で片付けられない何かがある。
実の兄に恋する妹の細かな内面描写。
それを受け入れてしまう兄の過去。
そしてそんな彼に思いを寄せ始めるOL。
綺麗事では済まさない。そんな作者の強い思いが溢れている。
人は誰かを愛さずにはいられなくて、けれど決してそれはキレイなものではない。
誰かに恋をしている人間にも、どうしようも無い欲望があって、その汚さに嫌悪と諦めを抱いたりする。
もう一度言おう。
これは好みの分かれる作品だ。
今を生きる人間に冷徹な目を向けて、その内面をえぐり出す作品だ。
癒やしを与えるものでは無い。
けれど、いや、だからこそ、この作品は輝いているのだ。
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