雪風さんのレビュー一覧
投稿者:雪風
紙の本ラゴンの虜囚
2016/02/08 16:50
マルス伯、斃れる
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辺境編第4巻は引き続きセム族とモンゴールとのノスフェラスの戦いが繰り広げられます。セム族も善戦しますが、状況を打破するには至らず、グインはもう一つのノスフェラスの主、ラゴン族に応援を求める旅に出ます。でも、ラゴン族の住んでいるところさえもわからりません。しかし、狼王の導きによりたどりつきます。
もう一つの大きな柱はモンゴールのマルス伯です。このモンゴールの老候にして精神的支柱は、グインの謀略により、凄まじい最期を迎えます。
テレビとは違って、グインの心の葛藤や、セム族内部の一筋ならぬ関係とか、細かい描写が光りますね。
紙の本辺境の王者
2016/02/08 16:44
辺境編大詰め!
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グイン・サーガ辺境編もいよいよ最終巻です。
モンゴール軍の猛攻にさらされ、セム族はいよいよ滅亡寸前。もう絶体絶命というところに、ラゴン族に「アクラの使者」と認められたグインが、ラゴン族を引き連れて刻限ぎりぎりに現れます。
それにしてもモンゴール軍に蹂躙されるセム族、まさに虐殺と言うべきシーンですけど、読んでいて気持ち悪いくらいの描写です。テレビアニメ版ではさすがにこんな風には描けませんね。また、アクラの使者と認められるシーンもテレビアニメのように手からニョキニョキなんていう風ではありません。
全般的にテレビアニメのグインはスーパーマン過ぎですね。
紙の本線路を楽しむ鉄道学
2017/01/14 14:17
線路のことならなんでも
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線路のことなら何でも、という感じです。お約束のスイッチバックやループはもちろん、勾配、カーブ、橋、トンネルから、路線名、路線の付替え、果ては引込み線までトリビア満載です。
川端康成の「雪国」のトンネルの話が載っていますが、今まであの列車は汽車だと思ってましたが、実は電車だったのですねぇ。この本で初めて知りました。
2017/01/14 15:23
安倍政権の政策が沖縄の尊厳を傷つけている。
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20年前の普天間返還の日米合意から、現在の安倍政権の強圧的政策に至るまで、代替ヘリポートが新たな基地建設に転換していった経緯を丹念に描いています。著者はこれを歪みと呼びます。
居心地のいい沖縄に日本のお金で高機能の新基地を欲した海兵隊。海兵隊との同居を嫌った米空軍。自民党政権による問題の糊塗。鳩山政権による過剰な政治問題化、歪みの原因は多面性を持っています。
過去、明らかに寛大な譲歩と見える措置をとることで、沖縄県民の心を惹きつけ情勢を安定化させ、残る米軍基地を安定的に使用する政策が、現在の強硬的な政策にとってかわられた時、米軍基地に対する県民の反発と敵意として暴発するリスクを孕みました。沖縄の尊厳を一顧だにしない政策は、この潜在的リスクを自ら増大させています。
このような背景には、私たち本土住民の沖縄への無関心があると考えました。
それにしても、橋本首相って手法はともかく偉い人だったんだねぇ。大田知事との会談は17回に及ぶそうです。最後は手切れになったけどね。
それに比べて安倍さんは翁長さんと何回会ったんだろうね。無視と無関心ほどおそろしいものはないね。
2017/01/14 15:15
100年前の伝説の英雄が甦る
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地球人は二つの勢力に分かれ100年以上も戦争を続けている。100年前の戦闘で救命ポッドによって冬眠状態だった主人公は、味方艦隊に救われる。しかし、その時味方は敵艦隊に圧倒されていた。首脳陣が全員殺害され、主人公は艦隊を率いることになってしまう。彼には3隻のチームを指揮したことしかなく、100年前の戦いの特別昇進で大佐になっただけというのに…。ところが、彼はすでに伝説の英雄と見なされていた。彼は艦隊を率いて母星に帰還することを目指す。
神格化した彼に全幅の信頼をよこす者にうんざりし、彼の指揮能力に疑問を持つ者の反発に会い、彼の艦長職務は一筋縄ではいかない。なおかつ、この100年で艦隊としての集団戦法は失われ、各自がてんでばらばらに攻撃するしかできなかった。
館長としての負託に応え、皆をまとめて帰還することができるか?
というのが、大体のあらすじ。艦は亜光速で飛行することができ、ワープ航法も手に入れているが、通信系だけは光速を越えられないという制約が話の展開を面白くさせている。
そして、英雄と素の自分という主人公自身の葛藤と、彼に様々な目を向ける艦長たち。
単なるスペースオペラではない、複雑な人間ドラマを展開する!
2017/01/14 14:46
欠けた能力が新しい能力を生む
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イギリスの医師でありサイエンスライターであるオリヴァー・サックスの1995年のルポです。
登場するのは7人の人物。
1突然全盲になってしまった画家
2脳腫瘍のために視覚と記憶能力を失った青年
3トゥレット症候群の外科医
4中年になって視力を取り戻した男性
5写真以上の驚異的な記憶で故郷を描き続ける画家
6サヴァン症候群の天才少年画家
7自閉症の動物学者
これらの登場人物を通して、疾病によって新たに獲得された能力や、疾病を克服したことにより失われてしまった能力が描かれます。
総じて感じるのは、疾病による障害はあるものの、彼らにとっては疾病そのものがアイデンティティになっているということです。登場人物はみな魅力的で、著者も彼らに偏見や前提なしで、あるがままを受け入れようとする姿に共感を得られます。
タイトルの火星の人類学者とは7の動物学者の言葉です。彼女は視覚的思考や論理的思考は非常に優れていますが、一般の「普通の人」の情緒的な関係や抽象的な思考は全く理解できません。そこで彼女は自らが「火星の人類学者」になって、周りの人々の行動・思考パターンを脳に蓄積し、TPOに応じてそのデータを取り出し、それに従って行動することによって、社会生活を営んでいるのです。自閉症って興味深いものですね。
紙の本白虹
2016/03/03 22:38
禍々しい白虹が不穏な将来を暗示する
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いよいよ新たな章の始まりです。
グイン、イシュト、スカールそれぞれが新しい展開へ向かいます。
一方、世に憂いているようなアルド・ナリス。
そしてスカールの前には凶事の前触れである白虹が現れ…
次の巻が待ち遠しくなるプロローグです。
紙の本空飛び猫
2016/02/08 18:28
なぜか翼を持って生まれた四匹の物語
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『ゲド戦記』で有名なアメリカの著名なSFファンタジーによる絵本です。訳は村上春樹。
普通の都会の野良猫の子として生まれた4匹は、なぜか翼を持っていました。やがて4匹は独り立ちのために母親のもとをさり。あてのない旅に出ます。食べ物に困ったり、鳥から攻撃されたり、ほうほうのていの旅の終わりに、広い牧場で素敵な飼い主を見つけという冒険物語です。
紙の本へうげもの 1服
2016/02/08 17:39
古田織部を題材としたフィクション
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岐阜県本巣の武人で、安土桃山時代に数寄の世界で「織部好み」として一時代を築いた古田織部の物語です。去年BSでアニメ化されて、今もモーニングに連載中ですが、文庫化されたので読み始めました。実は久しぶりのマンガ。
松永久秀の謀叛のことから話はスタート。「物」と「出世」の2つの欲の間で揺れ動く織部を描いていきます。一応マンガとしてはフィクションということになっていますので、史実との違いは云々してはいけません。
マンガ特有の大げさな表現がとても面白いですが、それよりなにより、登場人物たちは、皆「物」と「出世」に取りつかれた「業」の深い人たちで、とても人間臭くて面白いですよね。特に利休がすごい!数寄の世界で天下を取るために方法を選ばないというすさまじい気迫を見せます。
1巻では、武田攻めまでが描かれますが、本能寺へ続く陰謀が描かれとても面白いですよ。
2016/02/08 17:34
中日ドラゴンズカルトQをもっと読みたい
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幹館大学ヘンな建物研究会(ヘンたて)が舞台。プロローグの展開では超芸術トマソンか!と思ったけどさにあらず。ヘンな建物と言うよりはあり得ない建物を舞台にした謎解き+恋愛ドラマ。謎解きも恋愛もかなり緩い感じ。物足りないと感じる人も多いだろう。
が!特筆すべきは主人公の同級生伊倉星加。なんと岐阜県出身のドラキチ。こんな設定の登場人物はそうはいないよ。そしてこの星加が他大学と繰り広げるドラゴンズカルトQ。これだけでも読む価値はあるな。
それにしても、落合英二が1球で敗戦投手になった時の阪神の打者って誰だったっけ。
2016/02/08 16:52
ワールド・ミュージックの世界へ!
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世界中のあらゆるポピュラーミュージックへの扉を開いてくれる一冊です。