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  3. 司馬青史さんのレビュー一覧

司馬青史さんのレビュー一覧

投稿者:司馬青史

28 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本生き残った帝国ビザンティン

2021/06/21 22:46

伝統と変革の千年帝国・ビザンツ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

千年の帝国・ビザンツ――。

ビザンツ帝国
ローマ帝国を母として、この帝国は生まれた。
他の国家・民族の興亡を他所に、文明の十字路で千年以上にわたり存続した。
しかし、それは単なる幸運に恵まれての事ではない。

ビザンツ帝国の歴史は絶えざる攻防の歴史であり、危機の歴史そのものだった。
そして、それらの危機を克服し、乗り越えてきた歴史でもある。
危機が訪れるたびに、武力・知力・文化力…ビザンツはその全てを動員して生き延びる事ができた。

ビザンツ帝国はローマ帝国の精神を継承した帝国だった。
その精神を継承しつつも、、過酷な現実に適応し、幾たびもの変革を成し遂げた。
伝統と革新。
それらが巧みに融和し、幾たびの繁栄と栄光の源泉となってきた。

不死鳥の如き帝国・ビザンツ。
その盛衰と魅力を伝える珠玉の一冊。

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紙の本

関東の覇者 ― 時代の転換における自画像

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後北条氏、関東の覇者は何を目指したのか?

複雑怪奇な東国、関東情勢と鎌倉時代以来からの東西分割統治の伝統。
変化する時代とその中で連綿と継続する旧秩序、産声を上げる新秩序。

後北条氏が勃興し、関東の覇者となったのはそんな社会であり、時代だった。
旧来の秩序と伝統を掲げつつ、やがてはそれと決別し、新たな秩序を創りだそうと葛藤する――。
しかし、その根底にあるのは東国、関東独立の意識と誇りだった。
後北条氏の歴史は、その栄光と苦悩、そして挫折の歴史。

勝てば官軍負ければ賊軍は世の習い。
後世の私たちは、勝者の立場からで歴史を視る。

しかし、後北条氏は新興勢力として旧勢力に挑み、ビジョンを掲げ、ついには関東の覇者、戦国第二の大勢力の地位を築いた。
その事実を軽視すべきではなく、また忘れてはいけない。
そして、後北条氏の創ろうとした秩序が、江戸幕府へと受け継がれ、日本の近世を形作るファクターにもなった。

後北条氏の歴史とは、単なる栄光と挫折の歴史ではない。
時代の転換点の中、私たち日本人が伝統と革新の融和を図る姿。
後北条氏の歴史は、そんな私たち日本人の自画像そのものである。

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紙の本

経済の革命者、兼戦国の覇王

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経済を理解する者こそが、国家を制す。

織田信長は、まさしく経済の革命者だった。
古来からの既得権益を切り崩し、日本の経済の仕組みを一変させた。
その姿勢はまさしく破壊者、革命者そのもの。

しかし、信長の破壊なくして、その後の日本はありえなかった。
戦国の覇王による経済システムの破壊と創造。
それこそが、戦国から江戸、ひいては明治に至る経済成長へと日本を誘った。

この本が見せる経済の革命者・織田信長の姿は、閉塞した時代には実に新鮮だ。

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紙の本

紙の本ローマ人の物語 9 賢帝の世紀

2021/09/28 23:02

多様な指導者と人材~ローマ帝国が教えてくる事

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皇帝たちは、なぜ賢帝たりえたのか?

トライアヌス帝、ハドリアヌス帝、アントニヌス・ピウス帝はいずれも賢帝として誉れ高い。
ローマ帝国の黄金時代、五賢帝時代の皇帝であり、この三人の賢帝なくして、ローマ帝国の栄光はなかった。

しかし、三人は性格も違えば、政治姿勢も異なる。
トライアヌス帝は誠実にして、拡大路線を歩んだ至高の皇帝。
ハドリアヌス帝は複雑にして、帝国の現実を直視し続けた活力に満ちた皇帝。
アントニヌス・ピウス帝は仁愛にして、伝統・理念に忠実な倹約の皇帝。
そんな彼らが五賢帝時代を担い、ローマ帝国の黄金時代を築き上げた。
性格も違い、政治姿勢も異なる三人の皇帝は、なぜ賢帝たりえたのか?

ただ言えるのは、時代が三人の異なる皇帝を必要とした。
そして、ローマ帝国には時代が求める指導者を送り出す多様性があったという事だけである。
多様な指導者は、多様性のある環境の中でしか生まれず、育たない。
多様な指導者、人材なくして成長も発展もあり得ない。

三人の賢帝は性格も違えば、政治姿勢も異なる。
しかし、そんな多様な指導者を送り出せる事こそが、ローマ帝国の強さだった。
普遍帝国、ローマ帝国が持った強さを、現代に生きる私たちはは忘れてはならない。

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紙の本

歴史は繰り返す

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政治の本質は経済にあり、国家の本質は人民の安定にあり

江戸時代、260年余りにわたって日本は平和を享受した。
豊かな文化が花開き、飢饉・災害はあれども人々は安定した生活を送った。
そして何より、平和に支えられて、経済が著しく発展した。
近現代に至る、経済大国・日本の礎は江戸時代に整ったと言っても過言ではない。

しかし、政治は経済の著しい発展に対応できなかった。
経済の発展に伴う豊かさ、既得権益に胡坐をかき、指導者たちは経済の理解を怠った。否、経済を見ようとすらしなかった。
時折、経済の知識を持つ指導者が改革を行っても、その悉くが反動に遭って潰えた。
それが結果的に、明治維新を招いてしまった。

だが、現代を生きる私たちは、それを愚かと笑えるだろうか?
豊かさと既得権益に胡坐をかき、改革を怠る政治家や官僚たち。
過去の栄光を引き摺り、旧態依然の構造を是とする経営者や企業家たち。
外を見ようとせず、平和の惰眠を貪る人民。
そんな私たちが、江戸時代の人びとを笑えるだろうか?

歴史は繰り返す。
私たちは今こそ、歴史の教訓に学び、同じ轍を踏まぬようにすべきではないか?

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紙の本

強く、気高く、美しく 近代日本を生き切った一輪の花

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強く、気高く、美しく――。

広岡浅子が生き、活躍した時代は、日本女性の黎明期だった。
大商家・三井家に生まれこそしたが、その境遇は決して恵まれたモノではなかった。
学ぶ事を禁じられ、男性が決めた「女」の生き方を押し付けられ、結婚させられる。
それはまさしく「籠の鳥」であり、虜囚そのもの。

浅子の浅子たる所以は、そんな境遇にも決して諦めない事にあった。
現状に甘んじず、むしろ不条理な現状に怒り、跳ね返していく強さ。
卑屈になる事なく、自分の信じる道を胸を張って、堂々と生きていく気高さ。
そして、国のため、社会のため、誰かのために自分に何ができるかと自問し、考え、実行する美しさ。
決して諦めず、強く、気高く、美しく生きる姿こそ、広岡浅子の真髄。

女性問題、LGBT問題が今なお根深く、進展を見せない日本。
そんな現代日本を浅子女史が見たら、何を思い、何と言うだろうか?
そんな事を考えて、この本を読むのも一興だろう。

広岡浅子。
彼女の強く、気高く、美しい生きざまは、今なお私たち叱咤し、魅了してやまない。

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紙の本

創造者と再生者

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新たな時代を創る者と今の時代を護る者。

曹操は古き時代の破壊者であり、新たな時代の創造者であった。
諸葛亮は時代の再生者であり、今の時代の守護者であった。
二人は凡そ対極に位置しながら、共通の土壌にあり、その手法は驚くほど似ていた。
濁流政治に抗い、優れた人材を登用し、富国のため経済に力を注いだ。

では、二人を分けたモノとは一体何だったのか?

生まれに環境、人との出会い・・・と理由はそれこそ様々だ。
しかし、最大の理由は体制での立ち位置、権力との距離にあたのではないか?

曹操は大宦官の一族に生を享け、体制の中枢にいた。幼少から活躍するに至るまで、権力を間近に見て育ってきた。
対する諸葛亮は名門に生を享けるも、それは体制の外縁に近い。権力と無縁ではないにせよ、決して身近ではなかった。
権力を間近に見て、体制の限界を直視した者と権力と距離があり体制を客観視できた者。
それこそが、曹操を創造者に、諸葛亮を再生者へと誘ったモノではなかったか?

曹操と諸葛亮は対極のビジョンを持ちながらも、二人の手法に共通・類似がある。
創造者と再生者。
対極にあるように見えても、二人は一枚のコインの裏表なのかもしれない。
誰より距離は近くても、決して一つになる事はない。

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紙の本

「治者の論理」に目覚めて

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国家百年の計、国家の大業、経世済民……。

いずれも日本では久しく聞かれず、すでに死語同然となってしまった言葉だ。
日本に民主主義が定着して70年余り、内閣制度・政党政治も含めれば100年にはなるだろうか?
それだけの歳月を経てもなお、日本の政治・市民レベルはいまなおに低い。

政治意識は低く、政治に清廉さばかり求め、内向き自己完結の政治視点しかない。
口を開けば空理空論、政治や政治家・官僚への不平不満と批判ばかり。
日本人はいつになったら、「治者の論理」を思い出し、目覚めるのだろうか?
新型コロナに流動化する国際秩序、米中新冷戦、複雑に絡み連鎖する世界。
日本だけで完結する時代は遥か昔、幕末に終わっている。
そんな時代だからこそ、強い指導者が必要だ。

「われわれは自分たちの民度に見合った指導者しか持つことができない」
なるほど、著者らのこの指摘は真理だろう。
だからこそ、私たち日本人は日本の歴史・風土に根ざす、強い指導者を育てねばらない。
時に厳しく、時に寛容に、時に理解を示して、強い指導者を育てる必要がある。
そのためには、日本人が政治意識を高め、内向き自己完結の政治視点から決別する必要がある。それも継続的に。その土壌なくして、指導者を育てる事などできない。
その土壌こそが、「治者の論理」である。

「治者の論理」を思い出し、あるべき強い指導者を我々一人一人が考える。
その上で、民主主義というシステムの是非も含めた、国家百年の計、国家の大業、経世済民を目指すべきだろう。
本書はそれを助ける標となってくれる、至高の本である。

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紙の本

紙の本武揚伝 決定版 下

2021/03/14 21:39

もう一つの日本

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蝦夷共和国――。
それは、近代日本に芽生えた可能性、もう一つの大日本帝国の形。

幕末という激動の時代、明治政府の目指す日本とは異なる日本が示された。
榎本武揚が示し、実現した形。それが蝦夷共和国だった。

蝦夷共和国は、一般に言われる完全な独立国を目指したものではないだろう。また、その後の歴史を考えても、完全な独立国として自立する事は難しい。
榎本自身も日本から自立した、完全な独立国を目指したわけではないだろう。

では、榎本武揚が実現した蝦夷共和国とは何か?
それは、明治政府による中央集権の大日本帝国の否定。
江戸時代に完成した地方分権の流れを汲んだ大日本帝国。明治政府による本州、榎本の蝦夷共和国、そして琉球王国からなる連邦型の大日本帝国。
それこそが、榎本自身が夢見た近代国家・日本の理想ではなかっただろうか?

もちろん、これは筆者の勝手な想像に過ぎない。
しかし、今のような時代だからこそ、この本はあの時代のそんなもう一つの日本の形を考えさせてくれる。
歴史にifはない。しかし、それを考える喜びと今こそ必要な日本の形を思わずにはいられない。

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紙の本

紙の本武揚伝 決定版 上

2021/02/14 20:49

井の中の蛙から、世界の蛙に

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井の中の蛙大海を知らず

鎖国、世界との繋がりが極端に制限された時代。
そんな時代の日本で貪欲に知識を求め、未来に疾走した漢がいた。

社会が揺れ、世界が激しく動く時代。
狭く、閉ざされた日本から世界という大海に飛び出した蛙がいた。

榎本釜次郎武揚。
江戸の蛙から日本の蛙、そして世界の蛙へと飛躍した漢。
悩み、戸惑い、苦しみながらも信じる道を真っ直ぐに駆けた漢。
今の日本人が、日本社会が忘れてしまった情熱と行動力。
そんな今だからこそ、この男を知り、学ぶ必要がある。

私たちが日本という井の中の蛙から、世界の蛙へと飛躍するために――。

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紙の本

平和とは何か?―――現実の平和

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平和とは何か?

平和とは何とも美しく、甘美であり、そして大多数の人々が願い、望むモノだ。
それでいて、これほど実現が難しく、壊れやすいモノもまたない。
その上、唱える者が目指す平和が必ずしも同じモノと限らない。むしろ、異なる場合の方が多い。

平和。
誰しもが一度は口にし、願った事があるモノだ。
しかし、平和とは何か? 何を持って平和とするのか? 平和とは如何なる状態なのか?

この本は平和について書かれた本ではない。
また、美しい夢想を描いた本でもない。
この本は、国際秩序について書かれた本である。

この本に書かれているのはロマンでもなければ、熱い情熱でもない。
まして、美化された歴史でもない。
この本には残酷な現実、諸国家のエゴイズム、そして人類の挫折と愚かさが書かれている。国際秩序と言う、諸国家と人類の試行錯誤の歴史が書かれている。

しかし、だからこそ、現実の平和を問い、考えるに適した本でもある。
平和が易く語られ、キレイ事で語られる昨今。
この本が描く国際秩序の歴史は、昨今の安易な平和論を打ち砕いてくれる。
人類と諸国家が莫大な生命と時間をかけ、試行錯誤し続ける国際秩序の現実ほど現実の平和を教え、自覚させてくれるモノはない。

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紙の本

紙の本ヒトラーの秘密図書館

2020/12/06 17:46

現代への警告と課題

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本に善悪はない。
本の読み手が、本から得たモノをどう使うというだけだ。
そして、読み手は自身の置かれた環境、時代と無縁でいる事はできない――。

アドルフ・ヒトラーは、大変な読書家だった。
彼は学歴を膨大な蔵書と、その読書によって補った。
彼が読んだ本の一冊一冊が、『独裁者』ヒトラーを形作った。

もちろん、『独裁者』ヒトラーが読んだ本のみで形成されたわけではない。
本が様々なモノを提供したが、何を受け取るか選択したのはヒトラーだ。
そして、それに影響を与えたのは環境であり、時代である。

どんな優れた読み手も環境、時代と無縁でいる事はできない。
大小の差はあれど、環境と時代は読み手に影響する。

『独裁者』ヒトラーとは、あの時代の必然だった。
ナショナリズムに反ユダヤ主義という時代の潮流に敗戦、絶望、復讐感情…等の時のドイツが置かれた特異な環境にヒトラーという類い稀な資質の持ち主の生い立ち。
それらが結びつく事で、『独裁者』ヒトラーという現象が生じた。
そして、本は読み手・『独裁者』ヒトラーが必要とするモノを提供した――。

そして、これは決して過去の出来事ではない。
多くの本があり、ネットが著しく発達した現代は、容易に同じ現象が起こりえる。
形を変えて第二、第三の『独裁者』ヒトラーという現象は私たちの中に眠っている。
その時、読み手が必要とするモノを提供するメディアはあの時代以上に溢れている。

この本は、現代に対する警告であり、課題を提供している。
今と言う時代、そして未来を生きる者として、私たちはこの本から学ぶべきだろう。

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紙の本

紙の本貨幣の鬼 勘定奉行荻原重秀

2020/11/09 21:29

治世の名将

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荻原重秀は、その生涯を戦い通した武士だった。
刀や槍を振るう戦いではなく、算盤や貨幣を駆使した戦い。
それが、荻原重秀の戦いだった。

乱世には乱世の戦があれば、治世には治世の戦がある。
そして、治世の戦は世が続く限り、終わる事はない。

江戸時代、260年余りに及ぶ平和の時代は、何の努力もなく続いたのではない。
治世の戦を戦い続けた、武士や町人たちがいたからこそ続いた。
荻原重秀は、その最初期に生きた武士だった。

荻原重秀の生涯には戦場を駆る華々しさはない。輝く栄光も名声もない。
それでいて、彼の生涯に退屈を覚える事はない。
その愚直さと必死の知恵には、感嘆と共感さえ覚える。
悪化し続ける幕府の財政を彼だけが知り、そして支え続けた。
初めは財政の知識で、そこに経営の知識を加え、最後には会得した経済の知識で幕府の財政を支えた。

荻原重秀を当時の武士の大半は理解できなかった。
そこに新井白石たち、経済を拒絶する旧来の武士との亀裂が生じた。
その亀裂が、幕府の大功臣を歴史の闇へと葬った。

理想に生き、旧習に生きる姿は美しい。
しかし、それでは治世の戦は戦えない。

今という時代だからこそ、荻原重秀という名将を知って欲しい。
そして、その愚直で必死の姿から何かを学び、感じて欲しい。

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紙の本

紙の本ビザンツ帝国生存戦略の一千年

2020/10/22 21:08

ローマ帝国、その長男国家

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多様性こそは国家繁栄の剣であり、国家存続の盾である。

ビザンツ帝国は千年帝国である。
その歴史は繁栄と衰退、栄光と挫折、そして復活の連続だった。
ササン朝ペルシア王国の侵攻に始まり、イスラム諸国、蛮族…と何度も滅亡の危機に曝されてきた。
しかし、その度に不死鳥の如く復活し、新たな繁栄を遂げてきた。

ビザンツ帝国は軍事大国ではなかった。
相応の軍事力こそあれど、他を圧倒する武力は持てなかった。
軍事力ではなく、外交・文化・宗教・経済力にこそ、その神髄がある。
では、その源泉とは何だろうか?

ビザンツ帝国はローマ帝国から生まれた。
ローマ帝国は「敗者の同化」を長く、伝統としてきた。
その伝統を形を変え、受け継いだのがビザンツ帝国である。他者を受け入れ同化し、新たな力とする。
その多様性こそが、他国がついぞ持つ事がなかった最大の強さであり、源泉だった。
その意味では、まさしくビザンツ帝国こそローマ帝国の長男と言えるだろう。

ビザンツ帝国の多様性を、多くの者は弱さとしか見れなかった。
事実、十字軍に参加した者はそう見た。そして、その見方がそのままビザンツ帝国への評価に繋がった。
それこそが彼らの、他国の限界だった。
それはその後のヨーロッパ、世界を見れば明白だ。

本書は幅広い視点、新たな考察からビザンツ帝国を見た歴史書である。
今のような時代、世界だからこそ、本書を多くの人に読んでほしい。
そして、本書が多様性のある社会・国家について考えるキッカケに、またその一助になる事を切に願う――。

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紙の本

歴史を知るという事

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大日本帝国。

東アジアで、アジアで輝かしい栄光と大いなる挫折を経験したかつての祖国。
大日本帝国は、欧米列強の帝国主義に対するアジアの、有色人種の1つの勝利であり、挑戦だった。
この歴史は、日本が世界に誇れる歴史であり、決して恥ずべき歴史ではない。

しかし、大日本帝国の歴史は、挫折と覇道の歴史でもあった事を忘れてはならない。
欧米列強の脅威を知り、その理不尽の苦しみを知っていた日本が、その立場になった事は皮肉である。

真実の歴史を知る事は、今を生きる私たちの責任である。
大日本帝国の誇れる歴史を知り、挫折と覇道の歴史を知る。
歴史に傲慢になってはいけないが、歴史を卑下して忘れてはいけない。

昨今、歴史を歪める似非保守・右翼や、歴史を卑下・忘却するリベラル・左翼が多い。
この本がそうした世の中にあって、事実を知る一助になる事を切に願う。

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