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ぞしまさんのレビュー一覧

投稿者:ぞしま

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紙の本

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紙の本

紙の本移民たち 四つの長い物語

2017/01/15 14:50

初ゼーバルト

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他者の記憶とは本来私たちから隔絶している。であるにも関わらず、そこに憑依しようとする意思は、私たちに確かに内在しているように思われる。
言葉をよすがに他者の記憶をたどる行為は、近くても遠くても関係性の中にあまねく遍在しており、それは時制や空間の軛を超え、生々しく漂流する私たちの感情と出会う、時には運命的とも言えるシンクロナイズを伴って。そのことを本書を読んで実感した。
私の記憶と他者の記憶は溶け合い、境界は曖昧になる。それは文学が射程し得る恍惚の瞬間だと思う。
本書を読んで、須賀敦子の著作を想起した。中でもアーデルヴァルト大叔父の記述は、鬼藤の叔父(『ヴェネツィアの宿』)と共に、優れた叔父文学として記憶したい。

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