丸焼きちゃんさんのレビュー一覧
投稿者:丸焼きちゃん
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紙の本百年の孤独
2019/01/05 21:44
一族と個と、物語を持たないわたしの孤独
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とりつかれる本、をほとんどの人が一生にかけて一人一冊は持っていると思う。自分にとってはこの本がそれ。
年末から年越しにかけて、一冊本を読むのがここ数年の習慣なのだが、この本だけはとりつかれたように、紅白も年末のごちそうも、初売りさえも放り出して、貪るように読み続けた。とにかく、次々と飛び出すブエンディア一族の者たちが持つ、一癖も二癖もある物語の数々から目が離せない。先祖の誰かと同じ名前の娘が、息子が、生まれて死に、物語を繰り返していき、その果てに一族の滅亡とひとつの村の栄枯盛衰が重なりあう。わたしという個の物語は、結局一族の誰かの物語の繰り返しなのかもしれない。背負うべき一族や血を持つ何者かにとっては。
読み終えて、一族の物語を持たない現在を生きる、無数のわたしたちの行方をふと考えた。どこにでもいける、物語を持たないわたしたち、はどこにいくのだろう。きっと、わからないなりにどこかへといくのだろうか。
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