LQMさんのレビュー一覧
投稿者:LQM
10 件中 1 件~ 10 件を表示 |
紙の本仏教経典散策
2023/01/22 00:12
5名の著者の独自性とストーリー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
仏教経典
その数は膨大であるが、本書では日本人に古くから読まれてきた経典を中心に17の経典を対象とし、5名の著者が分担して著述している。
巻頭の「経典について」と題した章は、仏教史に並行して各経典のエッセンスや関連性がコンパクトにまとめてあり入門書として読むことができる。一方、個別の経典の各章は、執筆した著者の各々の独自性が色濃く感じられる。同一の著者が執筆した章をまとめて読むと、一貫したストーリーが見えるように思える。
このような機動的な読み方ができるのも本書の構成の特長の1つである。
2023/01/07 03:24
引用は「歎異抄」に留まらず広範囲に及ぶ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「歎異抄」
この解説に軸足を置きながらも、親鸞の思想全体、ひいては親鸞に至るまでの浄土思想の系譜にまで光をあて論考した書である。
しかるに、本書の中での引用は「歎異抄」に留まらず、親鸞の著作ー例えば「教行信証」「正像末和讃」「御消息」ーに加えて、「無量寿経」「観無量寿経」や師の法然、善導、曇鸞、龍樹の著作にまで広範囲に及ぶ。引用文は多くの場合原文(あるいは書き下し)に現代語訳が付されており停留することなく読み進めることができるよう配慮されている。
巻頭の歎異抄序文の墨書の影印も興趣を添える。
紙の本原始仏典を読む
2023/01/05 22:15
原始仏典を読み始める際の道標
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ブッダは何を語りそれがどのように伝えられたか。
その答えを求めて初期仏教の経典(原始仏典)を読み始める際に、本書は道標を示す入門書として読むにふさわしい。
ブッダの教えに最も近いとされる「スッタ二パータ」や、「ダンマパダ」などのパーリ語の原始仏典を著者が日常の現代語に翻訳した中から詩句を引用し解説と考察が加えられている。時に著者が話し言葉で語る部分もあり、まるで講義を受講しているような気持ちにもなる構成である。
本書の読後は、引用元の1つ1つの経典の翻訳本に読み進んで行きたくなる。
紙の本大きな字の歎異抄
2023/01/03 17:26
親鸞の心が伝わってくる
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「善人なほもつて往生をとぐ。いはんや悪人をや。」
誰もが知る親鸞の言葉であるが、その意味するところを親鸞自身の言葉で語られている書である。
原文と現代語訳と解説が収録されているが、まず最初に大きな字の原文が配置されているので、原文から入り、次いで現代語訳と訳注で意味を補う読み方も良いと思う。何度かはっとさせられる句が出てくるが、その度に言い換えたり反復したり例えを出したりして丁寧に意味を解きほぐして語る親鸞の心が伝わってくる。
大きな字は、読み易さにつながり、表紙と中表紙のやさしい手触りは本を手に取る楽しさを与えてくれる。
2023/01/02 18:39
内容区別を示す工夫あり一旦リズムをつかむと一気に読めました
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
念仏
それは現代の私たちは様々なシーンで用いる言葉ですが、浄土へ往く方法として念仏を強く打ち出した法然の考え方をたどることができる本です。
現代語訳と原文書き下し文と解説が収録されています。
法然の文章の構成には際立った特長があり、本書では表題と、無量寿経などの引用部と、法然が自分の考えを述べた部分の区別を示す工夫が施してあり、初めて読む際には大いに理解の手助けとなります。そして、問いを立てて答える形式の中で引用文に立脚して分析し論理展開していく文章構成が首尾貫徹されているため、読み始めて一旦リズムをつかむと一気に読めました。
現代語訳と解説で全体像をつかんだ後も、原文書き下し文で法然の細かい表現や文の勢いや繰り返し述べることによる読み手への厚い配慮を味わうことができる1冊です。
表紙カバーのカラーの来迎図に、当時の人々の心に深く染みた法然の教えを見る思いです。
2023/01/15 01:17
独自の切り口で仏教の歴史を俯瞰
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「瞑想」
この言葉を筆者は「心身(しんじん)の観察」と置き換えて定義し、本書の中で一貫した主題に据えて仏教の歴史を俯瞰した、独自の切り口の仏教書である。
本文中に引用されている文献は多岐に渡るが、原文あるいは現代語訳のいずれの場合も初学者にも読みやすいよう配慮されている。また出典が明示してあるため読後さらに深く調べる際にも有用である。
通読の途中でイラストでまとめたページに出会うと、頭も気持ちもほぐれる。
紙の本「観無量寿経」をひらく
2023/01/08 11:29
善導の解釈を中心に据えて解説
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「観無量寿経」
法然ー親鸞へと繋がる日本の仏教の教えに影響を与えたこの経典を、法然が拠り所とした善導の解釈を中心に据えて解説した書である。
話題ごとに、観無量寿経から漢文原文にして1~3行程度短く引用し、書き下し文、漢文、現代語訳、解説の順で掲載されている。解説の文章の中においても適宜観無量寿経の一節を引用しながら展開されているため、解説のみ読み進めることもできる。あるいは、書き下し文、現代語訳、解説を読んで意味を捉えた後で漢文原文に戻り原文の表現を確認する読み方もできる。
巻頭のカラーの絵も美しい。この経典が仏教美術に与えた影響の一端を垣間見ることができる。
紙の本ブッダの言葉
2023/01/04 22:22
ブッダの言葉に触れる入門書として
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ブッダ
誰もが知るその人の、言葉に初めて触れる入門書としてふさわしい1冊です。
短い詩句にインドの美しい写真でイメージを添え、11のテーマ別に章立てして編纂されていますので、テーマでまとめて読むのもよいですが、目に留まった写真やことばのページから読んでみるのもよいです。
本書は、ブッダに元も近いとされるパーリ聖典「スッタニパータ」や「ダンマパダ」等を中村元氏が生き生きとした生活の言葉として和訳した中から、詩句を選定し編纂した本です。巻末に出典がまとめてあり、パーリ聖典との対応および和訳の出典を確認できるため、本書を読後、さらに広く読み進める手がかりとなります。
フォトブックとしての性格上、厚めで明るい紙質やしっかりした装丁も好感です。
電子書籍ジャータカ 仏陀の前世の物語
2023/01/01 01:45
仏教美術の理解にも助けになる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
月にうさぎ
誰もが知っているこの取り合わせ、ジャータカの中の1話にそのいわれが記されている。
本書はパーリ後経典と漢訳経典の中から31話を選定し、ジャータカの文学形式である三部構成(現在世の物語、過去世の物語、結びの話)を全て記述した上で読み易く構成した和訳本である。巻末に各話の出典がまとめてあり、原典との対応に配慮されている。
月にうさぎの取り合わせは中国の仏教遺跡・キジル石窟の壁画にも描かれているが、他にも壁画に度々見られる物語「捨身飼虎」「金色鹿」「シビ王」が本書に収録されている。仏教美術の理解にも本書は助けになる。
表紙カバーのカラーの「捨身飼虎図」も収録の1話に対応していてうれしい。
紙の本はじめて読む般若心経
2022/12/31 23:55
いつも手元に置いて読み返しています
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「色即是空」
多くの人が一度は目にあるいは耳にしたことがあるであろう有名な一節ですが、この一節を含む般若心経を初めて通して読むのに適した本です。
玄奘(孫悟空のモデルといわれる)による漢訳でわずか4ページ、題名を含めても276文字の即完読できてしまう経典です。本書では漢訳に対象配置した和訳と、噛んで含めるような丁寧な解説で理解を助けてくれます。さらに読経や写経などを通して生活に取り入れる術にも章が割いてあり、コンパクトな装丁ながらまさに至れり尽くせりの1冊です。この本を入り口として様々な仏教書を読む際にも、漢訳原文に立ち戻って確認するためにいつも手元に置いて読み返しています。
文字が大きいのもうれしい。
10 件中 1 件~ 10 件を表示 |