rehさんのレビュー一覧
投稿者:reh
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2002/07/05 19:31
線の躍動
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この作家は墨と墨汁で描くことが多い。とはいっても墨絵のような洗練された絵ではなくて、はじめてみた人は雑であるとしか思わないかもしれないような絵だ。しかしそれはいいかげんに描いているという意味では決してない。構図、コマ割は実に読みやすく工夫されているし、テンポよく進むストーリーに味なせりふ回しで、一度読んだら病みつきになるような魅力を持っている。そうして一度読んだ後に改めてその「雑な」線を見てみれば、読者はその線の文字通りの躍動感が彼のマンガの重要な一要素となっていることに気づくだろう。
紙の本地獄 西岡兄妹自選作品集
2002/07/05 19:00
凝縮度の高い短編集
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マイナー系の作家にはいまいち親しみをもてない人でも、この作家は受け入れられるのではないだろうか。まるで刺繍のような絵柄に、いつか見た悪夢のような内容で、しかしただの不条理ではなく、日常生活の底にあるものを引きずり上げるような深みがある。などと書いても内容のすごさがちっとも伝わらないのだが、とにかく巻頭の「そうではないところへ」だけでも読んでみてほしい。10ページに満たない掌編だが、この凝縮された表現力はつげ義春や高野文子のそれに比肩し得ると思う。
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