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eggさんのレビュー一覧

投稿者:egg

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紙の本

紙の本もてない男 恋愛論を超えて

2002/03/29 00:55

もてない男でいたい症候群

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 小谷野氏の言う「もてない男の恐怖」はまさしく同感である。童貞時代、飛行機に乗って「このまま飛行機が落ちたらニョショウを知ることもなく死ぬのだ(詠嘆)」という感情に何度となく襲われた。その感情の深いところには「世界の約半分の秘密を知ることが永久に出来なくなる」という根源的な畏れがあった。
 僕は、もてなかったのか、もてたのか、正直よく分からない。だけど「俺はもてるんだ」などという認識は、恥ずかしい。過剰な自意識の病だと思う。逆に「俺はもてない」という自己認識もあまり釈然としない。あまりに世界を固定化して捉えているからだ。現実は「もてたりもてなかったりする」もんだよね。だから「俺はもてない」と決め付けることも過剰な自意識の裏返しに過ぎないし、本人の「現実認識のなさ」を露呈している。どちらもいないしどちらだけという人間もいない。この貧困な2分法は従って「非現実な概念装置」であるということになる。
 つまるところ、その概念装置を身にまとうことが「美」なのかどうか?という「スタイルの問題」になるのだ。
 しかし、そう考えると「もてない男」という概念に対して、ますます僕は共感を覚える。少なくとも「もてる」概念男よりも「もてない」概念男のほうが存在的に平和にちがいない。腰も低いし、人を殴れない感じがする。僕は基本的に「もてない概念男」でいたいと思う。
 だが、恐怖もある。僕は、もてたり、もてなかったりした結果、結局は現在の女房と結婚でき(これは結局もてたことになるのか?)子供が二人いる。その長男の行動と眼差しを見るにつけ、「ああこの子もいづれ僕と同じような男の根源的恐怖を感じるのであろうな…」というオヤバカ的感慨に浸ってしまうのだ。その恐怖の共有に親子を超えたどうしようもない男の浪漫なんぞを感じてしまう。
 おお! 息子よ! お前もなんとかかんとか「生涯の女性」を発見するまでものすごく苦しむのだなぁ…ひょっとして見つけられなかったりしたら、その父である僕も未来に再びその恐怖を追体験(?)することになるのだなぁ…。
 結婚できたからといって決して「もてない概念男」は捨てられないのだ。ここらへんに、悲しさとともにどうしようもなく「俺はもてない男でいたい」という欲望が滲み出してくる根本があるのだ。

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