秋葉原さんのレビュー一覧
投稿者:秋葉原
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2003/01/19 11:38
はい、深呼吸してぇー。落ち着きましょう。
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晴海埋立地の再開発である「晴海トリトンスクエア」の書店「書原」でこの本をみつけた。私は手に取ると即座にすみからすみまで立ち読みし(人を待っていて、時間がたっぷりあったため)、その場で購入した。それは、日比谷シティの記述をみて、NHKが日比谷にあった放送会館を、東京オリンピックの開催にあわせて、日比谷から現在の渋谷区神南に移転してしまったこと、そしてプレスセンター、時事通信社、などなど「報道」における立地の重要性をあらためて感じることができたからである。
しかし、本書における私の率直な感想としては「偏向報道」、あるいは「調査不足」を感じてならない。その二点において、本書は非常に残念な著作であると思う。もちろん、ジャーナリストも人間であり、本人の信念・信条があって当然であり、わからないことも多い。それでも、私がそのように思うのは、著者が、本書でいうところの「改描」の正当化に加担しているのではないかという疑念である。著者は水道局に問いあわせをしているが、地下には電力会社、通信会社、ガス会社などの民間会社の設備もある。政府や東京都といった官だけではなく情報を持っている企業があるはずだからだ。
それでも、私が高い評価をつけるのは、本書の冒頭にあげられている、「国会議事堂前」の丸の内線と千代田線の疑問については、私自身も「ジャイロ搭載型カーナビ」を車から取り外し、測量のまねごとにより、解決への一歩をあるきだしてみたいと思わせるところ、もしかして、本書が映像化された日には、カーナビメーカーのCMがはいったりして…。などと思うと、あえて民放の手法をうまくとりいれ、この事実をひろく一般の人に知らせるための手法を熟知した、かなりの上手かもしれないと感じたからである。つまり、片方向のマスメディアからの脱却し、市民との間で協調していく姿勢を感じたからである。
いずれにしても、戦争を語り継ぐことを目的として、本書でも取り上げられている「松代」や「浅川」の地下壕は、保存への活動が官民を超えて始められている。テレビ朝日の報道センター課長まで勤めた著者が、記者として培ってきた事実を見る目と記述する筆が、単なる視聴率獲得のような利益追求ではなく、事実究明という点において、著者がさらに事実を究明し、本書のパート2、パート3が出版されていくことを期待してやまない。
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