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マイロンさんのレビュー一覧

投稿者:マイロン

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

紙の本ノーストリリア

2001/01/24 01:00

おはなしと場所と時——大切なのはこの三つ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

おはなしと場所と時——大切なのはこの三つ。
 物語はこの一文で始まる。作者はこの一文で始まる冒頭の一章で、作品を要約する。これだけで読まなくてもいいと、断言もする。
 実際には冒頭の章は、要約ではなく、巧妙な惹句だ。設定を説明し、舞台を紹介し、練達の文章力で、先を読みたいという心理を煽る。雰囲気を上手に訳した、訳者の老練なテクニックもすばらしい。

 少年が地球を買い取った。古い戦略コンピュータが株の仕手戦を演じ、宇宙一の富を得た生来のハンデを背負った少年は地球の所有者となった。
 大金持ちに自由は許されない。少年は追い立てられるように、古い古いオールド・アース、人類を育んだ地球へと旅立つ。

 本作を含んだ「人類補完機構」シリーズはいまのところたかだか全4冊である。作者は故人であり、翻訳出版されたとしても、のこるところ一冊だけである。
 三千円に満たない金額で、素晴らしい物語の宇宙が手に入る。

 さて、「ノーストリリア」はどのように終わるのか。ふたたび冒頭の章から引用しよう。
“少年は地球へやってきて、なみはずれた冒険を重ねた末に、自分のほしいものを手に入れ、ぶじに帰ることができた。お話はそれだけだ。”

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紙の本

“いい”アンソロジー

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 楽しかった。読了して、まずそう思った。
 アンソロジーとしてのバリエーションの豊富さに満足したのだ。読まずぎらいだった作家、読む機会のなかった作家、知らなかった作家、それに触れていままでの盲目さを後悔する。そんな楽しみ方をひさしぶりに味あわせてくれたアンソロジーだった。

 編集の意図だとは思うが、“少年”という大テーマの上に、現在の諸問題というモチーフを重ね合わせている。
菅浩江「夜を駆けるドギー」はインターネットとロボットペット。
平山夢明「テロルの創世」は臓器移植。
西澤保彦「ぼくが彼女にしたこと」はストーカー。
山田正紀「ゼリービーンズの日々」は少年法改正。
 安易に手をだしたなら、ただのシュプレヒコールになりかねない、極めて現在的なテーマだ。しかも形を変えずに、現況のまま提示しているのだから火傷しかねない。
 しかし作者はそれを鮮やかに調理して、しかも部品として硬直させることなく、生き生きとした形で物語の枠のなかに嵌め込んでしまう。
 なかでも、菅浩江と山田正紀の二作品は出色だ。「夜を駆けるドギー」はインターネットに耽溺し感情をもてあます陰鬱な少年を、さわやかなラストへと見事に誘う。「ゼリービーンズの日々」は、氏がSFを語るときに使用したことば「現実のなかのもうひとつの現実」を地でいく作品だ。“もうひとつの現実”を、量子論を援用して確かな技巧で構築していく。
 それぞれの“技”も堪能できるアンソロジーだった。

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紙の本

紙の本エンダーズ・シャドウ 上

2001/02/01 16:40

悪役の効果

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 「エンダーのゲーム」を視点を変えての語りなおしということになる。
 絶対にしてはいけないのは、本書を単独で読むことで、楽しみが半分以下になってしまう。必ず、「エンダーのゲーム」を読んでから手にとりましょう。
 「……ゲーム」で涙を流したぼくは、本書の目次で最後のほうに“エンダーのゲーム”という章題を目にしただけで、あの壮絶なゲームを思い起こし、目頭が熱くなった。電車の中だったのでちょっと困った。
 特筆すべきは、悪役アシルの存在。主人公がエンダーの影ならば、アシルは主人公の影。登場しなくても、常につきまとって物語をひきしめる。共感できる主人公や、愛らしい脇役はいくらでも思いつくが、稀代の悪役にはそう出会えない。アシルは凡百の悪役の群を抜いて、ほんとうに悪い。

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紙の本

紙の本〈柊の僧兵〉記

2001/01/18 00:21

あざやかな転換

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 読み始めたときはどうしようかと思った。
 コンプレックスを抱えた少年、厳しい村の掟、どうも現実味の感じられない画一的な環境。どこにでもあるようなファンタジー小説かと思ったのだ。
 それが読み進めるうちに、世界が鮮やかに転換する。秘密が解かれるたびに世界は確固となり、当初鼻白んだところは仕掛けとして機能する。つぎはどうなるんだろう? と物語の愉悦を味わいながら前半を読み終える。
 少年は真実を知り、強くなる。後半はアクションの連続だ。残念なことに、思い込みを裏切られる新鮮さがない。かと言って、カタルシスがないわけでもない。
 ただ前半の一筋縄ではいかなさに比べて、後半はふつうなのだ。前半がおもしろすぎるための、苦言だけど。

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