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  3. 山村まひろさんのレビュー一覧

山村まひろさんのレビュー一覧

投稿者:山村まひろ

338 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本ガセネッタ&シモネッタ

2003/10/02 02:29

人と人とをつなぐ通訳者、その裏と表!?

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 このエッセイ集によると、同時通訳者は、通訳のときに言葉遊びや、掛詞、駄洒落を訳すのに四苦八苦し、苦しめられているクセに、なぜか駄洒落好きが多いのだだとか。
 名通訳者の中には駄洒落の達人が多い、ということで、シモネッタ・ドッジ、ガセネッタ・ダジャーレで漫才コンビを組んで、一儲けできないものか…というようなあたりから、この本のタイトルがついたのでした。
 通訳者ならでは、という駄洒落がたくさん登場し、思わず笑ってしまうようなエッセイが次々に登場します。

 もともと、タイトルと、拾い読みした内容が面白かったので読み始めたこのエッセイ集ですが、読み終わってみると、印象に残っているのは「通訳者ならではの視点から眺めた日本語」「世界の中の日本」について、などでした。
 米原さんご自身、小・中学校時代をプラハのソビエト学校で学ばれたそうで、日本に戻った時に、漢字を覚えるのに苦労されたとか。
 世界のさまざまな国の、さまざまな言葉の中でも、日本語は文字の多さでは群を抜いていて「なぜ、こんなにたくさんの文字を覚えなければいけないのか」という疑問を持たれたことや、また反対に、日本語の文章は漢字が意味を持っているおかげで、一度覚えてしまえば断然早く読める、というようなことも、書かれています。

 その国にしか存在しない言葉というのは、普段の生活の中ではあまり意識しないものですが、そういう日本語ならではの単語やことわざは、日本ならではの考え方や、日本人ならではの感じ方と通じているのだなあ…と、読みながらしみじみと感じました。
 また、言葉は通じてこそ花、というか…どんなに美しく、正しい言葉も、相手の心に届かなければ意味を成さないのだ、ということ。
 ある意味あたりまえなんだけれど、原点ですよね。

 小・中学校時代を外国で暮らし「人間は、他者との意思疎通を求めてやまない動物なのだ」ということを身をもって体験された米原さん。
「両者の意思疎通は、わたしがいて初めて成立している」という誇りを持って、これからも人と人との掛け橋として、世界をつないで行って下さいね。


 初出『うたたね日記』

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紙の本

紙の本綱渡りの男

2006/05/07 21:24

今はない、ツインタワーに思いを馳せて・・・・

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 1974年8月7日ニューヨーク、世界貿易センター。
 完成間近のツインタワーの間に綱を張ったフランス人大道芸人フィリップ・プティは、地上400メートルの綱の上を渡り、綱の上で踊った。
****************************************
 実際にあった出来事をもとに、今はないツインタワーへ思いを込めて作られた絵本。
 絵本は「昔、ふたつのタワーがならんで立っていました」で始まります。
綱渡りが大好きな若き大道芸人は、双子のようにならんだタワーを見上げて思いました。
 「ロープを張るには絶好の場所だ」
 彼は、慎重に計画を進め、友人たちの協力のもと、本当にタワーの間に綱を張り、1時間もの間、空中散歩を楽しみました。
 空中散歩中の絵は見開きを大きく取って描かれ、工夫されており、とても迫力があります。
 シンボルタワーとして存在していたツインタワーは、もうこの世に存在しませんが、ページを繰りながら、さまざまな思いが巡ります。
 平和であればこそ、できた綱渡り。
 親子で読んで欲しい絵本だと思います。

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紙の本

紙の本ぼくらはみんな、ここにいる

2006/04/30 19:46

SFで、ファンタジーで、冒険小説であり、青春モノでもあり・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この表紙と「あの夏、ぼくらは無人島で…。眩しい海、広がる空。永遠の時間の中で流れ続ける音楽。合宿に訪れた光が丘中学校吹奏楽部の少年たちを待つ、壮大な運命とは?」という紹介文から、どんな物語を想像しますか?
 私は、まさかこんな展開が待っているとは思っていませんでした。
********************************************
 唯一の住人が保養所の管理人夫婦という神主島へ、夏休みの合宿にやってきた中学生30人と教師1人。そしてボランティアの大学生、社会人が数名。
 島にやってきて数日後、島を覆うオーロラと闇。
 島は400年の時をさかのぼり、島原の乱の直前、江戸時代初期へとタイムスリップしてしまったのだ。
 キリシタン弾圧に疫病の流行。
 現代人である彼らは島の外に出ることもかなわず、島でのサバイバル生活を余儀なくされる。
 彼らは無事に生き延び、未来へと命をつなぐことができるのか?
********************************************
 管理人夫妻と地元の郷土史研究家は、これから起こるであろう史実と島の歴史を、前もって知ることができたため、島には万全の対策が立てられています。
 管理人夫妻は医師と看護婦の資格を持ち、風力発電装置に図書館の膨大な資料。サーバーにはさまざまな知識がキャッシュとしてのこされ、田畑に果樹園、鶏舎やヤギの準備までが整えられています。
 とは言え、必要最低限のものしかなく、日々消費してゆけば、いずれは尽きてしまうのが目に見えているため、ボランティアとして参加していた元自衛隊員の栗栖、志藤の指揮のもと、自給自足の生活がスタートします。
 このあたりのサバイバルな生活がなかなか読み応えがあっておもしろかったです。
 400年の時をめぐる物語ではありますが、全体の8割以上は最初の1年間を描いており、彼らが最初の1年間をいかに乗り切ったのか、という物語です。
 作者は、日本冒険作家クラブの幹事を長年務めて来られた上、この3月まで放映されていたドラマ『神はサイコロを振らない』の原作者でもあるので、サバイバルな冒険モノとしても、時間テーマモノのSFファンタジーとしても、また青春モノとしても読めるという、2倍も3倍も楽しめる内容になっています。
 吹奏楽部の部員たちは音楽でつながり、嬉しいときにも悲しいときにも彼らには音楽がある、という設定なので、全編、音楽に満ち満ちています。
 章題も曲名で統一されているので、吹奏楽好きの人にもオススメです。
 中学生たちが江戸時代へタイムスリップし、その時代に生きて、やがて彼らの子や孫が江戸の町にとけこんでゆき、受け継がれた命がやがて彼らを生み出す・・・・と考えると、彼らは自分自身の祖先であり、子孫である、という不思議な存在ということになります。
 わあ、わからなくなってきたぞ・・・・。
 読み終わったあともう一度最初のページに戻り、何度もページを繰り、いきつ戻りつしながら、読み直してしまいました。
 無限に続く時間のループを思うと、本当に不思議ですねぇ・・・・。

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紙の本

紙の本いろはのかるた奉行

2006/02/01 22:14

子どもだけじゃなく、おばちゃん、おっちゃんにもオススメしたい爆笑絵本!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ここのところ、各地でワークショップにライブ紙芝居に、と大活躍の長谷川義史さんの爆笑絵本。
 「いぬもあるけば ぼうにあたる」「はなよりだんご」など、誰もが耳にしたことのある古典かるたの紹介と、それぞれにちなんだ新作かるたの両方が楽しめる、2倍、3倍、楽しいかるた絵本です。
 かるたを紹介してくれる「かるた奉行」のおしゃべりも、長谷川さんの描く、独特のやんちゃな絵も、めちゃめちゃおもろい!
 子どもも面白いやろけど、私は、ぜひ、長谷川さんと同年代(1961年生まれやそうです)の、関西のおばちゃんにオススメしたい!
 なにしろ「うそからでたまこと」のとなりの「うたもうたう ふじたまこと」とか、「げいは みをたすける」のとなりの「けいは みいをたすける」なんて、そこらへんのお子ちゃまごときには理解不能の笑いだもの。
 「オッサン(あら、どないしよう、先生をオッサンよばわりしてしまいましたワ)、何を考えとるねん!」と思わず突っ込んでしまうような強引な新作かるたも続出で、いろは48文字、たっぷり楽しめて、爆笑&脱力は必至。
 顔をしかめてんと、こんな楽しい絵本で気分転換、どないですか?
うたたね通信社 にも遊びに来てね

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紙の本

紙の本17歳 新装版

2007/08/18 22:55

みんな、どんなおとなになったのかな?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1988年に刊行された写真集の新装版で、17歳の男女の写真をまとめたもの。
 写真だけでなく、それぞれに簡単なインタビューを付記。


 1980年代ということで、高校生だけでなく、働いている子も多く、職業も時代を感じさせる。
 学生にしても「高校生」というだけでなく「定時制高校生で昼間は紡績工場勤務」「窯業高校生で昼間は製陶工場勤務」「競馬学校2年生」などの他、「盲学校2年生」なども。


 働いている子はもっと多岐に渡っており「調理師」「板前見習い」「魚市場勤務」「鮮魚店店員」「漁師」「板金職人」「左官職人」などから「少年自衛官」「相撲力士」「行司」「タレントの付き人」「メイクアップスクールアシスタント」「舞妓」「喫茶店勤務」などなどさまざま。

 中には「旅の途中」や出産を控えた「主婦」も。
 また、女優の工藤夕貴や、宝塚歌劇団花組所属の姿月あさとの姿もある。


 初版が出たころとは時代も変わったので、ヘアスタイル、ファッションなど、そのころを知っている人間からするとどこか懐かしい気がする。


 彼あるいは彼女たちが、今はどんなおとなになっているのか、ちょっと想像をめぐらしてみるのも面白いかもしれない。

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紙の本

紙の本荒野のマーくん その試練

2006/05/09 01:43

危険度パワーアップ!マーくん、マジでヤバイよ!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『荒野のマーくん その受難』で、マーくん一家に爆弾を投下したおねーさんと思われる女子高生が、やっと見つかった!
 コンビニでアルバイトする女子高生タキザワ。
 クリスマス前に現れたときは地味な学生風だったのに、タキザワは濃いメイクのギャル系で、イマイチ同一人物かどうか確信が持てないマーくん。
 コンビニでアルバイトが終わるのを待ちうけ、タキザワの尾行開始!
 ところが、タキザワは待ち合わせた下品なオッサンと一緒に、どんどんあやしげな裏通りの入り込んで行き、ビルの中に消えてしまった。
 あきらめて帰ろうかどうしようかと悩むマーくんの前に、タキザワが飛び出してきて、マーくんのママチャリの荷台に乗るなり「走れ!」と叫んで・・・・。
**********************************************
 いやいや、もうマーくん、本当に人が良いというか、マヌケというか。
 どんどんタキザワのペースにハマって、泥沼へ引きずり込まれてしまってます。
『受難』でもかなりヤバかったですが『試練』はさらにグレードアップして、危険度もパワーアップ!
 マジ、ヤバイ!
 がんばれ、マーくん!!!

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紙の本

紙の本荒野のマーくん その受難

2006/05/09 01:35

生活能力ゼロのパパと一緒に残されたマーくん、絶体絶命!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ブリブリなかっこで趣味がハーブとピアノというママと、「ドラゴンボール」がめちゃくちゃ好きで子どもみたいなパパ。
 そんな両親と一緒に、お気楽に暮らしていた小学6年生のマーくん。
 でも、なごやかなはずのクリスマスシーズンのある夜、爆弾は突然落ちてきた!
 ピンポーンとチャイムを鳴らして現れたびしょぬれのおねーさんが、パパに向かってこう告げた。
 「あたし、あなたの娘です。」
 言うことだけ言って走り去った謎の女子高生。
 そして、次の日。
 ママは1週間分の食料とおこづかいを残して、実家に帰ってしまった。
 頼りないだけでなく、全然大人になってもいないパパと2人残されたマーくんの受難の日々が始まった!?
****************************************
 女の子が誰なのか、本当にパパの娘なのか、当のパパにも否定しきれないようす。
 ママは実家に帰ったまま1週間を過ぎ、2週間を過ぎ・・・。
 預金通帳はママが管理しているから、手持ちのお金も底をつき、せっぱつまったマーくんは大事なゲームを友だちに売ったり、パン屋でパンの耳をもらってきたり・・・。
 生活能力ゼロのパパは、食事のことも含めて家のことは一切できないだけでなく、この大変なときに会社まで辞めちゃって、わずかながらも手に入れた退職金さえ使い込み・・・。
 いや、もうこのオッサン(パパだ、パパ)なんとかしろよ! って感じですね。
 マーくん、人が良すぎる。
 こんなオトン(何がパパだ!)どっかへ捨ててしまえばいいのに、と思いながら読みました。
 が、ここまでヒドクないにしても、けっこういるんだろうな、こういう生活能力のない父ちゃん。
 どこの誰ともわからないお姉さんを探し出し、マーくんは、パパとママを仲直りさせることができるのでしょうか????

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紙の本

ラウラの成長と、サスペンスフルな展開が魅力

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この物語は「あれは明日から夏休みという日だった__死んだはずのパパがタクシーに乗っているのを見たのは」
 という一文からはじまります。 
 二年前に死んだはずの父親に、顔ばかりでなくしぐさまでそっくりな男性を乗せたタクシーが、アナの乗ったバスのとなりを通り過ぎて行きました。

 必死で覚えたタクシーのナンバーを手がかりにして、アナはママの恋人の息子であるオリバーとともに、その男性を探し始めることに。

 二年前、誰かに会うために泊まっていたアルゼンチンのホテルで、火事のため焼け死んだパパ。
 ひどいありさまだったという遺体は、本当はパパではなかったのだろうか?
 そして、結局は現れなかったという謎の人物の正体は?
 
 ママも、パパの母親であるおばあちゃんも、そして、パパの会社のアーマンさんも、何かをかくしている気配。
 いったい、パパに何が起きたのでしょう?
 パパは本当に死んでしまったの? それとも、どこかで生きているのでしょうか?



 ミステリー仕立ての児童文学。
 ただし、フェアなミステリーを期待すると、肩透かし。
 ラウラの成長と、サスペンスフルな展開が魅力。

 そして、パパの謎は、おばあちゃんの抱えてきた謎であり、ドイツと言う国の抱えてきた重い過去だったのですが……。

 詳しくは、ぜひ、本編を自分でお読みください。

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紙の本

いかにして坂崎幸之助はできあがったか!?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 The ALFEEの坂崎幸之助さんがFM局『NACK5』のラジオ番組『K'Sトランスミッション』で『坂崎幸之助のJ−POP SCHOOL』というコーナーを続けて来て、その内容を本にまとめたもの。

 客観的なJ-POP史ではなくて、あくまでも坂崎さんの視点から描かれていて、自分史というか「いかにして坂崎はできあがったか」みたいな内容になっています。
 中学時代、高校時代の音楽との関わり方。桜井さんとの出会いについて。さらには、プロデビューと、売れない暗黒時代。そして、大学除籍から現在に至り…。
 第三次ザ・フォーク・クルセダーズの活動についてもちょこっと。

 坂崎さんの自分史と、J−POP(フォークソングと呼ぶほうが私にはしっくりくるのですが)の歴史が、熱く語られていて、とても面白かったです。
 ますます坂崎さんのこと、好きになっちゃったよ♪

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紙の本

紙の本図書館の神様

2004/12/16 00:22

本の中には、冒険が詰まってる。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 私の名前は清(きよ)。18歳までの私は清く正しい人間だった。

   *******************

 高校3年生の夏、清がキャプテンをしていたバレーボール部で、試合のあと、補欠の山本さんが自殺したことがきっかけで、清は退部。
 以来、道を外れ始め、学校や町のみんなからの冷たい視線をから逃げるように家を出て……今は、鄙びた高校の非常勤講師。

 講師になればバレーボール部の顧問になれる! というアサハカな考えから勤め始めたものの、なんと、部員がたったの一名の文芸部の顧問を振られてしまうことに。
 唯一の部員である3年生の垣内と、顔を付き合わせる毎日。
 国語教師のクセに、文学なんてちっとも面白くない、と思っている清と、運動もできて中学時代にはサッカー部員だったのに、今はサッカーより文学が面白い、と言い切る垣内くんとの、たった二人の部活動が、始まって……。

   *******************

 けっこう褒めてる書評を目にするのと、タイトルに「図書館」という単語が含まれているから……という単純な理由から手にした本で、正直なところ、私にとっては「イチオシ!」というわけでは、なかったです。

 けれど、清が前向きになっていく過程、生徒である垣内くんが、先生であるはずの清を変えていくきっかけになる、というのが面白く、また、垣内くんが卒業前の主張大会で、図書館に存在するたくさんの本が、いかに面白くて、冒険に満ちているか、を語るシーンは、心に残ります。

 物語を愛する仲間たちの、共通した「想い」を、垣内くんは代弁してくれてる、と思えた一瞬でした。

 

   『うたたね通信社』にも遊びに来てね。

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紙の本

紙の本いろいろいろんな日

2002/08/18 23:05

今日の気分はどんな色?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 今日のアナタはどんな気分? 今日の気分を色であらわしたら、何色? きいろいきぶん? あおいきぶん? それとも…???


 いろいろな気分の自分がいて、毎日、ううん、今この瞬間にもいろんなふうに心は動いてる。
 絵本を読み終わって、ふと「私は今、何色かな?」と思う。
 目を閉じてみる。
 まぶたの裏に、さまざまな色が現われては消える。
 今日の気分は、何色かなぁ…。

 お子ちゃまむけな絵本の体裁だけど、けっこう奥が深い気がする。
 大人にもぜひ、手にとってもらいたい絵本。

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紙の本

紙の本彼の手は語りつぐ

2002/06/06 21:41

語りつがれてゆくものとは?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 奴隷制度の廃止をかけての南北戦争のさなか、戦場で深い傷を負った15歳の少年兵シェルダンの命を救ったのは、同じように部隊からはぐれてしまった黒人少年兵のピンクスでした。
 ピンクスは大変な労力の末、シェルダンを自分の母親のもとへ運びこむのですが、傷が癒えて旅立つ前に敵軍に発見されてしまうことに…。
 シェルダンは? ピンクは? そして母親のモー・モー・ベイは?

 これは、著者・パトリシア・ポラッコさんのお祖母さんのお祖父さんであるシェルダンさんが実際に体験し、子に、孫に、と語り継がれてきた実話をもとに描かれた絵本です。

 戦争の意味もよくわからぬままに戦争に加わってしまったシェルダンは、自らの自由を賭けて戦うピンクスと出会い、そして別れます。
 その出会いと別れ、はぐくまれた友情を「彼の手は語りつぐ」のです。
 表紙に描かれた二人の固く握り合った手を、あなたも忘れられなくなるでしょう。

 絵本とは言え、これは小学生高学年から中学生ぐらいの、そうです、登場人物と同じ年齢の子どもたちにこそ、読んでもらいたい本だと思います。
 たとえ奴隷でも、自分のほんとうの主人は、自分意外にはいない…。
 ピンクスのこの言葉は、誰にとっても大切な真実だと思うから。

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紙の本

紙の本ミステリなふたり

2002/03/21 00:15

突き抜けた楽しさあふれる連作ミステリ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「鉄女」「氷の女」と呼ばれ、同僚や部下たちから恐れられる、愛知県警捜査一課の警部補・京堂景子と、自宅でイラストレーターの仕事をしている年下の夫・新太郎が事件を解決に導くシリーズミステリー。
 捜査現場で男どもに睨みを利かせている景子も、自宅では年下の夫にベタベタ。料理と掃除が趣味、息抜きという新太郎の料理を頬張りながら、行き詰まった事件の相談をするうちに、わずかなヒントを手がかりに新太郎が事件解決のヒントを思いつく、という安楽椅子探偵もの。

『週刊小説』で初登場し『ポンツーン』でシリーズ化されたものに、書き下ろし1編を加えた全11編。書き下ろしの最終話に思わずにやり。


 作者はあとがきの中で「今度の仕事は人間を描くことを放棄しなきゃならなかった」というような意味のことを書いているけれど、この点については太田さんはちょっと勘違いしてるような気がしないでもない。
 太田さんには、登場人物の暗い面が前面に押し出される作品が多く、探偵役を振られた主人公たちが悩んでばかりいる傾向にあり、それは太田さんの持ち味でもあるけれど、苦悩する探偵を描くことだけが「人間を描く」ことではないと思うんですね。

 今回のシリーズは、太田さんらしくないかもしれない。でも、いつもとは違う、突き抜けた楽しさが溢れていて、心から楽しく読みました。たまには、こういうのも良いよね。

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紙の本

紙の本約束

2004/10/16 00:46

涙腺の弱い人は、外では読まないでね。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 大笑いしちゃうので外で読めない本、というのがあるけれど、これは「大泣きしてしまうかもしれないから、外では読めない本」と言えるでしょう。
 涙腺の弱い人は、絶対ダメです。
 おうちでこっそり読んで、一人で、好きなだけ泣いてください。
 泣いたあと、立ち上がって歩いていく主人公たちと一緒に、しっかり生きて行きましょう。

 「バック トゥ ライフ」をテーマにした連作で、ある意味、一種のファンタジーかもしれません。
 さまざまな苦しい状況、辛い人生に陥った人々が再生し、再び、止まっていた時間が動き出す…という物語なわけなので、実際には、もっともっと辛くて苦しいだろし、現実には救いなんてないことがほとんどでしょう。

 そういう現実からすると、これらの作品は「甘い」かもしれません。
 でも、私は現実が重い分、フィクションの世界では「救い」があって欲しい、と思うタイプの人間です。
 物語の中だけでも、甘く、美しく、存在して欲しい、と思っています。

 いろんな苦しいこと、辛いことがあっても、立ち上がって進んでゆく。
 未来には、ささやかだけど「普通のしあわせ」が、きっとある。
 本を読んでいる間だけでも、そう信じていたいから。


 石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』のファンの人より、『1ポンドの悲しみ』や『スローグッドバイ』を読んで「好き」と思ってる人にオススメかも。

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紙の本

紙の本夜のピクニック

2004/10/16 00:33

歩く、歩く、歩く……いつか、読み手も一緒になって。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。
 どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。 

 甲田貴子と西脇融(とおる)は、異母きょうだい。遠く離れて暮らしていたはずの2人は、同じ高校に入学し、3年で同じクラスになってしまう。 
 
 北高では、修学旅行代わりの鍛錬歩行祭が毎年ある。
 1200人の全校生徒が、80キロの行程を朝の8時から翌朝の8時まで、夜中に数時間の仮眠をはさんで、一日がかりで歩きとおすというものだ。
 前半はクラス毎に、そして後半は自由歩行になっているため、仲の良い者どうしで語らいながら、高校時代の思い出創りに励む。

 今年も、また夜間歩行の日がやってきた。
 貴子と融にとって、高校生活最後の夜間歩行。
 きょうだいがいると知って嬉しかったという貴子。一方、悪びれもせず、好き勝手している甲田母娘に憎しみを覚える融。
 同じクラスになりながら、ひとことも言葉を交わしたことがない2人は、行き違う心を抱えたまま、何も知らないクラスメートたちに囲まれて、歩く。歩く。歩く。

 静かで落ち着いている戸田忍。
 老舗の和菓子屋の娘で和風美人の遊佐美和子。
 クリティカルな毒舌女、後藤梨香。
 ひょうひょうとした梶谷千秋。
 お調子者の高見光一郎。
 融にアタック中の内堀亮子。
 そして、半年前両親とともにアメリカへ渡ったため、歩行祭に参加できなかった榊杏奈。

 歩き続けるクラスメートたちを、ただただ丁寧に描いた物語。
 「いまどきの高校生」という言葉がもたらすイメージとは違う、ある意味、古いタイプの十代の雰囲気が、なんだかせつなくて、読んでいると胸がいっぱいになる。
 私にもあったっけか…こんな学生生活?

 いつの間にか、登場人物のひとりになって、一緒に歩いている気分になってくる。
 足にマメをつくり、片足をひきずりながら…。

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