バンチさんのレビュー一覧

歴史は果たして「おもしろい」ものなのか？

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　同書は前半と後半で著しく面白さが異なっている。読んだ者ならば一目瞭然だ。どこにでも書いてありそうな教科書的な常識をなぞったにすぎない前半部分（アメリカ）を読んだ後に、一筋縄ではいかない歴史的・社会的な諸力の葛藤をドラマチックに描いた後半部分（フランス）を読むと、歴史のおもしろさを決めるのはやはり書き手の実力だということが判明する（「ダイナミズム」と連呼するだけで、要素を羅列しているにすぎない前者に比べて、そんな言葉を使わずにダイナミックに叙述する後者を見よ）。訓古学的に「これが歴史なんだ」と教え込もうとする前半部分の書き手は、読者をバカにしているとしか思えない。そんな「常識」をくどくど教えられる暇があったらテレビドラマを見ていた方がマシである。