しゅろさんのレビュー一覧
投稿者:しゅろ
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紙の本塔の見る夢
2001/05/25 01:51
“親友”萌えな方におすすめ。”父子の絆”にひかれる方にも。
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<占い師SAKI>シリーズ。
今回もほのぼのと楽しい、気持ちが明るくなるお話でした。
“早希の亡き母・美優の占いのせいで、自分の父親は不幸なまま死んだのだ”と、早希の元に抗議しに来た少女が、今回の依頼人です。母と母の占いに着せられた不名誉を晴らそうと、奔走する早希。しかし調べれば調べるほど打つ手がないことが分かってきます。そうして彼が走り回って家を留守にしている間に、体調を崩した早希の父が、倒れて入院してしまうことに……。
今回、和久くんがよかったです。今までは女の子に優しく甘い印象があったのですが。早希を守るために必要なら、いくらでも冷たくできるというところ、男としての筋(?)を見せてくれました。
親友萌えな方にはおすすめ。また、ファザコン気味の早希とお父さまの絆も健在で、パパ好きな方にも楽しんでいただけることと思います。
紙の本月から星への伝言
2001/05/25 01:41
可愛いお話です。好き。
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<占い師SAKI>シリーズ。
収録の2編は、どちらも初々しい恋人たち(一方は未満)のお話です。残念ながら(?)今回早希のお父さまは出番なし。活躍するのは早希と和久くんと。それから早希の天敵ことミス・フォーチュン(←早希ととことん反りが合わない占い師嬢)が2話目に登場しています。
シリーズ第15話「SWEET MEMORIES」。
早希たちの中学時代の同級生、菓子職人の栄一くんのお話。一目惚れした女の子に、自分の作ったケーキを食べて欲しいという彼に頼まれ、手助けをする早希と和久くんですが。お相手の女の子、めぐみちゃんには実は秘密があって——。自分の作ったケーキを食べてくれないめぐみちゃんを見て落ち込む栄一くん。理由は多分、読者には予想通りのものなのですが。それをどう乗り越えるかというのも。でも読後感はほんわりと温かで、ほのぼのしててとてもよいです。
シリーズ第16話「人間消失」。
何と! あのミス・フォーチュンこと神崎すみれ嬢が、早希に占いを頼んでいますっ! この二人の反りの合わなさについては、シリーズの以前の作品を読んでいただくこととして。今回の登場人物、玲奈ちゃんと生斗くんのカップル、可愛いです。エールを贈りたくなっちゃいました。
ほんわかほのぼの、どちらも読んでて楽しいお話でした。早希のダークな面は出てきてませんねぇ。そっちの早希がお好みの方には少し物足りない、かな?
私も次回はダーク&ビターな早希にも会いたいかも、です(笑)
紙の本その名は魔術師
2001/05/25 01:30
「父子愛」がつぼな方々に。
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<占い師SAKI>シリーズの8作目です。
大学生の青年・狭山早希が、亡き母・美優の形見のタロットカードを手に、占いによって様々な出来事を解決に導いていくというのがシリーズの基本のストーリー。そんな彼を支えるのが、親友でよき相棒の松田和久くん。そして、早希の父です。
シリーズ1作目のタイトルが「幸運を告げる者(ザ・フォーチュンテラー)」であったように、「占い師は幸運以外告げてはならない」というのが早希のモットー、……というより、戒めです。
彼は占いの代価として、占った相手の運命の一部——占ったときのカードのうち1枚を手にしています。そして運命を読み解く力と、手にしたカードの力でもって占った相手に幸運をもたらすのが常なのですが……。
時に。彼は自分で自分に課した戒めを破ってしまうことがあります。悪意にさらされ、危害を加えられそうになったとき。自分の愛する者を危険にさらされたとき。復讐心に駆られて、相手を破滅させるために占いの力を使ってしまい。そして、そのことによって自分自身をも傷つけ、苦しんでしまうのでした。
『その名は魔術師(マジシャン)』は、珍しく和久くんが登場しない、早希と早希の父が中心のお話です。二人で家族旅行に行った先で、レストランに立てこもる強盗犯の人質となった早希とその父。自分自身より大切な父を傷つけられた早希は、自らのダークな面を引き出してしまいます。
もう一編の短いストーリーの方は、事件の後の場面。早希に向ける父の思いが語られていてます。早希の本質を理解し、光である部分も闇である部分も、全てを包み込むような深い愛情に胸を打たれました。
紙の本ななつのこ
2001/04/29 00:43
おすすめです。
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ある日、駒子は生まれて初めてファンレターというものを書いた。
宛てた相手は<佐伯綾乃>さん。 先日表紙に一目惚れして買った、『ななつのこ』という短編集の著者である。『ななつのこ』は7つの短編から成っていて。主人公の<はやて>少年が日常の中で出逢う事件の謎を、年上の不思議な女性<あやめさん>が解いてくれるというのが基本のストーリー。
駒子が<綾乃さん>に書き送った手紙の中には、駒子が出会ったちょっとした事件を織り交ぜていて。<綾乃さん>は物語の中の<あやめさん>さながらに、手紙の返事の中で、 それらの事件の謎を解いてくれるのだった。
——というのがあらすじ。この話、すごく好きです。
駒子の性格が好みだし。憧れの<綾乃さん>がどういう人かも気になります。
この『ななつのこ』自体も短編集(ちなみに、私の一押しは、『白いタンポポ』というお話)ですが、 全体を通して、駒子が<綾乃さん>と出会う、という一つのお話になっているように思います。
“あしながおじさん”の例にならうならば、<彼女>の正体が知れる前に、駒子の日常の中に<綾乃さん>がこっそり紛れ込んでいてもよさそうなものですが。……などと思いつつ読み進むうち。 おおっ、出てきた出てきた。それらしい人物が。
ネタ晴らしするにはもったいないので、ここまでとしておきます。後は読んでのお楽しみ。おすすめです。
紙の本夢弦の響
2001/03/10 11:51
桜の下にいるものは。
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それは、高校に入学してまだ間もない頃。帰宅途中、夕闇に桜が舞い散る中。川越しに視線を交わしただけの相手に、当麻杜那(とうま・もりくに)は強く心を惹かれる。
恋にも似た思いで再会を願いながらも、あの儚くも美しい面影は、おそらく人ならぬものであろうと彼は感じていた。
陰陽師の家系に生まれ、その能力を受け継いだ彼は、幼い頃からそうした存在を見てしまう力を持ち合わせていたのだ——。
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先日完結した、<月の系譜>シリーズと対をなす作品です。月の系譜が鬼の側の話だとしたら、こちらは人の側のお話。月の系譜では、常世姫と一の従者という、強烈なキャラクター同士の寒い主従関係で、読者を楽しませてくださいましたが。この<櫻の系譜>の主人公・当麻杜那は、根が素直な少年。
特異な能力を持ち合わせているため、人付き合いはやや苦手ながら、おおらかな両親の愛情に包まれ、まっすぐに育っています。
この作品はシリーズ一作目ということで、そんな彼の生い立ちや人となり、そして彼の今後に重要な意味を持つであろう人々との出会いが描かれています。
隙がなく涼しげで、人の悪い青年弁護士が一名。“病弱”で口の悪い、同級生の少年が一名。彼らと杜那の関わり方(というより、杜那の振り回されっぷり?)が楽しいです。
月の系譜に繋がるエピソードなどもあり、近い将来の常世姫との邂逅の予感やら、杜那の成長への期待やらで今後が楽しみなシリーズ。もちろん、月の系譜を知らない方にも楽しめるストーリーになっています。
冒頭で杜那を魅了した面影については、ラストで真相が明らかになりますが……。まあ、世の中には知らない方が幸せなことも多々あると言いますか。人生いろいろだよ、と肩を叩いてあげたくなります。
がんばれ、若人。
紙の本深き水の眠り
2001/02/08 01:12
“続編”が読みたいお話。
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「水蛇(みずち)」と呼ばれる水の精霊と、水蛇を呼び出すことのできる巫女、「蛇巫(だふ)」である少女の物語。
一人は、自分が蛇巫であることを知らずにいた少女、名和沙月。もう一人は、蛇巫の一族に生まれ、「はぐれ」と呼ばれる水蛇を狩ることを宿命づけられた少女、成瀬玻瑠佳。 「はぐれ」とは、呼び出されたまま放り出された水蛇で、やがては餓えて人を襲う。折しも、二人が通う女子校の生徒が続けざまに惨殺される事件が起こる。
彼女たちを襲ったのは、沙月が出逢った「はぐれ」、コウなのか──?
人を襲う側の「はぐれ」を一方的に悪者にせずに、その悲しみをも描いているところがよかったです。二人の少女の心の交流や、水蛇との関わり合い、それに、余韻を残すラストもいい感じです。
この話単独でも読みごたえはありますが、より大きな物語の中の「出会い編」だとするともっと嬉しい。沙月と水蛇の出会い。そして、水蛇以外に心を通わせられる存在を持たない少女・玻瑠佳と、もう一人の蛇巫との出会い。続編が出るかは分かりませんが、もし出たら、買います。あのキャラとあのキャラとの、ドラマチックな再開を希望しつつ。
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